2017 . 8 . 9

目の横径が小さいけれど、開瞼は見事にできました。術後3か月で完成!

今回の症例はPuffy eye の典型例で、しかも眼窩隔離気味。目が離れていると目が開く訳がないという典型的な症例です。まずは術前と術後3か月の画像を並べます。とにかく目がパッチリしましたから、完成とします。可愛いでしょ!

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症例は、25歳の女性。先天性一重瞼で数年前に埋没法をして一応ラインは決めている。とにかく目が離れていてだから開きにくい。二重のラインも自然なカーブに出来ない。2年前に切らない眼瞼下垂手術を受けたがラインは気に入らない。今回重瞼線を平行にしたい。下垂は再発したから開きたい。切開して定着したい。目頭の拘縮を解除して重瞼線を丸くしたい。いくつかの点を同時に治すなら、やはりいつものやつが適します。

所見を提示します。内眼角間40mm、眼裂横径24mm、角膜中心間63mm。挙筋11mm。Puffy eye は眼窩脂肪がヘルニア。最大の目的は重瞼ラインを広げて平行にする。 デザインはいつものやつですが、ラインは5.5mmで変えません。線が二本になるのは変です。代わりに切除を3mmして見かけに重瞼幅を拡げます。目頭はいつもの一辺4mmの60度のZ-形成を蒙古襞の稜線に縦辺を置きます。眼窩脂肪は処理する予定とした。

今回3か月で完成となったとして、術後6週間の画像と右は3か月目の画像ですが、何かさらに可愛さがアップしています。腫脹が取れて更に開瞼が向上したからです。

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近接画像で術前と比較します。

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肥厚性瘢痕は悪化しませんでしたが、まだ創跡が若干拘縮傾向です。僅かに発赤も有りますが、メイクで隠せます。ただし目頭の位置は明らかに上方移動しました。ここがポイントです。可愛いでしょ?。もちろん眼裂が縦横丸く、アーモンドアイに近づいています。術後3ヶ月までは、どんどん目頭の拘縮が緩みます。症例経過が証明しています。同時に開瞼もアップします。

眼裂横径の統計はありませんが、私はほとんどすべての患者さんの計測はしていますから、平均値は頭に入っています。いつも数字を提示している様に、一重まぶたの患者さんと二重瞼の患者さんの平均値は明らかに差があります。一重まぶたの人は(だったも含む)二重瞼の人に比べ眼裂横径で1.5mm小さく、内眼角間距離は3mm大きい(蒙古襞の被さりが多い。)と認識しています。全体の平均では、横径25mm、内眼角間34mmと認識しています。この点は間違いないです。

日本国民では半数が二重瞼で半数が一重瞼ですから、一重瞼とそれに伴う蒙古襞の拘縮が異常である認識が希薄ですから、いっくら説明しても理解出来ない様です。知性が不足する人が多く可哀想です。だから知性が欠如しているヤンキーな奴がセーケーとかいってバカにするのですが、一重瞼は皮膚性眼瞼下垂症と言う先天性異常ですから、機能目的で治すべきです。

目が小さく離れているなら目頭切開は適応です。それもZ-形成術による蒙古襞の縦の拘縮を解除しなければなりません。本症例でも定番の4mmのZ-形成を適応しました。再びZ-形成術を図示します。患者さんにZ-形成術の説明をしても理解されないので紙上で説明をします。いつもの図です。紙の上の作図だけですが、机上の空論ではありません。

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図左の縦の辺を蒙古襞の稜線に置きます。内側に向かって上の辺を、下眼瞼の外側にに向かって下の辺を置きます。切開して二つの三角形を剥離して(持ち上げて)入れ替えると図右の様になります。不思議ですね縦方向が長くなりました。正三角形(各角が60度)でデザインすると、縦が7/4(1.75)倍になり横方向が4/7(1/1.75)倍になります。中学校で習う幾何学です。一辺4mmでデザインすると、蒙古襞が3mm伸びて開きやすくなり、蒙古襞が1.5mm開きます。これまでの症例で術前術直後の比較をすれば、その通りになっています。先日この図の説明を見られた患者さんに「解りやすいですね!」と誉められました。ちょっと考えれば理解出来るとのことです。

本症例でもいつものやつを施行したのですが、第一次手術はそれが適切です。上に述べた様に、一重まぶたの人の蒙古襞は二重瞼の人の蒙古襞より平均1.5mm被さっているからです。つまり、一重まぶたの人が二重にした際に蒙古襞だけが残存していると、ラインが不自然になり奇異な印象になります。本症例が典型です。だから4mmの60度のZ-形成術を併施して二重瞼にふさわしい蒙古襞に変更すると自然な形態になるのです。

重度の先天性一重瞼(Puffy eye等)で蒙古襞の拘縮が強いのに、重瞼術だけ施行されて、二重瞼なのに蒙古襞が拘縮して内側のラインがカクッと曲がり、縦に突っ張っている形にされている患者さんがいます。そんな形はあり得ない事です。何度も言いますが、一重瞼の人の蒙古襞と二重瞼の人の蒙古襞は、量的質的に大きく差が有ります。解っていない人がよく言う「自然な形にして欲しい。」なら、二重瞼で蒙古襞が突っ張っているなんて自然状態ではあり得ない形です。つまり不自然の極みです。

一重瞼を二重瞼にする重瞼術を受ける際には、蒙古襞の好縮を解除する目頭Z−形成術を併施するべきでしょう。術前にシミュレーションして検討しましょう。本症例では適切な選択が為されたと考えられます。