今回の症例は、来院した時から可愛かったのですが、当院にてさらに可愛らしさを増したした患者さんです。今回は傷跡について少々の説明をします。
2011,11,05:眼瞼下垂に対してNSLT
2012,01,17:鼻柱プロテーシス
ここまでの写真は残っていないのですが、その後眉下切開をして、下左図はその後の像です。下右図はメイクして写真を撮らせてもらったところ、眉下の傷跡は見えませんね。
鼻の下が間延びしている感じなので、その後上口唇短縮術を受けた抜糸前の像が下左図です。まだ腫れています。下右図は約2週間での写真。まだ腫れていますが鼻下の傷跡は見えません。
その後、切らない眼瞼下垂手術を追加しました。下左図は2週間後ですが、目がキラキラしています。
何度も提示しますが、下図は眉下切開+切らない眼瞼下垂手術後の45歳の写真です。
ノーメイクと軽いメイクとフルメイクの像は比較が難しいのですが、このくらいのメイクは通常の状態でしょう。私達のように形成外科をトレーニングした美容外科医の行う切開縫合の傷跡は、最終的には見えなくなります。でも数週間は赤い線です。ですから、抜糸したらメイクでカバーしてもらっています。
従来美容外科手術の傷跡は見えない部位に置くものでした。傷跡が目立ったら美容的手術とはいえないからです。
具体的には上まぶたの二重の線にある傷跡の線は開瞼時は見えないし、自然の二重の人には、線がありますから見えない傷跡なのです。また鼻の入り口のすぐ奥の傷跡は一般人が覗いても判りません。私達が抜糸の時にいつも見つけにくいくらいですから。
もちろん口の中の手術の傷跡は見えません。
実は従来から、顔の表面でも目立たない部位に傷跡を置く手術はありました。フェイスリフトは耳の前のしわに沿って耳珠(トラガス)の後ろを縫うので、私達形成外科認定医が手術した後は見えなくなります。私は、私が行った患者さんに「どこ切ったんだっけ?」と、聴いてしまったことがあるくらいです。
他にも、鼻の柱の横断創はよく見ないと判りません。原則はW字にしますから、ぼやけるのです。但し、通常は傷跡が目立たないのですが、複数回切ると稀にへこみますので注意が必要です。
髪の中の傷跡は、見えないといえば見えないのですが、従来は中縫いをしなかったので、帯状に毛のない傷跡が出来て、時折目立つケースがあったのです。父の時代の患者さんではありました。ところが、糸と道具の進歩、形成外科の技術の進歩で中縫いで無髪が防げるようになりました。私達形成外科トレーニングを受けた者が美容外科医になった平成に入ってからの技術的進歩の結果といえます。
生え際はごまかしやすい部位ですが、毛がある範囲とない範囲がはっきりしすぎないように毛根を温存するのがコツです。私の父の時代は中縫いが不備であったために、傷跡の幅が出来て目立っていました。父の行った私の母のこめかみリフトの傷跡は47年たった今でも、よ~く見えます。私が治してあげたいのですが、暇がありません。もちろん私が行った患者さんでは目立ったことはありません。
顔は傷跡が消えるに等しいことが多いのです。特に頬はしわに沿うと消えます。しわとは、表情筋によってできる折れ返りで、RSTL(Rlaxed Skin Tension Line)といいます。何故かというと、難しい話になりますが、一言でいうと皮膚の真皮のコラーゲンの配列に沿えば線が広がらないからです。あくまでも真っ平らに縫合すれば、線の幅が無くなれば見えなくなるのです。私達形成外科専門医がほくろなどを切除した患者さんでは、1年したら探せなくなることがほとんどです。顔の傷跡でも、しわの線(RSTL)に沿わない怪我の傷跡はいくら私達が縫合しても消えないことがあります。まぶたや、唇などの部品の境界を横切る線も目立ちます。また部位的に額や鼻筋などは消えにくい部位です。でも、私達は寄り目だたなくする技を持っています。これについては後日提示しましょう。
今回の眉下切開と鼻下切開は、顔面の表面に線上の傷跡を置くのですが、「私達形成外科医の技術をもってすれば消えます。」とは言いすぎですが、「メイクで隠せます。」経年的には半年もすれば、白い線になるから見えなくなります。あくまでも平らで幅がない傷跡にできる技術をもってすればです。
今回の症例は美容医療が大好きで、毎回可愛さを磨いてきました。まだまだしたいことがあるそうですが、今回は途中経過を提示すると共に、傷跡の経過も提示させていただき、他部位についても説明を加えてしまいました。近々この症例の経過をまとめて提示したいと思います。