2017 . 10 . 19

鼻翼縮小術の内側切除法をした症例で後戻りが起こりました。本来外側切除法が適応です。いや内外切除も検討しましょう。

今回は鼻翼縮小術を依頼された患者さんを御紹介します。実は3ヶ月前に口唇(白唇部)短縮術を施行した患者さんです。ブログにも載せました。大変満足されて、鼻翼縮小術を希望されました。

鼻翼最大幅は37㎜と大きく、内眼角間は28㎜と近く、バランスが悪いのです。ここは重要です。画像をご覧になると判ると思いますが、鼻翼が胡坐をかいています。下方が大きいのです。加齢現象で増大したのは、患者さん本人も認識されています。また口唇短縮術が影響している訳ではないのは、前回の画像を見れば判るはずです。

画像を見ると、鼻翼の張り出しも有り、鼻翼の付け根よりも丸く出ています。何度も言いますが、外側切除は適応が限られます。この様に丸く張り出している症例だけが適応します。丸く張り出していないのに外側切除を受けないで下さい。ただし、外側切除は当然に、創が出来ます。抜糸まではメイクで隠せません。ですから、にわかには受けられません。日程を立てなければ出来ません。

患者さんは鼻翼を治したいと考えました。ただし出掛ける機会があるそうです。外側は切開出来ないので、まず幅のサイズの減少を優先したいとの事。そして内側を切除する案が出ました。内側切除は創が見えません。糸のかかった所も目立ちません。先ずは切らない鼻翼縮小術+内側切除での後戻り防止術を施行しました。

前回の術前と今回の術前の正面像です。

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最大幅37mを32㎜にしました。        最大幅34㎜ですが形が変わりました。

2週間後から後戻りしました。また今回別の面に影響が波及しました。本症例患者さんは3ヶ月前に私が、口唇(白唇部)短縮術を施行して良好な結果に満足されていました。笑顔の時に歯牙が垣間見えて品が良いと悦ばれ、しかも切開手術の割に術後経過が早く治り信頼されました。ところが鼻翼縮小の手術後には鼻孔底が縮小した分、口唇も横方向に寄せられて、余剰が出来て膨らみます。その結果口唇を挙上するのを邪魔します。笑った時に歯が出なくなったとの事です。

更に鼻翼縮小の手術は糸がかかっているために運動痛をしばらく伴います。鼻を動かす筋と口唇を動かす筋は走行が近く、不随意に同時に動きます。痛いから鼻も口唇も動かし難いのです。笑う表情もぎこちなくなります。通常は運動痛も糸が喰い込むまでの数週間で徐々に軽減しますが、個体差はあります。

敢えて外側切除を優先した方が良かったのか?、それとも内外U字切除をすれば良かったのか?。創が露出しているダウンタイムはクリアーできなかったのですよね。でも内側切除と糸による縮小;Medializationでは、機能的に動的形態的な影響が波及した結果ダウンタイムが生じたのです。

近傍で複数の手術をすると相互的影響がどの程度起こるかは、ある程度予想がついても想定外の場合があります。今回はダウンタイムが想定外に生じたので、お直しをしましょうと言うことになりました。今回時間が取れたので、懸案事項となった外側切除を追加することになりました。

今回の画像を提示します。

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先ずは今回の術前の正面像と左斜位像と右側面像

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上はデザインの正面像と下面像。最大3㎜を下方の鼻翼基部の上を主体に取ります。前々回の白唇部短縮術の創跡は露光の関係で見難いですが、その一部を使います。DSC00532DSC00535DSC00539

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上は術直後の正面像、斜位像、側面像、下面像。今回の創は白唇部切除の創跡に一致しています。DSC00523DSC00839DSC00842

上は術後1週間の抜糸時。とにかく取りました。張り出しがなくすっきりはしました。下方を取ったのであぐら鼻が解消して丸い鼻翼になりました。

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上は術後2週間の正面像、斜位像、側面像、下面像。

鼻翼最大幅は35mmに縮小しました。でも外側の張り出しが減ると小さく見えます。もちろん口唇には影響していません。寄せる糸は抜去しました。下から見るとよく判ります。鼻翼の張り出しが減りました。

傷跡はこの様です。目立たないし、折れ返りにあるので、見えない線です。患者さんも「こんな傷なら早めに受ければよかった。糸で寄せたときには唇が膨らんで格好悪かったのに外側の傷はばれなかった。」と言って満足されていました。

でも上に述べた様に、糸は除去したし、後戻りも多かったので、鼻翼最大幅はもう一度寄せたい数字です。患者さんも希望します。でも、口唇が突出するのは困るので、程度問題です。次の手としては、内側だけ切除して内側同志を皮弁を使って寄せれば、口唇に影響が及ばないと考えました。今後検討しましょう。

さらに本症例は白唇部短縮術単独で施行しましたが、やはり相対的に口角が下がりました。当初は様子を見ましたが、他の症例をご覧になり、追加を検討し始めました。

口周りはいろいろな部品が連結しています。いろいろな手術を組み合わせたくなります。全部いっぺんに手術するのは大変ですからひとつひとつ解消していきましょう。実はいっぺんに出来ますがさすがにこの私でも疲れました。

本症例の患者さんはあくなき美の追求に余念がありませんが、都合を合わせるのに苦労されています。これからも私を利用してもらい、私の美容的素養を駆使させてもらおうと思っています。