一時は口周りの手術が毎週の様にありました。年に５０例以上の年もありました。４年前からのマスク対応で、カムフラージュが常道となっていたからです。しかしこの間に、この手術をする医師が増えました。でも多くの患者さんに聴くところによれば、口周りの手術を受けるなら、国内で三人に絞られるそうです。画像上の素晴らしさと、真摯な診療行為の結果が載っているからでしょう。また早期から中期時には３ヶ月以上の長期的な経過も載っているから、信頼されているのでしょう。
逆に、これもSNS上で、マスクが義務では無くなって、口周りを見せなくてはならなくなったから、むしろこれからが、口周りの手術を希望する患者さんが増えるという説もあります。そうでしょうか？。上にも書いた様に口周りの手術ができる美容形成外科医は数少ないです。つまり受け皿が限られると思います。医師なら勉強すればなんでもできるわけではありません。
そもそも今やSNS上は商業化しています。画像操作は、現在は指摘されて撤去されますが、三年前までは横行していました。逆に規約が成立してからS.美容外科なんかは「操作ができなくなったらネット上の競争では勝てなくなるから、TVCMに注力しよう。そうなればこっちの勝ちだ。」とほざいていたそうです。今やTVCMのみならず電車内まで美容外科の広告だらけです。しかし内容はご覧の通りの、全くの商業主義的広告で先日マスコミで指弾されていました。比して、私の書いてきたブログは、操作できません。患者さんも視ていますし、最低３ヶ月までの経過を必ず載せています。だから逆に、標準的な経過と結果を知ってから来院されますから、皆さんが手術のスケデュールが立て易いと仰います。
何度も書いてきましたが、唇は赤白とも唇です、でも上白唇短縮術は赤唇の表情も変えられます。今回はブログに載っている症例を視て、その点を理解して来院された患者さんです。嬉しい限りです。患者さんも期待されます。
美容医療に於いては、生来の形態は様々で、治したい方向性も多様です。だから美容医療でも、見た目だけでなく、術前の細かい診察と計測が必要です。丁寧な診療とはこの事です。チェーン店系のビジネス的美容整形屋は技術と知識が稚拙なだけでなく、いつも言う様に売上の半分を広告に費やしているから、二倍の手術をしなければ元が取れないのです。ですから診察と言っても不備で、多くの時間を料金設定に注力し、診察技術と知識を持ち合わせません。
これも毎回書いてきましたが、人中部を中心とした上白唇短縮術は、真皮縫合の質と量が結果の半分以上を左右します。何度も真皮縫合の説明を書きました。この手術では縫合は筋層、真皮、表面の３層が必要です。中でも真皮縫合が終わった時点で隙間なく合わさっていないと、手術後の抜糸後数週間で傷跡が広がってしまいます。当然その分後戻りします。患者さんによく「後戻りはしませんか？。」と訊かれます。非形成外科医が真皮縫合を密に出来ていなくて、後戻りしてしまうからです。実際S.で受けた患者さんは自分で物差しで計測したら元通りになったそうです。私即「全症例を３ヶ月後に測りますが、年に５０症例のうち後戻りしたのはゼロです。いやこれまでに２例だけ口を使う仕事の人が１㎜戻りました。」と自信を持って豪語します。そこは経験と真摯な診療をモットーとしていますからです。
症例は２１歳女性。よくわかっている女子なので、診察時のアナムネ(現症聴取)を覚えていますからここから書きます。ブログ視て「これならイケると思った。」そうですか！、嬉しいです。ついで「長くないですよね！。」って訊かれましたから、すぐさま定規を当てると確かに人中部で１６㎜です。そこで患者さん「先生がやっている寄せる方法。私唇が薄くて平板でしょ？。」とよく知っています。私話に乗って「寂しいですよね。赤唇がだるいと。」「切除は最小限で、両側鼻柱基部よりも両側人中稜を１、５㎜内側にずらして寄せれば・・。」よくわかっている患者さんにごちゃごちゃ説明するのもなんだと一回言葉を飲んで、よく観て診てから続けます。内容は、まず人中に幅があります。浅い。測ると１０㎜です。人中も、年齢と共に長く浅くなりますが、白唇の表情が無くなるのはそのためです。上赤唇の中央の膨らみは結節と呼びますが、私はキスシーンと比喩してきました。本症例の結節は無くはないのですが、丸く前を向いていないから寂しい唇です。患者さんもその様に言いました。赤唇縁のCupid’s bow、弓形の中央の頂点が鈍角で、唇が寂しく薄いのです。どの問題も人中稜を寄せて造り上げられますと説明すると、患者さんは我が意を得たりと、期待されました。さらに、「口角が下がっているでしょう？。」と訊かれ、ルーラー(定規)を交連に当てて見せます。私「水平ですが、口角が挙がっている方が唇が優しくなりますよね。」と薦めて、「唇が寂しいのを治したら、優しい雰囲気の口元も欲しくなりますよね。」と言えば「両方お願いします。」とよく解っていました。
診察(計測)所見を描きます。上顔面(生え際〜眉下)５８㎜：中顔面(眉下〜鼻下)６０㎜：下顔面(鼻下〜頤尖)６６㎜と下が長い中でも、上口唇(白＋赤)２２㎜：下口唇(赤〜頤尖)４４㎜と１：２で黄金分割比の１：１．６よりも下が長いのでこれ以上上口唇を短縮することは不可能。E-ライン(側面像で鼻尖〜口唇〜頤尖を結ぶ線)が一直線上にあり、口唇は薄いから前突していない。赤唇が薄い。結節が無いに等しい。Cupidの弓のカーブがゆるく頂点が不明瞭。本症例は寄せるだけなら可能で、最低限の２㎜切除が望ましい。寄せるのは最低１．５㎜ずつ。口角は下がっている。内眼角間３１㎜：鼻翼幅３５㎜：口唇横径４９㎜で、黄金分割比で計算すると口は横には広げなくて良い。真上に挙げたらジョーカーになるので最低限の垂直から２０度斜めに５㎜の位置に口角を設定。
画像を視ましょう。まずは術前と術直後の正面像。
確かに長くない上白唇ですが、赤唇の寂しさは如何ともし難い。デザインは上記の通り。
手術はまず口角挙上術のデザインが消えないうちに浅く切開しておきます。上左図はその後上更新短縮術を終えた後です。上右図は口角挙上術も終えました。
下二列は４方向の術前と術直後。
E-ラインは直線上で口吻は出ていませんが、赤唇が薄いので冷たい感じです。術後は局麻の影響で閉じられないのですが、開いていると赤唇がセクシーです。
近接画像で手術の説明をします。
口唇横径は大きくないのですが、鼻翼が小さく顎も小さいので横径はこのまま。そこで最低限の垂直から２０度斜めに口角を引き上げます。２０度は細かいので分度器アプリで角度を決めました。口角の上に点が着いています。
上記の説明のデザイン。上口唇は２㎜切除ですから鼻翼横の切開も短く出来ます。口角は分度器で描いた点までが、垂直から２０度斜め方向に５㎜の三角形の頂点に移動します。上右図は切除した上白唇の皮膚皮下脂肪全層です。
上左図は切除後で、筋層は３針縫縮して、鼻翼基部を垂直に真皮縫合して、鼻翼横も２針ずつ真皮縫合して、鼻柱基部に糸を架けた(見えますか？)後です。上右図の様に両側鼻柱基部より人中稜に１．７５㎜外側に架けた糸を結紮(結ぶこと)したら、人中稜の幅が上左図に比べて狭くなっています。引き寄せられて赤唇縁のCupid’s bow (最近は知っている患者さんも多い)も急峻になっています。残念ながら上口唇結節は周囲の腫れに埋まって見極められません。この後真皮縫合を追加して全１２針？の後に皮膚縫合しました。
口角はトレースしてあった切開線を筋層内まで切開。口角の上の三角形の皮膚皮下脂肪を切除して口輪筋を露出します。上左図はその三角形。その後上下口唇縁の口輪筋を白唇の深部と赤唇の深部を分ける様に、口角が動くまで剥離してから、口角を移動した位置で頂点を縫合します。その後筋層縫合、上下赤唇縁を皮膚対粘膜で縫合しました。上右図が手術直後。口角を上げると中央の口唇結節も前を向きました。
術後２日で診察しました。腫脹は強いのですが、「切除幅が最低限なので創傷治癒は早いと考えられます。」と申し上げました。
術後９日目に来院されました。中途半端な日数ですが、確かに総称治癒が早いので全抜糸出来ます
人中が狭く深くなり白唇に表情ができました。実は人中の皮下には口輪筋が立ち上がって溝を作ります。表情の表出部なのです。赤唇は弓が綺麗で、厚さはもちろん増えましたが、波がある交連も赤唇に表情を表します。口唇結節が前を向いただけで赤唇は女っぽくなります。これで口角が下がったら辛い表情になってしまうので挙上は必須です。
４方向でも腫脹が引いて気持ちの良い口元です。上下赤唇縁と両側鼻翼間の傷痕は赤い線ですが、白くなります。
術後１ヶ月です。
赤白とも口唇に表情が豊かです。
左下口唇の傷跡が肥厚してきました。３週間ほど待って悪化するならステロイド注入します。もしかしたらその際も画像を頂けます。術後２ヶ月に一回注射しました。
その後術後３ヶ月で完成を見たいのですが・・。
形態には満足いただいています。寄せる目的を達して、可愛い赤唇で人中が深く狭くなり、弓も綺麗なカーブを造り上げました。本症例の場合患者さんが理解して受けられたので結果も解っていらっしゃいます。
４方向で見ても可愛い口元を造り上げられました。左下赤唇縁はまだ肥厚性瘢痕が硬結しているので、ステロイド注入をしました。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは１～２週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、３ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに２週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2～４週間程度かかります。・手術後２週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、２週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後３日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後１週間（抜糸まで）は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。上口唇短縮術は２８万円＋消費税。口角挙上術は２５万円＋税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として２０％オフとなります。
