2021 . 6 . 9

E-ラインよりも口吻が後でも鼻唇角が鋭角だと口が出て見える。鼻唇角を鈍角にするプロテーシスの適応です。鼻柱基部だけに入れるのではありません。

韓国では流行らせてくれましたが、今は渡航制限されますから、当地で手術も受けられません。だから私に罹るのでしょうが、毎回書いてきたように、鼻唇角プロテーシス挿入術は私と父の開発した手術です。台付きL型隆鼻術の一部を応用したのです。

プロテーシス挿入術は他医が抜いてみれば、どんな物かが解ります。父が馴染みの患者さんに頼んで、当時最先端のJ病院でわざわざ隆鼻術を受けてもらい、それを抜いてプロテーシスの形を調べたことがありました。コレクションしていたのを、見せてもらったことがあります。他の医師からも同様の手順を聴いたことがあります。

現在は昭和36年の国民皆保険制度成立以来、一般医療に於ては保険診療を主体とします。新たな医療の手技は学会やマスコミに発表して、医学界で有用性を議論して、厚労省に申請して認可を受けなければ、保険医療機関では推奨されません。対して美容医療に於ては自費診療なので、施行者の医師の裁量権の範囲です。もっと言えば思い込みで遂行されても、患者さんは受けるかどうかは自己判断します。ですから画像や費用の開示はしても手技は公表しない医師が多く、美容医療は秘密主義だと云われる所以です。更に言えば、直後や中期的な経過は患者さんに見えても、手術がどう為されたかとどんな物が入っているかはブラックボックスですから、長期的経過は不明だし、後遺症も不明なのです。

ですが、上記の様な手を使えば情報を得られます。これも医師の裁量権です。鼻唇角プロテーシスも、鼻唇溝プロテーシスもその様にして知られていったものと思われます。そうなれば医療広告規制の緩い韓国では、現代ではネットを使って日本にも進出できます。更に彼らに学んで本邦の医師にも逆輸入もされます。

こうして貴族手術とか猫手術と称してネット上では流行しています。なお、ネコ手術=鼻唇角プロテーシスを鼻柱基部プロテと称する本邦のクリニックがありますが、用語上は間違いです。鼻翼基部,columella baseとは、鼻柱の両側と白唇との交点です。面ではありません。貴族手術=鼻唇溝プロテーシスを鼻翼基部プロテーシスと称している輩が多いのですが、これも用語上は間違いです。鼻翼基部,allar baseとは鼻翼の最下部が白唇と交わる点です。場所が違います。これらの点は、口唇裂の手術のデザインの基準点です。口唇裂では非対称性=左右差があるので、基部の位置を目印にデザインして、手術して、対称的に造り上げることが求められるのです。形成外科医にとっては常識ですが、形成外科を経ずして美容外科に就職した医師には聴いたことがない知識です。

鼻唇角プロテーシス一つとっても細かい知見が必要なのです。サイズや角度、位置や材質。鼻中隔との関係を考慮する必要があり、誰にでも同じものを入れる訳ではありません。プロテーシスは手術中に修正します。創の位置もいかに見えない部位に置くかは経験で修得します。近年はレティナーを使い正中化を図流など術後経過も進化しています。鼻唇角プロテーシスの有用性を高めるためですが、適応症例は慎重に吟味しています。多様されるべきものではないと思います。

症例は25歳女性。これまで私が眼瞼等の手術をして来た患者さんで、最近このブログで鼻唇角プロテーシスの記事を視て「口元が出て見えるから、治したい。」と思ったそうです。診ると(これまで何度も診て来たのに・・、この部分には触れずに来てゴメンナサイ!)確かに上歯槽が前傾していて、鼻唇角が約75度と鋭角です。ですが、鼻が高くて鼻陵が鼻尖まで直線的で、頤が前にあり、E-ラインは一直線上に鼻尖ー口唇ー頤が並んでいて、両顎(上下の歯槽骨)の位置は前に出ていないのに、上下歯槽が前突しているので、”口が尖って見える”。つまり骨格的に鼻柱基部のANS,Anterior Nasal Spine:前鼻棘が後方で、赤唇がそれよりかなり前方ということは、鼻唇角部を前に出したら口が尖って見えなく出来る。鼻唇角鈍角化を目的として増量する適応だと言えます。

鼻唇角を90度目標としてプロテーシスを希望された。また鼻唇溝に関しては、2年前に何故か頬の脂肪注入を受けたら、余計に深くなったので、プロテーシスを検討していたが、私としては先ず脂肪溶解してみて、効果の程度により検討しようと提案した。

もう一度診察し、患者さんはこれまでの症例のブログも視て吟味して下さり、(後戻りでは無く)腫れに依るオーバーコレクションを加味して、95度を目標とする事を求めた。鼻中隔軟骨先端から鼻柱表面までの距離は触れると約5㎜で、更に鼻唇角を3㎜増大で、5+3=8㎜の材料を入れる事を決めた。鼻唇溝プロテーシスは後日検討することとなった。

手術当日には8㎜+@のプロテーシスを用意しました。

画像を経時的に各方向から視ていきましょう。術前から。

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正面からは鼻柱そのものが見えません。鼻唇角とは鼻柱が白唇と交わる角度です。鋭角に喰い込んでいると見えないものは見えません。やや下から撮ると、鼻柱基部は鼻翼基部より上にある所謂上向き三角です。鼻唇角は診られる様に鋭角的です。

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4方向の画像では鼻唇角が測らずとも判ります。一目診て75度と見立てました。上白唇の前傾が原因です。赤唇は縁にリッジ、畝があり結節もあって可愛いのですが、E-ラインより後だからです。要するに上歯槽骨の前傾が強く口が尖って見えるのです。

下には術直後の画像です。

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正面像では、鼻柱そのものは見えません。基部も見えません。下からのあおり画像では鼻唇角の角度が喰い込んでいませんが3次元的には判りません。

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4方向の画像では明確に効果が判ります。角度は鈍角です。これは腫脹です。ですからオーバーコレクションにしました。斜位像で上白唇が尖って見えなくなりました。口元がより下がって見え楚々として見えます。

DSC05948最近は鼻唇角プロテーシス後にレティナーを使ってもらい左右対称性を保ってもらえます。マスク生活だから出来るのです。

翌日に来院してもらいます。

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内出血が出現しました。そのため鼻柱基部が見えます。いつも言う様に術後48時間は侵襲に対する反応=内出血や腫脹が増加します。内出血が起きると吸収には平均2週間罹ります。

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翌日は腫脹が亢進するので、鼻唇角は更に鈍角になります。鼻尖も腫脹で押し上げられます。

術後1週間でも画像を頂きました。

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まだ内出血は吸収中です。

DSC06328DSC06327DSC06329DSC063304方向では角度が直角の90度に戻りました。

鼻唇角プロテーシス手術に於いて、内出血は約半数の患者さんに起きます。鼻唇角プロテーシスは小さく長いので、挿入するポケットは小さい(約5㎜)切開から深く、骨(ANS,その下の骨)の上まで剥離しますから、バイポーラーメス(二極で挟んで血管を焼き止めるメス)での止血が難しいのです。ポケットがプロテーシスと同サイズなら挿入したら圧迫止血になり、術直後には出血が止まりますが、後から隙間に出血して、皮下に浸潤します。その上に、ここは皮膚が薄く、内出血が透けて見えてしまいます。もし目立つなら、抜糸後にはメイク等で隠せますが、鼻唇角プロテーシスは創が鼻の中で操作が難しいので真皮縫合を出来ない為に最近は抜糸を遅らして(2週間)います。

その様な症例ですが、何か手違いで抜糸予定の術後2週間に来院をされませんでした。なので内出血が吸収される筈の術後2週間まで待ってから、ブログ提示しようと考えていました。そして下には術後2週間の画像群ですが、日程が合わなくてやはり私は診られませんでした。

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まだ内出血がわずかに残っています。糸が無ければ創は見えない手術です。

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4方向で診ると、形態的に改善した明らかな変化が判ります。代診の医師は、何もコメントを記してくれませんでしたが、美容皮膚科医ですから、若しかして手術術式を知らないか?、若しかして顔面の形態的評価の知見に欠けている?のかも知れません 。抜糸はしてくれました。

予定外ですが、術後3週間で診せてもらえました。やっと診られて嬉しいです。

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正面像ではうっすらと笑顔を造ってくれました。口元がスッキリして優しさがアップしています。下からのあおり画像でも、もう内出血は吸収されました。創跡はもちろん見えない部位です。

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4方向で鼻唇角は予定通り90度となりました。「オーバーコレクション、95度を造って良かったですね!?。」「○○○さんの要望でしたよ。貴女の勝利です。ブログ視て計画立ててくれたんだもんね?!。」と私が念を押したら、「嬉しい。」と優しく答えてくれました。

更に私が「口元がスッキリしたね。もう腫れは取れて、ダウンタイムも過ぎたかな?!。美人度アップしたね。」と念を押すと、患者さん「鼻が高くなったと云われました。」私は一瞬戸惑い「長いプロテーシスを入れると鼻尖が押し上げられるのです。」とドヤ顔で言っておいてから、カルテを見ると、その様には書いていません。

頭の中で考えても判らないので、画像を見直してみます。すると、そ〜か!と判った様な気がしました。側面像で視ると、術前と術後で、鼻柱基部から鼻尖への距離、つまり鼻柱の長さは同じです。ですが、角度は違います。術前は後から前に水平より下向きです。術後は斜め上に向きます。従って、長さは変わらなくても、顔の土台から鼻尖への水平の距離は増えています。つまり高くなっています。下がり鼻を”本当の”アップノーズにするのが鼻唇角の効果ですから、その様になります。

この瞬間に私は感じました。そこに気付いて教えてくれた患者さんに、感謝します。美的センスの高い女性ですね!。その様な患者さんの治療に携わる事は美容外科医として幸せです。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

料金も提示します。鼻唇角プロテーシスは15万円+消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。