今回の症例患者さんは明るい。顔面の印象は強い。なんせいろいろな点を改造したくて、なかなか進まないのはよく検討しているからでいいのですが、こちらは振り回される。性格が良いのでこちらも文句は言いません。いつもの様に真摯に真剣に真面目に診療して、むしろ楽しんでいます。様々な面での改良効果が見事にマッチしています。生来美しい鼻尖や、やや広く胡坐気味の鼻翼、長い下顔面の比率。私にとっても検討課題が噴出します。骨切りも効を奏しています。仲の良い骨切りの得意な菅原先生とも患者さんを介して通じました。なんかブログに書くのも楽しい患者さんです。
症例24歳女性。本年1月に来院。もちろんブログ症例は観察して戴いています。白唇(鼻柱基部〜赤唇縁)長16㎜で、上顔面(生え際〜眉下)62㎜:中顔面(眉下〜鼻下)56㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)66㎜と下顔面が長い。下顔面の内訳は上口唇(白唇+赤唇)23㎜:下口唇(赤唇〜頤尖)42㎜で上下とも長い。白唇部は内反では無くC−カールがある。鼻柱と鼻翼の位置は下向き三角の矢印型で鼻が長い。下口唇から下の短縮を優先するか迷う症例。画像にある様に人中が浅く、弓がなだらか。
顔面横部品比は内眼角間30㎜:鼻翼幅35㎜:口唇幅45㎜と黄金比の5:8に比べて口唇幅が小さく、口角は拡げたいから、5㎜45度方向で5/√2=3㎜上にと横方向。
エステティックラインがゼロに等しいが、これは鼻が高い(自前)のと、頤が後退していないからで、口元の品はあるが、いかんせん長く下顔面が長いと男性的な印象を呈する(失礼!)。
3月中に手術を予定していたら、4月中に輪郭手術の予約がリラクリニックで取れたので先行したいと。その後来院して診察してからと考えましたが、リラクリニックの院長は知り合いで、患者さんも告げておいたそうです。1か月空ければ可能と示唆された由。素直に聴いて、今回口周りの手術を予定しました。
ところが歯科矯正も継続していました。大きなデバイスは着けませんから手術の邪魔にはなりませんが、歯科治療が続く予定だそうです。口角や鼻翼の手術後は最低2週間は歯科治療は危ないですから、今回は白唇部短縮術だけとしました。御陰で時間に余裕ができたのでブログを書きます。
当日骨切りの手術の内容をもう一度確認して、口の中を覗いても創跡は痕跡だけです。敢えて同部の軽い硬結は触れますが、表からの手術の邪魔には成り得ません。
下図の如く4㎜切除をデザイン。口輪筋上の皮下組織全層切除し、軽く折り畳み外反を損なわない様にする。人中稜を真皮縫合時に1㎜ずつ内側にずらして寄せて、人中を深く、弓を急峻に、口唇結節を強調する。
上図は左が術前、中がデザイン、右が術直後です。
両側面と両斜位の4方向の上が術前、下が術直後です。
今回面白い写真を下に並べました。
左は術前、中は術直後ですが、右に術後笑ってもらって撮影しました。口角挙上術を併施しないと口角が下がるのをシミュレーションしています。近々口角挙上術をするときの参考になります。とはいっても、手術直後は口輪筋や鼻翼挙筋が局所麻酔で動かないので、笑った表情が普通じゃあないのです。また、鼻翼が横に下に引っ張られています。麻酔が切れたら撮り直します。
鼻の位置は筋のトーヌスが回復する2〜4週間で戻ります。口輪筋の処理は折り畳んで縫い縮めました。決して切除してはいけません。顔面神経は筋の裏面から挿入されていますから、切除すると神経を損傷して、半永久的に動きません。どうも、他医の中に切除する奴が居るみたいです。来院する患者さんに訊かれます。ちゃんと説明すれば解ることですが、危険な説を唱える輩がいて迷惑を被っています。尚、私の手術後には鼻は必ずもとの位置に戻ります。これまでの症例が証明しています。
しかも本症例では鼻柱と鼻翼の位置関係が理想的な矢印型なのですが、その形は損なわれていません。全体が下がっているのですが、数週間以内に回復すれば美しい鼻が再現されます。
今回はここまでの説明にして、症例の評価は術後1週間目にします。お楽しみに!