2020 . 9 . 29

人中だけでない白唇短縮術追加を求められました。頤が短いからそちらも治しましょう。

私は口周りの手術の専門家の如くに、SNS上で囁かれている様です。違うってばあ〜!。上白唇短縮術を始めたのは5年前です。メキシコ出身の USAの有名な美容外科医が国際皮膚科学会誌に発表した論文 ’2003Jun;2(3):303-6.The upper lip lift using the ‘bull’s horn’ approach Oscar M Ramirez’ を読んで始めました。口角挙上術も、5年前に韓国の医師がデモ手術 ,Live surgery をして見せてくれてから飛びつきました。当初の症例では上白唇短縮術を単独で、その後は多くの(約3/4)症例で口角挙上術を併施しました。1例目も2例目も今でも私に罹っています。本症例も2年前ですが、一回目が落ち着いてからは来院せず、久し振りに追加手術に来院されました。

私は32年前に医師となって直ちに形成外科に入局しました。もちろん私は美容外科医になるべく形成外科に入局しましたから、安月給なのに新人時代に高い美容外科の学術書を、5冊も買い込みました。教科書的医学書には、必ず初段に基礎的知識から掲載されています。そこに顔面のバランスは必ず詳説されています。32年前!?「旧い奴だとお思いでしょうが・・!。」口周りの手術には、顔面のバランスをとる手術ですから、今でもその知識が応用されています。容貌における理想像は、昔も今も変わらないからです。逆に言うと、もう何十年も勉強してきた私と、まだ美容外科医に成り立ての勉強する間もない若造とは、雲泥の差があるのではないでしょうか?。

とか偉そうなことを言っていて、私は計測して、個々の患者さんにフィットしていた手術デザインをしているつもりが、不足なことがあるのです。本症例は2年間待って追加手術しました。また当初から、E-ラインを指摘して頤形成をも示唆していながら、口角挙上術と同時に施行は出来なかった。やはり追加したくなり今回は同時に可能だった。これは患者さんが良い選択をしたと言えます。上白唇短縮術と頤(プロテーシスに依る)形成術は同時に出来ます。また鼻と頤は離れているので同時施行した症例はブログにも載っています。ただしまず上白唇短縮術をしますから、その後頤形成の頃には、局所麻酔が切れてくると痛いでしょう。ならば静脈麻酔もいい手です。

症例は47歳女性。2年前に初診。白唇長20㎜で5㎜切除。歯槽が前突しているので外反は不要と考えた。顔面の縦長は上顔面(生え際〜眉下)70㎜:中顔面(眉下〜鼻下)54㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)62㎜と長くない中で下顔面が中顔面よりも長い。其の内上口唇(白唇+赤唇)28㎜:下口唇(赤唇〜頤尖)39㎜と黄金比率の5:8より上が4㎜長い。眼裂横径30㎜:鼻翼幅36㎜:口唇幅50㎜なので、口角は目尻に向けて35度5㎜挙上。頤は長くない。ただし水平線がある五角形の頤。ヒアルロン酸でシミュレーションしておいた。術後のダウンタイムが遷延したがが、術後3ヶ月にはスッキリした。笑顔になった。ただし頤の梅干し状態も遷延し、BTXした。やはりE-ラインより口唇が前=両顎歯槽突が影響していることは告げた。

2年ぶりに来院。今回はまず、E-ライン+2㎜なので頤を前に出して、三角形に尖らせたい希望を述べられた。三角形の3㎜厚のプロテーシスを、頤尖を超えて剥離し、さらに糸で下に引き出して固定も図るプランを立てた。次に白唇短縮の追加を求められた。現在16㎜で1㎜は後戻りが起きた訳だが、傷跡はご覧の様に広がってはいない。下顔面は60㎜と前回の計算通りになっている。上口唇23㎜:下口唇47㎜で4㎜切除可能。やはり外反不要。弓が明瞭である。ただし前回と今回で鼻柱部を5+4=9㎜と短縮しすぎると富士山型になり兼ねないので、鼻翼下は4㎜切除でも鼻柱下=人中部は3㎜切除のプランとした。

確認のため来院し、外反不要。鼻柱基部を両側1㎜寄せるシミュレーションして計画が追加された。さらに静脈麻酔を要請された。

画像は今回の正面像から、術前と術直後。

IMG_1415IMG_1425IMG_1431

上中央はデザイン画です。下の近接画像も。

IMG_1421IMG_1426IMG_1432

綺麗に赤唇にアートメイクしています。口角は前回の手術効果が保たれています。術直後は赤唇が腫脹で分厚くなります。鼻翼は引っ張られますが、必ずもとの位置に復します。

下顎角から頤のカーブも診ましょう。

IMG_1422IMG_1433

頤は前に4㎜出して、長さは変えずに尖らせました。頤尖にある白い物は糸でプロテーシスを引き出してガーゼを挟んであるのです。3週間でポケットが完成して固定されるまで糸で固定します。尚、頤が長く見えるのは腫脹です。

今回は術中画像も撮りました。

IMG_1430IMG_1428

上左図は口腔内を切開子プロテーシスを納めるポケットを作製した直後です。後面は骨膜で、前面は頤筋群です。両サイドには頤神経孔があります。前から四番目の歯よりも外で下顎骨縁から最低1㎝離れています。頤神経孔を意識してそれより外側にはポケットを造りません。

上右図はプロテーシスの正面像。厚さ5㎜、幅約2㎝。上が厚く頤唇溝を造ります。した縁は下顎縁のカーブに沿いますが、今回は中央を頤尖より下まで剥離して水平面を無くします。見ての通りこれがポケットに納まります。

斜位像ではE-ラインの変化が判ります。

IMG_1416IMG_1438

側面像ではしゃくれに写っていますし、赤唇が腫れて尖っています。必ず治ります。

IMG_1418IMG_1434

翌日に診たら、笑ったら鼻の下から出血したとのこと。しかも痛かった。傷跡は笑う動きでは広がらないと説明。頤のテープは貼り替えた。

こうして術後1週間で鼻の下の抜糸のために来院されました。

IMG_2202IMG_2203

5+4=9㎜切除したのに、創傷治癒は遷延しませんでした。よかった!

IMG_2206IMG_2208

左右斜位像(側面像がない)では赤唇の主張が軽減してきて、E-ラインの改善と相俟って優しい品のある口元です。

よかったよかった!と思っていたのに頤プロテーシス挿入の口腔内の創が約1.5㎝嘴開していました。

IMG_2200よく見えませんが、慌てて4針再縫合しました。診ると、食物も挟まっていました。除去します。プロテーシスは隙間に見えますが中縫いが保たれているので露出はしません。通常口腔内の創は治りが遅くても治ります。再縫合してさらに2週間待ちましょう。術後2週間も診たいと思います。

その様に考えていたら、4日後に来院されました。「プロテーシスが見えるみたい!?。」との事。一部(両側2)は着いているのに、中央2針の間が開いています。上と同様にプロテーシスは露出していませんし、隙間が小さいので見えません。白く見えるのは肉芽です。また慌てて再縫合しました。

IMG_1650黒い部分が隙間です。

そこで患者さんと二人で考えました。上白唇短縮術をすると、しかも5+4=9㎜ですから、口を閉じようとしても現時点では痛くて上口唇は降ろせません。日常行為として、特に摂食時に(構後時も)口を閉じる不随意運動は行われますから、その際に下口唇を引上げるしかない訳で、通常よりも運動域が大きくなるので傷がズレるのでしょう。

そうか!?。上白唇短縮術と頤形成術は部位が離れているから同時施行が可能だと考えていましたが、術後の下口唇の運動域が増えて影響するのでした。なんとか治る様に待ちます。患者さんに打ち明けました。「実は外鼻形成術と頤形成術の同時はブログにも載っていますが、上白唇短縮術と頤プロテーシス挿入術の同時は初めてかもしれません。」患者さん「頤プロテーシスの患者さんは少ないですものね。」と返しますから、私「いや私は昔からよく手術しています。」と答えました。父の遺産の頤プロテーシスはオリジナルで私しか持っていません。特殊な適切な形なんです。上白唇短縮術との併施は患者さんの希望に従いましたし、静脈麻酔なら可能でした。早く治ることを祈ります。

その後術後2週間で鼻翼の横の抜糸に来院されました。まだ傷はあります。その4日後に拝見しましたが、創は自然に癒合しています。口腔内の創は粘膜が再生します。

頤の腫脹も軽快傾向で下への延長が減少してきました。この点は触診で判ります。皆さんも頤の先端を触れてみれば判りますが、皮下に骨が触れます。下顎骨には、前には頤筋が起始して、後ろには舌骨筋群が起始していますが、下顎骨縁には筋が付着していません。だから皮下組織だけです。だから腫脹して厚くなって長くなっても触れてみればそれが腫れだと判ります。重力で腫れが垂れる部位なので、他の部位よりも長引きますが、減ってきました。最終的には長さは増やしていませんからバランスが取れます。

術後1ヶ月です。まず口の中を診ます。もう治りました。画像を診ましょう。

IMG_2864IMG_2869

閉口した際の口元が美しい。比率が適切です。もちろん頤の長さは腫れでした。

IMG_2868IMG_2865

斜位像、側面像ではE-ラインよりも口吻が2㎜後ろにあるのが最も美しい。側面像で降格のキュンと挙がっているのも美しい。赤唇を綺麗に描いているのもセクシーな女性を演出しています。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに説明を加筆しています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。今回は2回目で短縮量を減じたので、20%下げました。頤プロテーシス挿入術は消費込みで22万円です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料としてさらに20%オフとなります。