2018 . 1 . 11

鼻尖増高下制術と鼻稜増高を両側耳介軟骨移植で作り上げました。

一時は鼻尖の手術が続いていました。そういえば最近、口周りのブログ掲載承諾症例が続いていました。鼻は口の上ですから組での手術もしました。今は鼻翼と組み合わせる症例が多くあります。その改善度が素晴らしいからでしょう。実際術後1か月で比較してみるとやはり経過中であり、3か月が完成であると説明できます。3か月経ましたので結果報告です。とは言っても、今回から眼瞼の修正のブログ提示をさせてもらうので鼻の結果を簡単に書きます。

今回は特殊で、両側耳介からの軟骨移植です。鼻尖上に陥没がありこれも増大する必要があるために23×10㎜大の軟骨を要します。両側に分けて耳介軟骨の採取には30分程度は要しますから、両側だと1時間は掛かります。

症例は26歳の女性。鼻の尾根が太く、鼻尖の上にさらに低い船底上の凹み。鼻尖はTDP:鼻筋の延長線から落ちる点が上にある。つまり鼻尖が上にある。鼻柱も鼻翼より上にあり、三角が上向き。要するに鼻柱が喰い込んでいる。

形態的な評価を画像を見ながらしていきましょう。術前と術直後と術後1週間と術後1か月の画像を上から、正面、下面、右斜位、右側面と提示します。それぞれの方向から見てコメントします。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

正面像:一目見て自然な鼻尖の美しさが出来たと思います。術後1週間の画像はテープを貼ってからになりました。本来この様な形の鼻尖になります。ところが術後1か月でテープを貼らないで撮影したら、小さくなっていません。鼻尖の両側の影が見られません。これが術後1か月での瘢痕拘縮の影響でした。だから、術後3か月が出来上がりなのです。そして術後3か月の画像です。鼻尖の形がはっきりして下がりました。鼻尖の上の陥没も埋まりました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

下面像:明らかに高く、しかも尖がっています。鼻尖らしい自然な形態です。鼻尖の形ははっきりしています。術後1週間は、抜糸直後なので傷跡が赤く目立ちます。数週間で赤くなくなりますが、術後3か月では線状陥凹瘢痕となっています。鼻尖の形は下面像の方がはっきり見えます。術後3ヶ月でもまだ創跡が赤いのですが、いつかは必ず白くなります。そもそも見えない場所です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

術前の斜位の画像では、鼻尖の上の陥没が診られましたが、ちゃんと埋まっています。本症例のポイントです。鼻尖への流れも自然です。今回この点は特殊でした。術後3ヶ月では、鼻尖のTDP(要するに鼻尖の上下の位置)は上記と正面像と同様に充分に下方移動が確認できました。また鼻尖と周囲の境界がはっきり見えています。鼻尖の上の陥没も埋まっていて鼻陵がストレートになりました。ただしこの画像では鼻根まで描出出来ない(鼻尖の手術だけなので提示部分を限定する約束でした。)のですが、鼻根は高くないので、実は改善の希望があります。その点については今後の課題とします。下に目隠しの側面像と眼瞼の正面画像を提示しますので、鼻根が見えます。評価は次回

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

術前側面像では上向き加減というか、鼻柱と白唇の角度(=鼻唇角)に注目して下さい。術後は鈍角から直角に改善しました。鼻尖が上向きから前向きになったということです。鼻尖の高さは軟骨一枚が約1mm、3枚で2mm増高しています。鼻尖下制も1.5mm達成されているから、鼻唇角が改善されているのです。術後1か月の正面像や斜位像では、鼻尖が下がって見えなかったのですが、側面像では見事に下がっているのが判ります。鼻唇角もむしろ鋭角になっています。術後3ヶ月の結果は完成です。鼻尖の位置が明らかに下がっていて目的を達しています。

耳甲介軟骨は、鼻尖の理想的な湾曲にマッチします。今回は、左耳介から13×10㎜、右耳介から10×10㎜の軟骨を採取しました。上右図は左図の左(Donor:左耳介)の軟骨を3つに切り分けた後です。3枚に切り分けた軟骨を重ねて糸を通してピラミッド型にします。その後移植しました。移植軟骨を鼻尖の皮膚の上に、もう一枚を鼻尖より上の陥没部に乗せました。その形態が鼻尖の表面に反映しています。

そこでもう一度術前と術後3か月の画像を比較します。正面像、下面像、右斜位像、右側面像です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

形態的な改善度がよく判ると思います。今回の手術は最近の私の定番の手術ですが、自然な形態を作り上げられていると思います。私はアジア人の平均的な外鼻の形態を知っているからです。 平均的なアジア人の鼻は白人に比べて前方凸ではないし、高さに比して幅がある人も多いです。改善の余地が=バリエーションが増えました。平均値よりも大きい鼻尖や鼻翼は小さくしたいし、鼻稜はまっすぐかアップノーズにしたいし、鼻唇角は90度を基準にしたい。両側鼻翼基部と鼻柱基部を結んだ三角は下向きか少なくとも水平にしたい。(*注釈:アップノーズは鼻尖が鼻稜よりわずかに前にある形を言います。)今回の症例は鼻尖の標準的な格好に作り上げました。鼻尖の上が陥没しているのは珍しいとしても、そこを埋めたら鼻尖が低いので話にならない。鼻尖から鼻柱の位置が鼻翼より上にある。鼻柱が上向きで鼻唇角が鈍角。これらの点を改善するべくの手術が出来ました。術前に頭の中でイメージを作り、手術中に形を見ながら作り上げていきました。