美容医療に於いてはどんな治療でも手術適応を吟味するべきです。治療を受ける受けないは最終的に患者さんの決定に基づきますし、手術は受ける受けないだけでなく、方法も多様です。
患者さんは、生来の容貌は多様で、現在までの経年変化も多様で、美容医療を求める目的も多様です。疾病なら治すことが目的です。生命維持や機能維持の為で、エビデンスに基づいて定式の診療=診察と検査及び治療法が選ばれます。だから定番の診療法は保険収載されます。それでも、人が人を診る訳ですから、傷病は個体差がありみんなに同じ診療で済むわけではありません。ですから、医療はコンピューターで手伝えても診療は出来ません。
美容医療に於いては、疾病では無いので、どんな形態をどんな風に変えたいのかは個人差が大きいのですが、さらに患者さんの背景も重要です。派手めか?、おとなし目か?、機能的要素も加味するべきか?。バレても良いか?、カムフラージュしたいか?、出来るか?。等等は患者さんの社会的態様により差異が大きいし、経済性も加味しなければなりません。要するに診察に基づく治療法の選択の際には、医師は適応を選びますが、提示し、説明したら、最終決定は患者さんの権利です。「それでお願いします。」というのは患者さんです。
今回の下眼瞼形成術も多様な手術法を駆使します。目袋と瞼頬溝を無くしたいのか?。目袋がなくてもシワが気になるのか?。涙袋は?。垂れ目は?。まつ毛の向きは?。これまで私は、ブログに多様な症例と治療法を載せてきました。どの場合でも、丁寧に診察して、患者さんの個体差に合わせた適切な治療法を選択して、結果を得て提示してきました。
本症例の患者さんは目袋がないが、縮緬ジワが目立つ女性で、目が大きいから余計に目立つので治したくなったのです。私は皮膚だけの下眼瞼シワ取り術を提示しました。ダウンタイムも軽く、傷跡も目立たないし、手術時間も長くならないので、料金も下がります。提示したのは私ですが、患者さんは既に知っていました。スケデュールも立てていました。何度か診療させていただいて、信頼関係が深いからでしょう。
症例は62歳女性。5年前に当院初診され、いくつかの美容医療を受けてきました。やや遠方なので、通院回数が少ない治療=注入療法や皮膚表面からのLASER治療等の合間に手術も受けました。ご覧の様に、目がぱっちりした丸顔で、性格的にも可愛い系の容貌で、年齢は私と同じでも、私より若い雰囲気を見せる患者さんです。
カルテを捲ると、昨年末唐突に、下眼瞼の縮緬ジワを治すには、皮膚だけの剥離で可能と書いてあります。目が大きいから視線が集中するから気になるのでしょう。その後再来し、診察しました。下眼瞼の小皺のみで、ご覧の様に目袋は無いのです。私は同世代でも、「目袋が垂れているので悔しい。」と言ったら「私は先生に治療してもらっているからなの!。」と嬉しいお言葉を頂きました。手術は目袋に対するHamra法に比べて簡便です。方法は画像提示に添えて説明します。
画像は術前の眼瞼部と両眼の近接像から視ましょう。ご覧の様に目がパッチリしています。
下眼瞼の縮緬状のしわが気になります。
画像では分かりにくいかもしれませんが、術式を説明します。下眼瞼縁の睫毛の並ぶ列の1㎜下を、全長に亘って切開します。皮膚だけを眼輪筋から剥離します。約5㎜下までです。上左図はそこで撮りました。眼輪筋から皮膚へ立ち上げる血管を、Bipolar電気メスで止血した後が上右図で、黒い点になっています。続けて筋縫縮を加えます。糸は透明な吸収糸なので上右図では見えないでしょう。赤く見える眼輪筋の幅が減っています。
その後、皮膚を戻してみると筋を縫い縮めた分余ります。目の前に被せて伸びた余った皮膚を帯状に切除して縫合します。上右図は切除皮膚で最大幅は5㎜でした。
術直後は縫合線に血が付いていて赤いし、剥離した皮膚野下に内出血と術後炎症でピンク色です。麻酔の容量分腫れて皮膚が平らです。
皮膚は腫れて平らでしわがありません。この後術後経過を診ましょう。下に術後1週間の抜糸後。
残念ながら腫れが引き始めるとしわが少し見えてきます。抜糸しても、創跡は赤い線です。ただし黒いのはアートメイクです。切開線はピッタリとアートメイクの1㎜下です。
術後2週間で眼瞼像だけ戴きました。縮緬状のしわは減ってお悦びです。
術後1ヶ月で魅せてくださいました。何がって?、遠方から毎月の様に上京される様ですが、今日はおめかしして、ついでに店に寄るそうです。素敵なコスチュームでした。考えてみれば、この手術後経過なら術後1ヶ月ではお出かけできますね。画像は眼瞼部だけです。でもフルメイクでそのまま写ってくださいました。。
笑うとまだシワは出来ます。でもこの方が自然です。表情が豊かな患者さんですから。近接画像でも傷跡は見えません。アートメイクの直下を切開したので隠れているのです。
術後2ヶ月で見せてくださいました。
「お化粧が埋まる様な深い皺がなくなった。」と、効果を教えて下さいました。皮膚だけの下眼瞼リフトですから、料金も低めですが、意味を認めてくださいました。涙袋は造った訳ではありませんが、眼輪筋をPlication, 折り畳んで吊り上げることを加えていますから笑うと膨らみ涙袋に見えます。画像ではニコッとしてくださいました。
術後3ヶ月です。
明るい女性で表情が豊かなので、笑顔で写ってくれました。シワは見えます。表情筋は筋ですから、皮膚は寄ります。手術でも勝てません。
近接画像でも笑顔で写ってくれました。でも患者さんは「パッと見ると明らかにシワは減っています。」と言って下さいました。助かった!。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。下眼瞼形成術は術式によります。皮膚切除だと20万円+税で、Hamra法では40万円+税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。