2014 . 6 . 6

粉瘤=類表皮嚢腫=アテローム=epidermal cystの経過

もう1年以上前になりますかね。池田先生の顔(左こめかみ)にできた粉瘤を私が手術しました。これは丁度いいということで、手術前後や手術中の写真を撮影し(動画も)、ブログ等に例示したところ、患者さんが大変判りやすく、参考にしていただけた様でして、粉瘤の診察の患者さんがいまだに殺到しています。

何しろ当院の顔である、池田先生が患者さんに見せているので、患者さんの安心感につながることになっていると思います。傷跡なんて今では見えないに等しいですし、私達は形成外科専門医だから、顔面の解剖を熟知しているので、安全に手術を受けられることを証明したようなものです。

それはそれで、いいのですが、今度は私が、背中に粉瘤です!。

症例:54歳、男性。氏名:森川一彦、職業:美容形成外科医。

主訴:背中のできもの。病歴:約1年前に同部にニキビ=尋常性痤瘡が出来た記憶がある。その時は1週間くらいで潰れて、膿が出て治った。その後は著変はなく、小色素沈着のみがあった。2か月前から、同部の皮下に小豆大のしこりが生じた。触れると球形と感じじられるようになり、週単位で増大し、1か月前には空豆大となった。その頃、医療機関のナースに診てもらうと、粉瘤と診断された?。ドクターに取ってもらう予定が立たないでいたため、放置することになっていた。2週間前に圧痛を感じるようになり、元ナース(配偶者の事です。)に診てもらうと、発赤していた。しかし、東京皮膚科・形成外科は手術枠が満員であったため、放置されていた。1週間後ついに、破裂した。下の写真が直後です。

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翌日にも膿が出て仕方ないので、大阪院のナースに洗浄してもらった。下は直前で穴が大きくなっています。

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下の写真は生理食塩水(生食といいます。)10CCで袋の中を洗浄した後です。おから状の角質が排出されたので、膨らみがなくなっています。孔はありますが、膿は出なくなりました。赤い炎症の大きさは物差しの通り、約2cmでした。

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その後絆創膏を1週間ほど張り替えていたら、孔は閉じた。現在は、再び小豆大のしこりとなっていて、緊満していないし、圧痛もなく、排膿もない。そもそも、排出していたものにも腐敗臭はなかった。

そこでしかし、粉瘤は必ず残っていて、再燃します。時間が出来たら切除したいと思います。

粉瘤とは、皮膚が皮膚の中に潜り込んで、皮下に袋を作る病気です。題名にあるように、病理組織名では、類表皮嚢腫といいます。表皮の様な組織(細胞)でできた袋という意味です。表皮ですから、細胞が垢(角質塊)となって袋の中に貯めこみます。潜り込んだ孔があるのですが、角質塊なので排出されにくく、溜る一方なのです。逆に押すと輩出できることもありますが、その場合孔が大きいからですから、汗腺を伴なっていることが多く、腐敗臭が強いのです。

今回の症例では押しても排出しなかったのですが、溜る一方で緊満してくると、やはり孔から出ます。多くの患者さんが、この後受診されます。今回の症例は何回か診察されていたのですが、手術のタイミングを逃してしまい、破裂しました。そして、何回かの処置で閉鎖しました。しかし、中の袋を裏打ちする表皮細胞は死滅しているわけではなく、また増殖して、角質を作り、貯め込むようになります。その前に、手術が必要です。しかしこうなると、しばらくしてしこりが柔らかくなってからの手術となります。

来院される患者さんも、排濃や、炎症、激痛を繰り返しながら、手術のタイミングを逃してきた方が大勢いらっしゃいます。ましてや、手術を出来る状態なのに、逃げていた人や、間違った科目(内科や、顔なのに外科)に行って手術を受けられなかった患者さんも少なからずいらっしゃいます。残念です。

私を悪い例として、粉瘤の経過を示したのですが、みなさんもスパッと治した方が楽ですよ!。それには上手い医者に罹ることです。特に顔面では、美容外科と形成外科療法の専門医が好ましいと思います。私が上手いかどうかは、池田先生の顔面の手術跡を見て下さい。判らないと思います。その意味では啓蒙活動として、このブログや、池田先生のブログは、お役に立てているのではないかと思いました。

今回は、私の醜い?、汚い?、背中をこの神聖なネット上に晒たことをお詫び致します。なお、この症例の手術前後の経過は必ず載せますので、お楽しみに???。

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