この２ヶ月半というもの、忙しかったです。私は自粛に応じて銀座院の手術日を４分の２．５に減らしましたが、その枠は満員でした。何度も書きましたが、マスクで隠せるから口周りの手術の症例が以前よりさらに増えて、休みを取っているから手術後のダウンタイムをやり過ごせるから、顔面どちらの部位の手術でも受けやすい人が来院しました。宣言が解けてからでも学校が休みならまたリモート授業なら、手術を受ける人はひっきりなしでした。
今回はやはり口周りの手術の一つです。と言っても鼻と頤ですが、やはりマスクで隠せる部位です。この数年私が携わってきた口周りの手術は評判でしたが、最近載せる機会がさらに増えましたから、今後もまだまだ症例は止まらないでしょう。
症例は４５歳女性。これまで口周りの手術の修正を図ってきました。他院で富士山型にされたのを複数回の手術で治してきました。でもまだ出来上がっていません。もう一回口角挙上を追加してはどうかと検討中です。そこで患者さんもその上下に目を向けました。
頤プロテーシスは２０歳代に入れました。見てわかる様に頤は長くなっていますが先端に水平線があり、輪郭が五角形です。触れるとプロテーシスの形が横長の棒状で原因となっています。やっぱり！、またこれだ！。頤は、少なくとも女性は三角形のプロテーシスが適切です。男性なら白人の強い男は角張った頤を誇りにする人も居ます。例えばカーク・ダグラスとマイケル・ダグラス親子はケツアゴが強さのシンボルです。私は三角形のプロテーシスも棒状のプロテーシスも用意しています。とにかく入れ替えを提案しました。
そして上を診ると鼻がなんか・・。やはり２０歳代に他院でL型を入れたり抜いたりしているが、現在鼻尖が鼻稜の延長線上より１．５㎜後ろ(つまり低い)にあり、軟骨は割れているから縫合して耳介軟骨移植２枚で本当のアップノーズにしたい希望があった。そして鼻をよく診ていると、鼻孔縁の前が鋭角に喰い込んでいる。いわゆる上を向いた鼻の孔が低い鼻尖を強調している。
これも私が得意とする鼻孔縁への複合組織移植の適応ではあります。手術優先順位と計画を検討していたら、今回同時に出来る頤プロテーシス入れ替えと耳介(耳輪部)からの複合組織移植に依る鼻孔縁下制術は部位が離れているから出来ると決定した。
手術直前の診察で念を押されました。上白唇短縮の修正をしてきた為に、口唇の長さが上口唇(赤＋白)２５㎜：下口唇(赤〜頤)４５㎜で現在黄金比率です。だから頤はこれ以上長くしないことと三角に変えること。鼻孔縁は喰い込んでいる分の３㎜下げたい。
画像は術前から。
上に記した通りの頤尖の水平線と鼻孔縁の前の喰い込みが診られます。
耳介からの複合組織移植とは、皮膚と軟骨を一体に同じ大きさで採取し、軟骨を隙間に挟み、皮膚で覆うことです。５×８㎜採取しました。
入っていた頤プロテーシスです。
入れた頤プロテーシスです。
この結果は下に並べた術直後の画像で明らかに判ります。
頤の先端には固定糸がありますから、凹んでいて丸く見えませんが、角張ってはいません。
そこで鼻孔にはレティなーを挿入しました。シリコンで出来た孔の形に合わせた圧迫道具です。
頤にはプロテーシスを包み込む様にテープで固定します。
斜位像や側面像では頤は腫れて前に増大しています。
鼻孔ないの複合組織移植は見えません。
下には術後１週間の画像群。
口腔内の抜糸は。腫脹がまだ残り形態的には良好か？不明。少なくとも水平線が丸くなっている。
鼻孔縁の高さは微妙に左右差ありも術前からの差です。形は鋭角から丸くなりました。
斜位像でも側面像でもまだまだ腫脹が残り、頤は前凸しています。他の手術より腫れが長引くのです。上のプロテーシスの画像の様に厚さは増やしていませんから、ちょうど良い前凸になります。
下から鼻孔内を覗くと移植物は軟骨は露出ないが、被覆した皮膚は一部壊死傾向。
術後１週間で耳介部は抜糸します。 耳介前面にも内出血が診られます。裏面から採取しているのですが、傷跡は見えなくなります。
次週全抜糸に来院されます。その際の画像をお楽しみに！複合組織移植の説明も加えます。
術後１ヶ月なら何もかも落ち着いていることでしょう。
鼻孔縁の形態と位置はちゃんとできました。とんがっていたのが丸くなり鼻孔内が見えなくなりました。頤は先端に水平面があったのが、丸みを帯びてきました。プロテーシスの位置は中央にあります。
鼻孔内を下から診ても、 複合組織移植は見えません。もっとも日常生活上この方向から覗くことはないでしょう。ちなみに複合組織の二要素のうち、皮膚が壊死傾向でしたが、生着していました。ということは、皮膚でカバーされている軟骨は適切に嵌っている訳です。だから鼻孔縁はちゃんと下がっているのです。
突然、他院での白唇短縮術でNostril sillを切除されたことを蒸し返されました。下面像で見て、鼻の孔の中が見える件です。Nostril sillとは鼻孔の入り口に鼻翼基部から鼻柱に架けて土手状に膨らみがあります。これがあるから、前から見て鼻孔内(粘膜だから黒い)の後ろ半分は見えないのです。Nostril sillがないと鼻孔が丸く丸見えになります。切除されたものは作れませんが、再建を希望されました。ヒアルロン酸で造ってみましょうか？。試しです。
術後３ヶ月で画像を頂きました・・。
でも診察はできませんでした。ヒアルロン酸の件も見合わせました。そして鼻孔縁の位置も評価しませんでした。
でも頤は良い形です。
近々来院されます。その際も画像を頂けるかも？。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
費用の説明も加えなければなりません。耳介(耳輪後部)からの複合組織移植に依る鼻孔縁下制術は３０万円 ＋消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として２０％オフとなります。
手術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは１～２週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、３ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに２週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後３日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。・効果には個人差があります。また、部位によってはそれほど改善が実感できないことがあります。
