今回は、スレッドリフトの症例の画像を供覧しようと考えました。これまでも、何回か載せてきましたが、今回の症例は若年患者で効果が見えるので、みなさんにも画像上の興味が高いのではないかと思われます。
実はスタッフですから、若い医師の練習でもある訳で、コストもないのでイヤイヤやっているのですが(嘘です。)、逆に言えばよくならなければ、毎日グズグズ言われるので、実はこっちも気合が入ります。
若年者でも、下顎のラインの、口角の下の後ろにたるんだ皮膚、皮下脂肪が乗っかってきます。口角から下顎にかけての溝は俗にマリオネットラインと呼ばれます。あやつり人形の割れ目の線を例えています。この溝には靭帯があって落ちてきた皮膚皮下脂肪は堰き止められます。だからあごのラインが凹凸になるのです。この膨らみを英語でJowlと訳します。美容外科用語として論文にもよく使われます。三省堂の英和辞書にも載っています。今回はJowlを挙げるスレッドリフト、私はJリフトと言えばこの手術を称しています。
実はフェイスリフトでもこれが一番治したいところですが、耳の前後を切開して引き上げても力がJowlまで届きません。後戻りが一番大きいところです。Jリフトは直接糸が耳の前とJowlを繋ぐので、よく挙がります。もちろん永久的に糸があると露出の危険が残るので、溶ける材質を使います。もう一度言いますが、糸でのリフトは解ける材料でないと後年に問題点を残しますから、絶対高望みしないでください。注射による注入両方でも同様です。
さすがにいい時の写真を載せたいとのことで、写真は後でまとめて載せることとします。そこでいい機会なので、まずスレッド:糸の画像と説明を掲載しておきます。
最近頻用している2種類の糸です。
一つはJコグと呼ばれる糸です。ご覧の様に刺が等間隔であります。糸の太さは19Gと採血針より太くしっかりしています。刺は長さ1.5㎜で5㎜間隔で螺旋状に全方向に向いています。上右は拡大写真で刺の向きがよく判りますよね。これが皮膚の裏側に引っ掛かるのです。施行時は鈍な針の中に装着されていて、針ごと挿入してから針を抜くと糸だけ残り、皮膚に引っ掛かる仕組みです。
もう一つは3Dリフトと呼ばれる糸です。上左の写真は露光調整が不良で分りにくいのですが、糸は左を尻としてU字にあり、右側の端から鈍針が付いています。上右の写真は一部を拡大しました。糸に何か付いているのが見えるでしょう。更に拡大下左の写真ではこれが刺でなく三角の物体です。アイスクリームのコーンと説明していますが、工事現場に立っているパイロンの小さいものと言えば分りますか?。長さ2㎜の径1.5㎜のコーンが片側6個付いています。耳前から皮下脂肪層に針を挿入しJowl から抜き出し、糸も一度先端を出し、これを引くとコーンが皮下脂肪層を支えます。
上記の如く、2層を引き上げます。まず3D糸で皮下脂肪層を支えます。Jowl は皮下脂肪の溜まりですから、直接持ち上げる効果があります。耳の前のもみ上げの後ろに挿入口がを作りますが、目立たないし翌日には消えます。その孔からJコグ糸を挿入して皮膚を面で引き上げます。張りを出すのです。持ち上げたJowl の溜まりをなだらかにする目的もあります。
こうしてJowl に対するJ−リフトは、後戻りするフェイスリフトに匹敵する、いやむしろ勝る効果を出すと考えられます。後戻りとは、数ヶ月で約1/3の効果が戻ること。ただし正しい方法で行えば、元に戻るのではありません。J−リフトは内蔵する糸で引き上げておく方法です。何度も言いますが、顔に内蔵する糸は溶けるものが安全です。ですから後戻りではなく効果は年単位で消失します。でーも、簡便で侵襲が少なく、当然にして費用も少ないJ-リフトは、繰り返せます。
1〜2年に1回のJ-リフトをしていれば美しいカーブの顎のラインが常に保てるでしょう。若年者でもここにたるみが見えたら年齢を感じ始めます。因みにフェイスリフトを5〜10年ごとに繰り返す患者様は少なからずいらっしゃいます。その人たちにも後戻りを軽減する為に、手術のインターバルにスレッドリフトをしてメンテナンスする事をおすすめしています。フェイスリフトは若年時に一回しておく方が良いのです。実は若ければ若い程後戻りが少ないのです。でもメンテナンスは必要です。その点でもJ-リフトは好適です。
実際の症例供覧は次週お楽しみに。