2017 . 10 . 16

鼻尖の形と位置は中顔面長を変えて魅せます。完成!、ではありません。

素敵な女性が来院しました。美くしいひとが最終兵器としての口周りの治療を希望されるからです。この部位の治療が評判です。美容外科医冥利に尽きます。何度も言いますが、美容医療の対象は美人の人です。人は外面的にはそれぞれでも、内面的な美人が外面をより向上することで好結果をもたらすのです。内面美人とは、美しさに誇りを持って、より向上したい心です。いつも私は美人度は内面と外面の調和だと考えてきました。

美人度に普遍的な基準はあります。そうでなければ美容医療は成り立ちません。実際学術的な基準はあります。世界的な美容形成外科学会で議論される基準は計量的で具体的であり、美容や美術関係の学問では抽象的なれど普遍的な考察がされてきました。もし、何も基準を考慮しないで美容医療をしたら、誰が見ても不可思議に思えてしまいます。その意味では口元の手術は美人をより向上させる手術です。今回まず鼻から。

症例は37歳、女性。細面(ほそおもて)の患者さん。顔面輪郭は卵型で理想的ですが、上中下の比率は上顔面(生え際~眉の下)70㎜:中顔面(眉下~鼻下)60㎜:下顔面(鼻下~頤尖)65㎜です。中下のバランスが不満。中1/3が短いのは鼻尖が上方にあるためで、下1/3が長いのは上口唇(白唇部)が長いためです。

診察すると、鼻唇角が(側面で鼻柱と口唇の角度)110度を超えるので鼻尖が上方に向いている。鼻尖が上方で、しかも定規を当てると、鼻陵の延長線よりも低い。鼻柱基部〜Cupid‘s bowは20㎜です。15㎜以下が望ましいし、ANS,Anterior Nasal Spine=前鼻棘が前方にあるために外反が無い。いわゆる鼻の下が長くて、ノペっとしている白唇部です。

まず外鼻の評価をします。鼻尖の手術:鼻尖部隆鼻&下制術は耳介軟骨の2~3枚重ね:onlay がきれいです。但し軟骨移植はオープン法が好ましいです。鼻翼幅は34㎜と大きくないが、細面なので比べると大きいし、よく笑うので拡がらない様にしたいとの希望でした。でも縮めすぎると、逆に鼻尖との比率が崩れるので33㎜を予定しました。

下顔面が長いのに対しては、上口唇(白唇)短縮と口角挙上術の併施が求められます。二次的に取り組む事を承諾されました。患者さんは既に理解していて希望されました。どちらも何回もブログで提示している手術ですから。でも優先順位と日程の決定が難しいのでした。本症例では今回鼻の手術を優先します。鼻の手術はテープ固定を1週間要しますが、その後は夜間だけです。隠す必要はあまりありません。口の手術は1週間で抜糸したらメイクで隠せますが、動的(しゃべる、食べる)な形態に於いては2~3週間異常感を伴いますから、カムフラージュを要する場合があります。

下に術前、術直後のテープ固定後と術後1週間と2週間の正面像を提示します。 DSC00437DSC00444DSC00517DSC00558

13×10㎜の耳甲介軟骨を三つに分けて重ねてOnlay graft しました。まだ完成ではありません。引き続き術後1か月と2か月と3か月を大きく提示します。

DSC00767DSC00302DSC00744 鼻尖の形はダイアモンド型に作れました。鼻尖の両サイドのシャドーがダイアモンド型に見られ、小さくなっています。これがきれいな鼻尖の条件です。しかも正面像でもハイライトが見えます。術後早期は正面像ではむしろ鼻尖が上にありますが、側面像をを見ていくと変化が判ります。 DSC00438-e1499396191739-243x300DSC00451-e1499395881839-236x300DSC00520-e1499928124403-210x300DSC00562-e1500523152398-278x300

術後早期の画像で鼻柱と白唇をトレースして(えんじ色線)、鼻唇角を比較しました。鼻稜から鼻尖もトレースしました(インディゴ色線)。上図左から術前左側面、術直後側面、術後1週間、2週間の側面像です。

DSC00770DSC00306DSC00746

その後1か月、2か月、3か月と診ていくと、鼻尖の位置はさらに下がりました。鼻尖が鼻稜の延長線よりわずかに前にあるのが美しい鼻です。アップノーズとはこの形を言い、白人では至上とされます。但し白人では鼻が長いからで、アジア人で鼻が短いのに鼻尖が前にあったら豚鼻に見えて×です。本症例では見事に鼻が長くなり、理想的なアップノースになりつつあります。

DSC00440-e1499393858663-300x286DSC00516DSC00563-e1500523177623-290x300DSC00772DSC00747

下面像では 術前と術直後で鼻翼の差と鼻孔の大きさが変わりました。術後の画像では鼻尖の両サイドのくびれも見られます。ただし下面像で創をご覧いただくと目立ちました。術後中期的経過で、傷跡は平らにはなりましたが、色がある限りメイクでのカバーが必要です。このように平均3か月で目立たなくなりました。露光が低いのでごまかしているようですが、患者さんも気にならないとの言です。下からの結果も完成に近づいています。

口周りの手術に於いてはエステティックライン(鼻尖と頤を結んだ線と口唇の前後位置)が基準です。ゼロが美しさの条件です。そして、鼻が短く鼻の下が長いと品が無く見えます。要するに”鼻の下を伸ばして”いる様に見えるからです。本症例は口が出ていないエステティックラインマイナスですが、そこは白唇部の長さが影響しています。後日白唇部切除術を予定したいと思います。そこで鼻の長さと高さを要しました。鼻尖の位置を下げて、唇の見える長さを短くします。一歩ずつ理想に近づけていきます。

面長の美人輪郭の本症例では、これらの問題が解消すれば、かなりの美人度のアップが得られます。今回第一段階として鼻の手術をしました。鼻尖の手術は出来上がりまで時間が掛かります。つまり画像上でも長期的経過を診ていかないと美しさが解かりません。3か月の経過を楽しみにしてきましたが、まだ「完成!」とは言えません。腫脹が集中して形態が出来上がるのはまだ先です。これまでの症例でも数週間後には見事な鼻尖が見えてきました。本症例では形態は見えてきましたが、位置はもっと下がります。今後とも画像を提示していけたらいいなと思っています。