これまで重瞼術を繰り返して来て、満足を得られない患者さんにはこの手術をお奨めします。とにかく結果が良い。かといって目立ちすぎない。ダウンタイムは若干増えても日常生活には支障を来さない経過です。
上の画像は術前術直後です。まだ直後の画像しか無いので、困った表情を呈しています。さすがに直後は突っ張るし、麻酔でいやな感じがする。点眼麻酔の影響で目が赤い。腫脹(腫れのこと)は無くはない。つまり出来上がりは日々やって来ます。
まず数時間で局所麻酔が切れます。糸を出す点にごく微量しか入れていないのですが、知覚低下はいやな感じがします。数時間で戻ります。ちなみに麻酔が切れても糸の点は0.1㎜大の孔なので痛くありません。ただし閉じ切るのに最低1日は掛かるようです。
局所麻酔はまぶたの表面に打つので、すぐ下にある眼輪筋にも作用して閉瞼力を低下させるので、作用反作用の理屈で開瞼が予定より強くなっています。ギョロッとしすぎるのです。これも数時間で良くなります。
また、糸で筋肉を縫い縮めているのですが、最初はギュウギュウ締めますから、開きすぎています。すごい時は黒目の上が見えるほどです。本症例では上の黒目は見えませんが、右側に天井のライトが反射して映っています。通常1〜2週間後には少し落ちます。
例え切らない手術でも、48時間は腫れは起きます。このところ切開手術の提示が続いていましたが、やっぱり腫れますよね。切らない手術では、そんなにすごくないにしても腫れます。糸を通すだけでも侵襲ではあります。出血を伴わない程の僅かな血管損傷から、体液の侵出時に炎症を惹起する化学的物質が皮下に流れ出て来て浮腫むのです。また局所麻酔薬は皮膚の知覚神経だけでなく、交感神経にも作用して、血管拡張させますから、体液が侵出して腫れを起こします。
ですから、何をしても48時間がヤマです。腫れを酷くしない為には冷却と挙上に尽きます。私はよく言うのですが、「顔が赤くならない様に気をつける。」ことが肝要です。術直後より麻酔が切れて、冷却30分した後の方が腫れが取れていますが、その後の48時間でぶり返さない様にすれば軽く治ります。その後の治るスピードは個体差もありますが、軽い経過は早く治るし、重くなれば時間もかかります。とはいっても、1週間でしょう。
切らない眼瞼下垂手術=黒目整形原法=NILT法は重瞼をクッキリさせ、目の開きをパッチリにします。何度も言いますが、二重まぶたにすると目が大きくなるのでは無く、一重瞼は皮膚が被さっている異常で、先天性皮膚性眼瞼下垂ですから、改善すれば瞼縁が露出するので、結果として目が大きくなります。瞼縁の高さは筋肉と腱膜が決定します。腱膜性眼瞼下垂はLT法で改善出来ます。
本症例の術前を診ると、目が開いていない。MRD2㎜で腱膜性眼瞼下垂です。さらに重瞼が浅いのは、筋力がまぶたに伝わっていないから皮膚も挙がらないし、折れ込まないからです。この様な場合LT法で腱膜を強化して、そのまま糸を表に出して引き込むNILT法をすれば、このようにクッキリとパッチリとできるのです。その意味で万能に等しい手術です。先天性筋力低下による筋性眼瞼下垂症以外には適応します。
本症例では、まだ術前と術直後の画像だけですが、それにしてもそんなにすごくないでしょ?。今後の経時的経過の画像をちゃんと提示していきますから、お楽しみに。