2023 . 5 . 14

いよいよ上口唇短縮術をさせてもらいます。待ってました。

上口唇短縮術は私の救世主です。欧米では約20年前に学会発表されて、論文も手許にあったのですが、日本ではやはり遅れて約10年ほど前からよく行われる手術となったのです。当初は患者さんも二の足を踏んでいました。顔の前に傷跡が着くので怖がるのです。

美容外科で定式として、顔面の前面の見える線を切開する手術は、眉下と上口唇だけです。他には例えば、リフト手術は顔の横で耳の前の線は折れ返り線ですから目立ちません。前額リフトは生え際で目立ちません。鼻柱を切ってもW切開なら消えますし、対面では見えません。口角挙上術の傷跡は赤唇縁で見えません。上眼瞼の切開線は重瞼線ですから目を開いている間は見えませんし、アイメイクで隠せます。下眼瞼の切開線はまつ毛の根本で見えません。

眉下切開と上口唇短縮術の切開線は顔の前ですが、長い線です。ここで問題です。外科手術の傷跡は施行者により差がありますか?、答え→あります。体表の特に顔面では、縫合法により全く違う仕上がりになります。そのこころは、医師になってからのトレーニングが大きく影響するからです。医師は国家試験に受かって医師の資格を持ったからと言って、手術や診療をしたことはないのです。いや学生時代にしてはいけないのです。医師国家試験は最低限の知識を担保されているだけです。合格後の道は自由ですが、通常大学等の大病院に入職します。すると、手を取り足を取り教えられ、また研鑽しなければ居場所がなくなります。座学もおろそかにすると時代の水準に追いつかないから、仕事が減ります。トレーニングとはこのことです。ところが美容外科チェーン店では、いきなり就職したり、他科からの転向者が大多数を占めます。ビジネスですから、見様見真似で手術を覚えます。

そして体表面の縫合法に於いては、形成外科では基本的主義をみっちり学びますが、美容外科チェーン店では教える暇がないのです。真皮縫合の質と量の差が歴然です。顔面の前を切開縫合する手術ではその質と量が仕上がりを左右します。真皮縫合をいわゆる中縫いというのは曖昧です。確実に硬い真皮を合わせてかと言って表面に出ない様に縫合するためには繊細な技術を要します。そして真皮縫合後に隙間なく合わさっていなければ、術後経過で数週間の間に傷跡の線の幅が拡がっていきます。帯状の傷跡の線と白い幅がゼロの線では見た目に全く違う仕上がりになります。

細かい話をしました。要するに、顔面の前を切開縫合する上口唇短縮術では、傷跡が広がって幅が出てしまっては、後戻りします。私は形成外科も美容外科も34年間研鑽してきましたから、真皮縫合の技術を磨いてきました。上口唇短縮術では約5㎝の長さの傷を平均18針縫合して、全部縫ったら隙間がないことを確かめています。そして、年間50例近い症例の中で、幅が拡がって後戻りした症例は年に一例程度しかありません。

その様な訳で、上口唇短縮術は形成外科と美容外科の両方を研鑽してきた医師だけが手術するべきです。日本では形成外科と美容外科は違う科目です。主に形成外科は大病院で、美容外科は開業医で診療されています。私は医師となって直ちに北里大学病院形成外科で研修を始め、16年間在籍しました。同時に父が院長をしていた銀座美容外科医院でアルバイトしながら、手術も手伝い学びました。ちなみに大中小病院で診療する形成外科医は日本形成外科学会会員で数えると5千人は居ます。専門医も千人以上認定されています。私は6年間の研修後に形成外科専門医を認定されてから、日本美容外科学会のうちの一方のJSAPSで、その6年後に専門医を認定されました。形成外科と美容外科,JSAPSの両方の専門医を持っているのは全国で百人程度しか居ません。

この様に私は、上口唇短縮術の結果を、他の誰よりも上手く造り出せると考えました。結果を出して、当時多くの美容外科医が載せ始めたブログに私も載せ始めたら、患者さんが次々に来院されました。さらにコロナ禍でマスク生活になると、カモフラージュできるため殺到しました。他の業種や多くの美容外科が辛い時期でも、上口唇短縮術だけはむしろ減りませんでした。救世主だと書いたのはその意味です。私が有利だからそう考えるのです。

症例は57歳女性。上口唇が長く、口を尖らせる癖があるのを気にしていた。いろいろSNSを見回っていたが、やはり私のブログを視て、結果を信頼できるので、昨年初めに初診されました。他の部位のブログも見て下さっていて、いくつかの手術を先行しました。私は上口唇が前傾する患者さんには、短縮で更に前傾が強調されないかと、躊躇することを言ったかも知れません。そしてまず口角挙上術を先行しました。その後他の部位の手術前後にも、何回か診察して、その度に上口唇短縮術も念頭に入れていました。

初診時のカルテに記載があります。上白唇が前傾して鼻唇溝上方の三角形の窪みが深い。白唇は17㎜で黄金分割比率より上口唇が3㎜長いため、4㎜切除が適応。1.5㎜寄せる。他の部位を診察し、手術に到りました。こめかみリフトと口角挙上術をブログに提示しています。

今回デザインを検討しました。まず計測します。鼻柱の下中央で赤唇縁のCupidの弓まで18㎜あります。鼻翼基部の下で赤唇縁まで21㎜と両サイドが長く、短縮量を変えれば口が尖らないと考えました。鼻柱基部直下で3㎜、鼻翼基部直下で5㎜切除のデザインを提示しました。かと言って、尖った口は端から端まで全体が前傾しているので、中央だけ前に向ければ抑揚の表情が得られるのではないかと考えました。したがって両側鼻柱基部で人中綾を内側に1.5㎜ずつ寄せた方が良いと考えました。上顔面(生え際〜眉下)65㎜:中顔面(眉下〜鼻下)65㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)65㎜と面長でも上中下のバランスが取れているが、上口唇(白+赤)27㎜:下口唇(赤〜頤尖)38㎜と黄金分割比率より上口唇が長いと言う計測結果です。

画像を視ましょう。術前から術直後の各方向を並べます。

術前の正面像は二葉。上右は口を尖らせてもらいました。

術前のデザインと術直後。デザイン通りに短縮しています。人中の明瞭化して表情が出ました。

4方向で術前と術直後を見ると、表情次第で変わります。上列の術前は口に力が入って突出しています。下列は術直後ですが左二葉の右側面像と右斜位像では、口を閉じない表情で口唇突が軽度で優しい。右二葉の様に口を閉じるために下口唇をあげると、頤に力が入って梅干しになり、口も突になります。

近接画像で術中の画像も視ましょう。

上左図はデザイン。説明に太字で書いた通りのサイズです。そして上右図は切開直後ですが、切っただけです。深さは皮膚全層で皮下脂肪層までメス(英語ではknife)が入っています。

上左図は切除物。下面に皮下脂肪が黄色く観られます。上右図は切除後。皮膚皮下脂肪は剪刀(はさみ)で全層切除して、口輪筋は残します。その上で口輪筋を縫い寄ます。

その後両側の鼻翼基部を真皮縫合してから、両側の鼻翼横を3針ずつ真皮縫合した後が上左図。次に両側鼻柱基部を真皮縫合する際に鼻柱の直下よりも1.5㎜外側の人中に糸を掛けます。上右図には両側鼻柱基部にマーキングがあります。結紮したら👉変わりました。人中が狭く深くなり、弓の頂点間も狭く角度が急峻になり、赤唇結節(中央の膨らみ)が前を向きました。

真皮縫合はここまでで、10針です。

さらに間に真皮縫合を8針して総数18針です。この時点で既に隙間がなく縫合されています。その様になっていなければ術後数週間で傷跡に幅が出てしまうのです。

上右の二図の様に、切開縫合線の延長を定規で測ると、鼻の下が約35㎜+両側の鼻翼の横の曲線は約5㎜ずつで合わせて約45㎜です。計算すると2.5㎜間隔で真皮縫合しています。

この後皮膚表面を連続縫合しました。真皮縫合後の時点で合わさっていますから、表面縫合は要らないと思われるかも知れませんが、微妙な段差がありえるので細かく合わせます。鼻側と白唇側は皮膚の厚さが違うし、何しろ折れ返りの谷線なので段差が出来易い傷の線だから、皮膚縫合が必要です。

翌日診ました。診ると、腫脹が軽い。内出血が露呈していません。「十人のうちで一人目に良い経過ですよね。」と患者さんを褒めたのか?、自分(術者である私)を褒めたのか?。患者さんは「先生上手!。」とお褒めに預かりました。私照れて、「いや〇〇さんの身体が健康だからです。」と言ってところで「口は?。」訊くと、「口は閉じます。」下口唇を挙げれば閉じますが頤に梅干しの種が出来ます。「開いていてもいいんじゃないですか?。マスクの中だし。」と軽口で答えました。「48時間まではダウンタイムです。」と申し上げて「1週間後にはどうですかね?。」と、「来週をお楽しみに!。」と言うと患者さんはにこやかにお帰りになりました。

術後1週間で、鼻の下だけ抜糸しました。

確かに術後1週間では軽い腫脹です。それよりもなによりも、患者さんは大喜び。私「可愛いですね。」と、「寄せた効果が効いています。口元がスッキリしながら表情も自然です。」抜群の効果です。「若々しいです。」と喜ばせます。ちなみに口角挙上術も既に施行しているのも効果を倍化しています。でもその傷跡も見えない身体能力が高い患者さんです。

4方向で診ると、左の鼻翼の横にドッグイヤーの膨らみがあります。患者さんはブログを視てご存じです。「治らなければ焼けますよね。」私「3ヶ月で消えなかったら、傷跡が落ち着いたらCO2 LASERで焼き潰します。」とお願い口調でした。次週全抜糸時は変わるかな?

術後2週間で全抜糸しました。

口全体を尖らす癖がむしろなくなりました。さらに中央が前向きなので可愛い。

左の鼻翼横のドッグイヤーは縮小傾向です。厚さは変わりませんが、サイズは減ってきています。とにかく経過が早い。明るい患者さんで楽しい診療です。

下には術後1ヶ月の画像群。

可愛いと言ったら、恥ずかしそうでした。運動痛はごく軽度です。日常生活上困りませんと。大笑いした時だけ感じるそうです。傷跡の線はまだ赤いですが、薄くなってきてメイクでカムフラージュも不要だそうです。

鼻翼の横のドッグイヤーは縮小中です。3ヶ月以降残るなら焼き潰せます。

確かに雰囲気が可愛くなりました。口角挙上術と合わせ技で、口吻の突出感が解消しているのが成功です。

上白唇短縮術は当初から希望していたのですが、経過が大変そうなので他の部位を先行したそうです。「これなら先に受けとけば良かったですね。」と今回の経過が早いのにびっくりされています。私「それは患者さんの体質です。確かに早い方ですね。これまでの手術もそうでした。」と患者さんを持ち上げて。次回完成時を観ましょう。

術後3ヶ月で完成!と言いたいところですが・・。

やはり鼻翼の横のドッグイヤーは消えません。よく笑い上唇鼻翼挙筋を収縮させるからです。CO2 LASERで焼き潰します。

でも優しい感じは造り上げられました。もう一度LASER後の経過を観ましょう。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の提示です。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円+税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。