2018 . 3 . 9

鼻翼と鼻尖縮小術から3年越し。お待ちかねの眼瞼手術を楽しみにしていました。

何はともあれ見て下さい。3年の経過で数字的に定着しています。下の二図が3年前の術前術後CIMG3367CIMG2327DSC00771

右図は現在で、術後5年です。鼻翼(=こばな)の幅を最大幅で計っています。術前が40㎜でした。術直後に34㎜まで引き締めました。1週間後には37㎜まで戻りました。1年後に再度33㎜まで引き締めました。2週間で35㎜まで戻りました。内眼角間(目頭の間の)距離33㎜に近づきました。

この様にこれまで何年間か私が手術をしてきた患者さん。当初から眼瞼をもっとパッチリクッキリにしたいとの希望がありましたが、鼻から入ってやっと眼瞼手術に到ったのです。

本症例の患者さんとはこれまでの診療経過中に信頼関係が深化しているため、手術中は安定して進行しました。でも術前の診察に於いては何回か検討を重ねました。患者さんの希望を汲み取りながら、自然にあり得る良好な形態と機能を得る為に時間をかけました。

そうです。重瞼術&眼瞼下垂手術と目頭の拘縮解除の為のZ−形成術は自然界にあり得る,、最高に良好な形態と機能を作り上げる手術です。

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本症例はこれまで他院で埋没法を受けています。ご覧の様に開瞼が不足で角膜(黒目)の上が2mm以上隠れています。また、目頭の部分の蒙古襞が被さり、襞は下眼瞼に付着しているから突っ張って(拘縮)開瞼を阻害(抵抗)しています。内眼角間も、離れています。

このような開瞼不足の状態を眼瞼下垂としますが、一重瞼だった人では先天性に存在していることが多く、また皮膚が被さって眼を開きにくいので眼瞼挙筋の成長が不足している人がおおいのです。また一重瞼の人は必ず蒙古襞の拘縮が強い状態を伴います。

このような形態と機能を呈している人には、まず第一に一重瞼を二重瞼に改善し定着させて、皮膚が瞼縁に被らない様にするべきです。そして伴う眼瞼挙筋の筋力の成長不良を改善して挙げるべきです。蒙古襞が被さり内側の白目が隠れているのでより目に見えます。この点に対して形態的に改善が求められますが、蒙古襞は拘縮を伴い開瞼を阻害しますから、拘縮の解除が主目的の手術をするべきです。

何度も書いてきましたが、一重瞼の人は蒙古襞の拘縮を伴います。遺伝子が決定しているからです。ですから、一重瞼を二重瞼にする際に蒙古襞の拘縮を同時に解消する方が自然な解体と機能を作り上げられます。

未だに「自然な。」とかなんとか言う患者さんが居ますが、一重瞼を二重瞼にする際に蒙古襞を解除しないと自然な形態になりません。しないと吊り目になり、奇異な印象を呈します。街中でもよく見かけます。たとえ末広型の二重瞼を望む場合でも、一重瞼の人の蒙古襞の拘縮を温存しているとたやはり奇異になります。目頭切開の目的は末広型を平行型の二重瞼にするためではありません。あくまでも拘縮の解除です。一重瞼に伴う蒙古襞の拘縮のままで二重瞼にすると不自然な形態になります。

本症例では二重瞼を最高位に設定する希望を表しました。その場合アジア人では瞼板上下幅が7.5mm以下ですから、重瞼の高さも7.5mmを限界としています。白人では瞼板の上下幅が11~13mmありますから、二重瞼が広いのです。原則的に白人と黒人は全員二重まぶたです。

画像で見られる様に、広い二重瞼をデザインしました。7mmです。8mmでシミュレーションしてみたら、重くて開きにくく眠そうな目になりました。ご覧の様に開瞼時に眉を挙げる反射運動が習慣になっているので皮膚が伸展しているので、幅3mmの切除を加えますから、開瞼時の見かけ上の二重幅は(3-1)÷2=1mm広くなります。

重瞼のラインは、眼球のカーブに沿って自然にできます。したがってこの幅では内側は蒙古襞の表面に乗って平行になります。でもそのまま蒙古襞の拘縮を温存すると重瞼の最内点から襞が突っ張って、しかも吊り目になります。開瞼を阻害します。シミュレーションで確認しています。

何度も書いてきましたが、蒙古襞は被さりと拘縮の二面性があり、切除すると被さりを除去できますが、縦の傷跡は術後に必ず拘縮してしかも陥凹するので、球面である眼瞼に凹みがあると目立ちます。三日月形切除の傷跡が目立つのはこのためです。S美容外科を始めとするチェーン店美容屋が未だにしてしまいます。困りものです。犯罪と言えます。

形成外科医にとってZ-形成の術式と幾何学的な理論的なデザインはお手の物です。一辺4mmの60度のZ-形成は横方向に1.5mm開いて、縦方向に3mm伸びます。図示します。

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上図の如くのデザインを蒙古襞の稜線に沿って縦辺を引いて正三角形の皮弁を入れ替えると上記のような形態変化が得られます。症例の画像でもメジャーは当てていませんが、幾何学的に数字通りの変化が見られます。これも何度も書いてきましたが、このようにパッチリクッキリの二重瞼には目頭が被さっていないのが自然な形態と機能を呈します。

今回の画像掲示は術前と術直後だけですから、腫脹のために形態は判定できません。機能的にも左眼瞼は腫脹で開瞼が不足となっていますが、右眼瞼はキリッと開いています。それでいて7mmラインの広い二重瞼がくっきりと引き込んでいます。今後の画像提示を楽しみにして下さい。

過去の症例提示はたくさんありますが、どの症例でも自然でキレイな形態と機能を呈しています。初診の患者さんの中にはスマホでブログを開いて、「こんなに綺麗にして欲しい!」と訴える方が多くいらっしゃいます。本症例もその一例になるのは間違いないと思います。