人中部白唇短縮術に於いては数字上の差異はありますが、デザインは定式化しました。重要な事は、両側鼻翼下間を同じ幅で切除しないと富士山型になるからです。更に重要なのは縫合です。私は必ず3層縫合します。筋肉処理とは筋縫合時に外反C-カールを造る技です。しかも半分寄せます。真皮縫合は皮膚の裏側の一番支えられる真皮層を縫い寄せて隙間を無くします。表皮は約0.4㎜厚しかなく、その深層の真皮は約2㎜厚です。真皮通しを合わせて数週間で癒合すれば永久的に拡がりません。拡がると表皮は引き伸されてツルッとした凹んだ帯状の傷跡が出来ます。その分後戻りする訳です。皮膚表面からの縫合は、1㎜以下の厚さの表皮層を段差なく合わせるために加えます。
他科(形成外科以外)の行なう中縫いは真皮層を合わせる技術を持ち得ません。何故なら糸が太いから真皮層だけに掛からないのと、下手をすると表皮層に掛かって露出しかねないからです。少なくとも他科では真皮縫合の修練はしません。もちろん形成外科を研修していないで美容外科チェーン店に入職した医師も研修しません。これまで多くの他医の跡を診ましたが、幅がゼロの症例は皆無でした。私に罹る患者さんの内約半数も初診時に「後戻りしますか?」と訊いてくるので、「ブログ見て下さい!」と告げます。皆がうるさいので、術後3ヶ月で必ず測ります。年間150症例以上の中で0.5㎜以上の後戻りを認めたのは3例だけです。他は後戻りゼロでした。
実はもう一つのポイントは丁寧に真皮縫合をしまくる事です。症例ごとに違いますが、ご覧の様に平均で長さ約48㎜の創を最低18針真皮縫合します。約3㎜間隔です。最後は隙間がないところを深く真皮縫合するんですよ!。時間にして真皮縫合だけで30分以上かけます。一針2分くらいです。手術時間は平均で正味約1時間15分(デザインから3層目の縫合)です。からかなりのウェイトです。そうでなければ後戻りするからです。
聴くところに依ると他院での手術時間は1時間以内、Sでは30分が義務付けられるそうです。そりゃあ後戻りするわ!。何故私はそんなに手術時間を取れるのか二つの理由があります。当院に限らず何とかミクスの影響でインバウンド(中国人)で稼いでいます。私は紹介会社を一つ(実は患者さん)に絞ってこなしています。当院の他医が稼いでいるから、私は口周り(や眼瞼特に目頭形成、鼻尖軟骨移植等得意分野)に時間を掛けられます。時間対価で云えば手術は半分以下ですが、全体的には収支バランスが取れています。もう一つ広告に費やしていないので、経費が少ない為に手術時間をかけても収支が合います。聴いたところではいくつかのSチェーン店系では売り上げの半分を費やしています。だから半分の時間で手術をこなすか、相場の倍額頂くのです。
とにかく丁寧に時間を掛けて口周りの手術をしています。それがモットーですから、皆さん安心して受けられます。本症例の患者さんも悩んでいた様ですがやっと私に辿り着いて週鬱に到りました。どうも安心して受けられた方で、手術中は落ち着いて受けられました。私もやり易かったです。たぶん中長期的結果も良好でしょう。いやほとんどの症例は満足されます。早速診ましょう。
症例は28歳女性。人中部白唇長19㎜。E-ラインより口元が5㎜前。歯科で前歯牙4本を後方に下げたら歯槽突が目立つ。上顔面60㎜:中顔面58㎜:下顔面62㎜と下顔面が長い中で上白赤唇上下長26㎜:下唇から頤上下長36㎜で黄金分割の5:8を適用すると上が長い。上白赤唇を22㎜目標として5㎜切除が適応。外反させてC−カールも欲しい。更に人中は深いが、弓の幅がありなだらかで、口唇結節(中央の膨らみ)がない。両側鼻柱基部で1.5㎜ずつ寄せて造りたい。口角は後で検討する。
画像を診ましょう。術前の画像では上の数字の通りに形態に反映しています。
もちろん口が出ていますが、歯牙だけ下げたから内反してして、その上赤唇が薄くなって余計に目立ちます。ただし前歯牙4本だけ後退させたので、上赤唇中央部だけ下がった結果相対的に口角は挙がって見えます。
下に手術直前のデザイン画。当日診たら痤瘡(ニキビ)が出来ていてどうしようかと思ったのですが、ご覧の通り切除幅にあるので一緒に取れます。
鼻翼基部(鼻翼の最下点)の間を全て同じ幅5㎜で切除します。上の線はNostril sill=外鼻孔(鼻の穴)のそこの膨らみ土手の下を切ります。本症例は土手がはっきりしています。これがあると鼻の穴の下半分が隠れます。その証拠は下の術直後の画像で解ります。
尚上の切開線と下の切開線は長さが違います。両側鼻翼間は垂直に挙げないと歪みを生じるから、鼻翼の横でずらしてつじつまを合わせながら縫合します。そこが重要ポイントで外側の皮膚が余るのを少しずつ潰す様にごまかします。実際には下の術直後の画像で膨らみはわずかです。
本症例の患者さんは手術中にとても落ち着いていて怖がらないから、出血が少なく、手術直後にもこびりついていません。当然腫脹も軽いのですが、腫脹は48時間がピークとなる筈です。
さすがに腫脹がゼロではありません。赤唇も腫れます。口は閉じません。白唇の内反を口輪筋を折り畳んで外反させたのですが、腫脹で膨隆します。結局形態的には術後数週間は結果が見えません。とにかく私がやるべき事をしたので形態は整っていきます。因みにニキビは取れました。
斜位像ではすっきりして見えます。側面像で白唇が腫脹により内反していて、E-ラインよりも口が前方にあっても、短くなれば口吻前突が気にならなくなります。手術の効果はこの面にも及びます。そりゃあそうです。前に出ている部分が少なくなるからです。
本症例では翌日の画像も載せます。腫れやない出血は48時間がピークなのを見せましょう?。おやっ?!、手術直後よりも軽い?!。
本症例の患者さんは手術中も落ち着いていて進行がスムースでした。手術直後の画像では腫れて居いました。翌日でも糸はある訳です。見えますか?。結び目は6カ所で他に螺旋状に繋いで縫合しています。創跡の赤い線の方が目立ちますよね。
下の画像は1週間で抜糸した直後です。鼻の位置は2か月罹りそうな程両側に下に引っ張られています。もちろんブログを見て来た人は、必ずもとの位置に戻る事をご存知でしょう!。本症例の患者さんもです。でも本症例は鼻尖の上にに挿入物が入っていて鼻柱が下に引かれているから、相対的位置関係として、余計に鼻尖が上を向いています。そこで鼻の形をごまかす為にも鼻尖のオステオポールの下を前に出したいし、ついでに彫り、鼻根、鼻陵に浅くシャープに入れたい希望もありました。術後1週間で手術部に近い部位ですが、別に影響は無い位置関係なので早速注入した。
正面像で上左が術後1週間の画像。術前から上にあった鼻尖が、鼻柱が引き下げられた為により上に見えます。挿入物が上にあります。オステオポールは硬いから判ります。ですから鼻尖表面から触れながらその下縁より下にヒアルロン酸を注入しました。因みにシリコンプロテーシスの場合、異物を包み込むカプセル,capsule(被膜)とプロテの間にヒアルロン酸が入ると袋上のカプセルの中で拡がって言って、形が作れませんが、オステオポールは被膜を造らないので近くに入れてもそこに留まります。上右図が注入直後の画像ですが、鼻尖の位置が下がり普通の(自然な)形に治せました。
鼻の拡大図です。鼻尖の位置が自然になっただけでなく、眉間から鼻根、鼻陵線=はなすじを適度にシャープに高くしました。
斜位像左が前、右が後。鼻尖に架けてのカーブが自然でしょう?。私がいつも手術で造っている形です。側面像左の注入前と右の注入後を比べて下さい、鼻筋が直線上になり、鼻尖が下方移動しました。これもいつも私が手術で造っている美しい鼻陵と鼻尖です。
今回は新しい試みです。白唇部短縮術の際に鼻翼が横と下に引かれます。何回も説明しましたが、術後中早期は周囲の表情筋がダメージを受けています。口輪筋が鼻翼を内側に寄せます。口唇鼻翼挙筋が鼻翼を挙げます。筋力が回復し、トーヌス(覚醒時の精気を表わす為に表情筋には顔面神経から微弱な信号が流れている。)により表情筋が働き鼻翼の位置が戻ります。約1週間から回復し始めて、元の位置に戻るのに約2〜6週間罹ります。
鼻柱の位置は鼻柱下制筋により挙がりますが、腫脹に因っても引き下げられています。鼻柱が引き下げられると相対的に鼻尖が上を向いて見えます。本症例では下手な医師がオステオポールを上に入れてしまったので更に目立ちます。オステオポールは巧く入っていないのを散見しますし、逆に撮って付けた様に尖っているのも散見します。だから私は施行しません。
どうあれ、今回鼻尖の下にヒアルロン酸を注入して鼻尖が上を向いたのを治しました。患者さんは満足な形態と感じました。これいけるんじゃあない?。今後とも必要に応じて奨めましょう。たぶん鼻の位置が戻っても鼻尖に継続的に欲しくなりそうです。綺麗な鼻陵も欲しいでしょう。ならばいつかは、軟骨移植とプロテーシス等も検討課題でしょうか?。その前に今回の手術経過を丁寧に診ていきましょう。
術後2週間で画像を戴きました。
鼻は満足戴けましたが、若干足りないかも?。量の問題です。腫脹が更に軽快してきて形態的に更に良いです。機能的にはまだ口が閉じ難いのですが、困る事はない様です。
斜位像や側面像でも腫脹の軽快と共に可愛くなって来ました。次回には創跡はもっと目立たなくなります。
こうして術後1か月で画像を戴きました。
創跡は段々目立たなくなります。ところが真皮縫合の断端(切れ端)が前を向いていました。皮下に触れます。さすがに痛いそうです。突っついて取り除こうとしましたが出て来ません。真皮縫合に使う糸はPDS糸といい、約3か月で溶けて吸収します。でも体外に出て来ると溶けません。出て来ないか来月までに触れたら除去しようと思います。
口は力を入れないとまだ閉じません。でも軽く力を入れれば閉じます。従って頤の梅干し状は目立たなくなってきました。段々上口輪筋が回復し、無意識に(トーヌス)力が入ってくる様になれば下口唇だけで閉じなくてもよくなり梅干しが出来なくなります。
術後は上白唇の腫脹により相対的に口角が下がって見えましたが、腫脹軽快と共に口角は挙がって来ました。本症例に対しては口角挙上術は不要かと患者さんと確認しました。それは術後3ヶ月まで見ての検討課題です。
そして術後3ヶ月が来ました。
確かに口角を下げる癖が着いていません。口が小さめなのは好みの問題です。おとなしい日本的な女性なので、似合うでしょう。実は美人で、看護師さんも「いい雰囲気の美人さんですよね!」と誉めていました。
ただし鼻尖のオステオポールの下の鼻柱側には段差があります。下の像を診ましょう。
鼻尖がツンッと高くしてあります。糸と同じ材料の糸玉状のプロテーシスが入っています。鼻尖から鼻柱へのカーブが緩過ぎます。オステーポールが上にあるからです。ボール(半球形の模様)の直ぐ下にヒアルロン酸を追加しました。
関係ないと思われるかも知れませんが、白唇短縮術の傷跡を前から見て目立たなくする意味もあります。術直後から数週間は鼻が下に引っ張られていましたから尚更です。必ず治りますと申し上げました通り、鼻は元の位置にあります。でも途中で鼻尖に注入したのでまた追加したくなります。とはいってもボールの直ぐ下に居れなければならないので繊細な技術を道具を要します。手術で改良する事も出来ます。私に任せて下さい。
患者さんの感想を戴きました。「上(赤)唇が薄かったのが上下の厚さが整ったのが嬉しく、(Cupidの)弓がなだらかで貧弱だった赤唇縁の形がはっきりして綺麗です。」「周りから『唇が綺麗ね!、ヒアルロン酸でも入れたの?。』と云われました。」『鼻の下の傷跡なんか判らない様ですね?」微笑みながら教えてもらい。私もうっとりしました。優しい雰囲気の色っぽい患者さんでした。
当院は、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。鼻のヒアルロン酸注入は2ccで2万円+消費税分使いました。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。