症例は46歳女性。これまで15年以上お馴染みの患者さん。13年前までは父の患者さんで、もちろん私も携わって来ました。定期的に御治しをしています。だからだけでは無く、とにかく若さと美しさを保って来ました。患者さんは美しさを保つのが大変なんです。もちろんアンチエイジングの年頃ですが、これまでにフェイスリフトも受けていて下顔面は綺麗!(自慢かよ?)、上口唇短縮術は私にとってのの第一号ですから、これも下顔面の若さを保っています。注:残念ながら5年間で再伸展が感じられますが、これは後戻りではありません。今回はまだ手を付けていないこめかみリフトをして中顔面の改善を図ります。
早速画像を並べてみます。
まず正面像の術前と術直後。
右斜位像
左側面像
術前画像のこめかみから頬前に掛けて書いてある点々が重要です。剥離範囲です。何が大事かと言いますと、こめかみリフトは剥離範囲が効果を左右します。アア、それはフェイスリフトでもそうです。
リフト,Lift とは訳せば持ち上げるですよね。加齢と共に生じてくる顔面の変形は、下垂、弛緩、減量です。皮膚のコラーゲンは薄くなり伸展に耐えられなくなり、弛緩します。人間は直立猿人の一種ですから、立っているか座っている時間の方が多いので、顔面には常に下方に重力がかかっています。こうして弛緩した皮膚は下垂していきます。また、顔面は身体の上方にあるため、加齢に因り水分保持が難しくなり脱水に陥ると、顔面からやつれていきます。水分が減ると皮下組織の量も減っていきます。特にもともとは瑞々しい(水分の割合が多い。)脂肪体=コンパートメント,compartment =区画化された脂肪の塊だけが痩せてきます。例えば、上眼瞼のくぼみ、頬前のクマ、顔の横のコケなどです。減量する部位としない部位が決まっています。
話が長くなりましたが、下垂に対する治療はリフトに尽きます。近年糸で引き上げるリフトが喧伝されています。とはいっても昔からいろいろ試されてきました。糸でのリフトは一時的な効果しかありませんが、ダウンタイムが短いのが長所です。
本来のリフトは伸展した皮膚を切除して、たるみを取りながら硬い部位に引き上げることで下垂した顔面組織を元の位置に戻します。ただし、引き上げられる組織は皮下で剥離した部分に限られます。やっと本題です。切開部から下前方に向けての真皮下での剥離した部分だけが引き上がります。多くのチェーン店系の美容整形屋は切って縫うだけのノー剥離,No Dissection のリフトもどきをします。だってどんだけ剥離したかなんて患者さんには判らないもん!。てな輩がほとんどです。結果的にすぐ戻る。傷跡が着いただけ!。で、連中のせいでリフト手術が嫌われてきました。
との訳で今回のこめかみリフトの画像提示では、剥離範囲をマーキングしたまま撮影しました。ゴルゴライン上まで剥離します。でも、術直後は腫脹で形態がよく判りません。
とのことで今後の経過画像が重要です。次回術後1週間をお楽しみに!
術後1週間を撮り忘れました。上に術後2週間の画像です。
今回術後1か月で来院されました。まだゴルゴラインが気にならないそうです。
上に書いたように何年か前に上口唇短縮術を受けています。そこで傷跡を見て下さい。Nostril sill のふくらみの下にある線は折れ返り(折り紙の谷線)にあるので見えないでしょう?。私のブログを見て下さっている読者の方々は「そんなこと知っているよぉ~!」と思っている事と思います。
患者さんとは長い付き合いですから、誠心誠意丁寧に手術しました。みなさんにもそうしています。だから本邦で一番口周りの手術症例が豊富で、評判を得ているのでしょう。