2017 . 10 . 13

素敵な患者さんの口周りの手術。白唇部切除+口角挙上術+鼻翼縮小外側切除法+内側皮弁法の四つの手術を組み合わせました。

このところ口周りの手術が多いのです。ブログに載せる症例が多いからでしょう。どの症例も術直後の経過はすごいのですが、症例を重ねる度にダウンタイムは短くなってきています。診断技術が向上したし手術手技的にもコツコツと積み上げてきたためでしょう。それに術後経過を沢山診てきているから説明が適切にできて、その結果患者さんが安心して落ち着いて術後をやり過ごせるから経過が早いのです。それに患者さんもブログを見て予習してきて下さるので、手術内容と術後経過を理解されているからです。最近術中から言い含めますが、精神的な安心感は体調を安定させて、術中の出血や術後の腫脹を軽減させます。実際最近の症例では出血も少なく、術後1週間で抜糸する際には形の良さが見えています。患者の皆さんとの信頼関係を作り上げてきた賜物です。

口周りとは、口の上と下ですが、口の上は言うまでもなく白唇部で、毎日の様に白唇部切除術を行なっています。口角は付随して同時に挙上する事がほとんどです。更に白唇部は鼻の下ですから、鼻翼と鼻尖の位置関係も口周りの印象に影響します。それに切開線が一部併用出来る部位でもありますから、併施するメリットがあります。

口周りの形態改善の集大成として、今回同時手術を行なうことになりました。唇を治したら鼻が気になる症例は今までもあり、二次的に治した患者さんも居ましたが、同時手術は初めてです。「素晴らしい結果を出せて面白かった。」としか言いようがありません。

症例は35歳、女性。契約上口周りしか画像提示出来ませんが、目元が美しく顔立ちは美人に違いない女性です。「可愛い方が嬉しいし得だ。」と訴える内面的にも美人の要素を持った人です。診察所見上白唇長=鼻柱基部〜弓の底:18㎜、白唇から赤唇への湾曲は綺麗ですが、長いものは長い。上に書いた様に内眼角間が29㎜と目は離れていなくて美しい。鼻翼幅を計ると37㎜あり、やはり治したい。比して口唇幅が40㎜と寂しい。 術直前にも議論して、一気にしましょうということになりました。

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上右図の如くのデザイン。鼻下は白唇部です。両側の鼻翼基部の間を幅5mm切除します。外反を求めないので、皮下脂肪全層=口輪筋のすぐ上まで同幅で切除します。口輪筋は縫縮して、5mmの半分の2.5mmを寄せます。真皮縫合でぴったり合わせて、皮膚まで合わせて3層縫合します。 術前の画像で見られる様に口角の高さに差があります。したがって口角挙上のデザインは左右差をつけて、右は40度6mm、左は45度5mmとしました。デザインの図でわずかに差が見えますよね。 DSC00565DSC00770

術直後はご覧の様に、いつもより更にすごいことになりました。でも形態は予定通りに出来ました。上右図は術後1週間出抜糸直後です。鼻翼の形は下半分が縮小して可愛いでしょ?。とにかく、口元がすっきりしました。左鼻翼の創を引っ掻いてしまい、体液が着いています。

サイズは34㎜に留まっています。

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下面から見ると、鼻翼の幅があり、付け根の幅と張り出しの幅が同じくらいですが付け根を寄せたら張出しが目立つので、予め鼻翼の外側を三日月形に3mm切除します。鼻翼基部から上に切り込んで幅2.5mm切除し、両側鼻翼の間の鼻腔底は骨から剥離してトンネルを作ります。持ち上げた両側の鼻翼そのものに糸を掛けてトンネル内に皮弁を入れて35mmに引き寄せます。

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術直後は鼻の形が保たれたまま幅が小さくなりました。笑うと拡がるのが嫌なのであって、そんなに小さくすつもりはないとの希望に沿いました。上右図は術後1週間ですFlareを呈して自然でキレイな鼻になりました。創の治りが良いのは、上に述べた様に患者さんとの信頼関係です。来週にはメイクして映ってもらえると思います。

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右斜位像では明らかに白唇部が短くなって外反していないのに、傾斜が可愛くなって、赤唇部の中央がちょんっと出てセクシーです。術後1週間では腫脹が取れてきて、口唇の厚みが見られませんが、これは静止画像の撮影時のポーズの問題で、私が診察した際の動く口周りは相も変わらずきれいでした。

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左側面像では、赤唇部の外反は無くても傾斜が丁度いいです。腫脹で白唇部がモコっとするのはいつもです。もちろん運動は低下しています。術後1週間で運動は正常状態に近づいていました。何といっても間延びした感が無くなり品性を感じさせます。もちろんエステティックラインゼロ以下が品性を醸し出しますが、マイナスだとセクシー感に欠けます。ゼロが色っぽいのです。

本症例の経過は時間を要するでしょう。血行の問題からすればダウンタイムは加算になります。神経と筋の回復もどこがどこに影響するか見当が付きません。でも術後1週間でかなり解消して社会復帰も可能だそうです。

手術後は局所の疼痛や腫脹と内出血の影響で、顔面神経が弱り、トーヌスが落ちます。トーヌスとは、覚醒時に活動している間は微弱な神経信号が出続けて、表情筋が軽く収縮していることです。精気のある顔を保っているのです。本症例患者さんは生気にあふれる素敵な人です。だから動的形態の回復も早いのです。

組み合わせ手術のダウンタイムは腫脹と内出血が大きく、疼痛も加わりトーヌスが落ちている間は動的形態も静的形態も出来上がりではありません。4つの手術をすれば普通に考えれば長くなりそうですが、本症例患者さんは美人なので、意外と早く治りそうです。逆に言えば私もそうなるだろうと推量してこの手術をしました。もう一度術前と術後1週間の画像を並べてみます。

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どの方向から見ても美しい!。来週以降はさらに良くなるでしょう。