2023 . 3 . 13

加齢で深くなった法令線、医学的には鼻唇溝。鼻翼の側方の三角形の窪みだけプロテーシスで埋めれば”線?、溝?”も見えなくなります。。

明けましておめでとう御座います。2023年のブログの書き初めです。とか言って、昨年12月中は手術三昧で、大きな手術が多く当然モニター希望の症例も多いのでしたが、新たな版を描きませんでした。正直忙しかったからではありますが、実はもう二つ、ブログを書くアプリが更新されて使えなくなったのと、いつもクリニックで使っているPCが壊れたというか古くなって動きが落ちたので書けなかったのです。やっとMacを買い揃えて、ソフトの使い方も専門家に教えてもらって、今年に入ってやっと、順次ブログを書き始めました。ところで本当にブログは私が書き連ねているからこうなったのです。その証拠です。文章も面白いと言ってくださる方がいらっしゃいます。でも本年の何回かは前振りを割愛します。アッ、この文をを前振りにします。それでは書き始めます。今年も始まります。

症例は61歳と私より一つ年下の女性。持病の為にやつれて見えます。しかも持病は喘息持ちでステロイドを常用しています。内服量も変遷します。ステロイドは創傷治癒過程を阻害するし、出血傾向を増長します。つまり内出血も拡大させ、吸収も遷延します。患者さんはご理解されていますが、術者は怖いです。でもやつれている感じを治したい気持ちは十分に汲みます。

患者さんは一昨年の5月に初診されました。実は美容医療にかなり興味をお持ちで、これまで幾つかの手術を受けていらっしゃいます。私にかかって小さめの手術から進めました。当初から鼻唇溝プロテーシスは希望されていました。他の症例では鼻唇角プロテーシスと鼻唇溝プロテーシスを同時に手術している場合が多いのですが、本症例ではやはり創傷治癒過程に影響があり得るので、一つ一つ別々に行いました。患者さんも理解されています。今回やっぱり内出血が拡大しましたが、患者さんは折り込み済みでした。年末年始で困らなかったそうです

実際に計画を立てたのは昨年の4月からです。まず鼻翼縮小術と鼻唇角プロテーシスから施行しました。その後口角挙上術も施行しました。鼻翼の傷跡は表側ですから触らないで出来ますが、直下にポケットを造る訳ですから、傷跡の線を引っ張る力が働くので、時間を置きました。

今回実は鼻唇角プロテーシスが動いて修正してから、口角挙上術を施行して、やっと安定したのを確認してから、鼻唇溝プロテーシスの順番が参りました。12月初頭に診察して、鼻翼の傷跡が落ち着いているのを診て、計測しました。計測法ですが、側面から診て、鼻唇溝上三角の底にルーラー(定規)を当てて、頬前との段差を測ります。本症例は6㎜でした。ただし画像を観てもわかる様に鼻唇溝が窄まっているので陥没部の面積は狭いです。

画像は各方向を術前から観ましょう。

正面像は座位立位と仰臥位の二葉。座位では深く6㎜深、仰臥位では浅いのです。測っておいてよかった。座位で予め、三角形の頂点にマーキングしています。

4方向では上記の通り6㎜の深さが見えます。

仰臥位の近接画像でマーキングを点線で繋ぎました。仰臥位では、下からの画像でも深さが見えません。下にプロテーシスの作成画像。

実はこれは頤(下顎尖)に使うプロテーシスの最小のもの。正面像と下面像。両側分の大体のカットラインをマーキングしてあります。

上左図はカット後。上右図はさらに面取りカット中。

上左図は顔面で鼻唇溝のデザイン上に載せた図。上右図は滅菌シート上に絵を描いて置いた図。

これを横向きに持って厚さを測りました。6㎜です。

手術時は鼻翼内側の鼻孔内を切開して、マーキングの深部に骨膜上にポケットを作り挿入します。洞穴の中の手術なので画像は撮りませんでした。上図は術後の座位の正面像です。術前と比べれば平坦化しているのが見えます。下面像も座位ですから見事に埋まっているのが判ります。

術後の4方向の画像では頬前と鼻唇溝上三角の段差が埋まっています。鼻翼の付け根がちゃんと見えます。

術後1週間の画像です。やはり内出血が酷かったです。

生体は侵襲に対して48時間までは反応が増強します。ダウンタイムのピークです。内出血は術直後は見えませんが、術後拡がりました。ステロイドの影響です。特殊な症例です。

4方向で見ても、内出血は鼻唇溝に沿って下方に流れています。でも鼻唇溝の上方部の三角形は埋まっています。

下面蔵でも平坦ですが、この画像は上を向いて撮りましたから仰臥位の様に平坦です。

次回術後1ヶ月ではダウンタイムは終わっていますでしょう。画像が紛失してしまいました。術後3ヶ月の完成像を観ましょう。

位置は適切で、画像を視れば明らかに明るくなっています。

4方向で診ても、溝が浅く頬に埋まっていません。「完成!。」と言う間もなく患者さん「ほうれい線が目立たなくなったら、口元がきになってきましたね。」と仰る。近々予定しましょう。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログに加筆しています。もちろん画像操作はありません。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。今回の手術:鼻唇溝プロテーシス挿入術は両側で28万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。