眼瞼下垂手術を`黒目整形`と称してきました。切開法と非切開法があります。その選択基準は3点あります。1、先天性筋性眼瞼下垂症は切開法だけが適応する。後天性腱膜性眼瞼下垂症はどちらも適応する。一重瞼という先天性皮膚性眼瞼下垂症はどちらも適応するが、筋腱の処理を併用するべきである。ちゃんと診断の上で手術法を検討しないと結果が得られません。2、切らない手術は自費。切開法は原則的に保険適応。3、ダウンタイムは如実に差があり、非切開法=切らない眼瞼下垂手術NILT法では0〜2日(稀に10日)程度。切開法は平均的に2週間はかかります。年齢と共に長引いてきます。
本症例はNILT法が適応し、自費費用に対してブログ提示の承諾を頂いて20%オフをした上で、可能な日取りを直ぐ見つけて手術に到った幸せな患者さんでした。
症例は40歳、女性。生来は一重瞼(先天的一重瞼)。成人後折れ返りは出来たが(後天性二重瞼)、窪みも出来てきたし、皮膚が引き上げられていない。つまり先天性皮膚性眼瞼下垂状態。実はソフトコンタクトレンズを20年来装用してきて、目が開き難いと感じてきた。挙筋筋力(閉瞼〜最上方視の瞼縁の動く距離):15㎜と先天性筋性眼瞼下垂では無く、C.L.による後天性腱膜性眼瞼下垂を生じて来たと考えられる。早速フェニレフリンテストをしてみます。点眼で眼瞼挙筋力を一時的に強化すると、後天性腱膜性眼瞼下垂の場合には、患者さんが同じ様に力を入れているつまりでも、開瞼がアップします。見事に挙がりました。しかも患者さんも期待が持てます。
先天性皮膚性眼瞼下垂症で二重瞼を拡げれば皮膚の伸展が引き上げられるかどうかはフェニレフリンテスト後にブジー(二重を押さえる棒)を当てないとシミュレーション出来ません。開瞼が増えると、瞼縁は挙がるが皮膚はそのままなら二重は狭くなります。開瞼が挙がった状態で棒を当てます。シミュレーションでほぼ出来上がりが見えました。皮膚を切除しなくても引き上げれば皮膚性眼瞼下垂が治療出来ることが判りました。また、先天性筋性眼瞼下垂は切開手術して眼瞼挙筋を短縮しなければなりませんが、後天性腱膜性眼瞼下垂症では腱膜を瞼板に縫い止めればよいので、当院の得意の手術LT法で可能です。ダウンタイムが皆無に等しいので楽に取り組めます。ラインも術中にもう一度シミュレーションして決めることが出来ます。
画像を提示します。
上の四画像は、上左図が術前像。三白眼も呈しています。窪み目でもあります。後天性腱膜性眼瞼下垂の合併症です。上右図は挙筋腱膜を眼瞼結膜側から縫合(LT法)した時点です。今回は重瞼線をデザインしないで、先ず開瞼を強化してから、術中にブジーを当ててラインを決めました。下左図は術直後画像で、下右図は術直後の閉瞼時。針孔が3点ずつ見えますが、数日で消えます。少なくとも目を開いていれば、最初から見えません。ただし開き過ぎです。その間は下向いて過ごしましょう。
上4図は左右眼瞼の拡大像。左列が術前、右列が術直後です。三白眼が治りました。上の瞼縁に注目します。差が2㎜程度です。
切らない眼瞼下垂手術は結果がすぐに見えます。ただし術直後はオーバーコレクション,over correction です。挙筋腱膜の修復度は局所麻酔に影響されますし、術後は僅かな腫脹の影響で挙がり過ぎています。これがダウンタイムです。個体差があり、早ければ翌日に、長くても1週間内に丁度よくなります。術前術直後の開瞼の差が2㎜なら、約半分の1㎜程度に落ち着きます。
切らない眼瞼下垂手術は適応を選べば、確かに良い結果を得られます。どんな症例でも出来るのではありません。読者の皆さんも間違えないで下さい。
昨今広告化している情報ソースとしてのホームページやブログやSNSが問題化して、説明が不足しているため厚労省がガイドラインを作り、6月から施行されました。私は自分でブログを書いてきましたから、当初から詳しい説明を書き連ねてきました。この切らない眼瞼下垂手術手術も少なからず取り上げて来て、詳しい手術適応を説明してきました。本症例は好結果です。それは診断が適切だからです。
突然思い出しました。医学部生時に外科系の講義で先生から質問されました「診断は何の為にするのか?。」ある学生が「カルテに書く診断を間違えない様にする為です。」先生が「何を?」と聴いたら、学生は「間違えたら誤診だからです。」先生は馬鹿にしながら「診断は治療法の決定の為にあるんだ。」「人間を診るんだから、病態にもバリエーションがある。そのバリエーションに応じて治療法、外科系なら手術法にも多くのバリエーションがある。間違えたら救えないんだよ!」この講義は私の心に染み通りました。銘じました。
例え美容医療でも診断に基づいた治療を行なわなければ良好な結果は得られません。他医で不適切な治療法を受けて困ってしまった患者さんがよく来ます。特にチェーン店系からが多い様です。もう一度医学部に通って上の様な講義を受けてきたら・・?!
今回は術前、術直後の画像提示です。黒目整形非切開法でも、流石に数日は変遷します。次回術後1週間の画像が楽しみです。
そして術後1週間の画像です。
まだ開瞼はオーバー気味ですが、術直後と比べれば下がりました。近接像で比べますと・・
右眼瞼(上左図)の黒目(角膜)の内側の垂線上の重瞼が狭いのが判ります。開瞼が強いところです。眼瞼挙筋を糸で縫い止めているのは2本です。内側の糸が強いので、瞼縁が挙がっている。皮膚はデザイン通りの線に2点止めているので、想定的に挙がりませんから重瞼線は狭くなります。強過ぎる開瞼は挙筋に糸が喰い込んで行って戻ります。従って重瞼線も広くなります。綺麗なカーブを描く筈です。患者さんは目がよく開いてお悦び!。しかも後天性腱膜性眼瞼下垂症に合併した、頭痛、肩こり等の症状と窪み目、三白眼が治ってビックリされています。そりゃあそうだ。これだけ開けば後天性腱膜性眼瞼下垂症ではないからです。あとは持続性ですが、契約上少なくとも術後3ヶ月までは診ます。次回術後1か月をお楽しみに!
術後1か月で撮影させてもらいました。
二葉の眼瞼部画像は、露光の影響でしょうか力の入れ方が違います。上左図はまあまあですが、上右図はフラッシュの瞬間に目を見開いています。特に左眼瞼(向かって右)は黒目(角膜)の上の白眼(眼瞼結膜)が出ています。標準的には第一眼位(顔面正立位で正面視)で黒目の上が1〜2㎜隠れます。そのつもりで近接像を見ると。
やはり左眼瞼はまだオーバーです。力を入れて撮影する様です。でも日常はそんなに力を入れないとのことで「別におかしくはないです。」とのことでした。確かに私もこれくらい開いていますし、目がパッチリ開いていた方が元気で若々しく見られます。キリッとした目元は知性も感じさせます。
下に術後6週間の画像です。
今回も不随意に強く開いた画像と力を抜いた画像。力が入ると黒目の上ギリギリまで出ます。
クッキリパッチリの目元はキリッとして、知性的です。美しさは人間的に進化的であり、機能的により高い者が現します。知性的とは進化的で美しさに繫がります。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後は、腫れがあり二重の幅が広く見えますが、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは2日~1週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血がごく稀に起きる可能性があります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、異物感・つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目の構造や目をごしごし擦ることが原因で後戻りする可能性があります。・過度の後戻り、矯正不十分、微妙な左右差や糸が露出してきた場合は、再手術(修正)になることがあります。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後3日間は、目周りのお化粧・コンタクトレンズはお控え下さい。