2024 . 1 . 15

このところは、こめかみリフトが流行っていましたが、やはりまずはJowl Liftからが定番かな。

やはりブログの効果は大きいのでしょう。立て続けてこめかみリフトの症例を載せたら、「視ましたよ!。すごく上がっていますよね?!。しかも部分的だから安い?!。」と皆さんおっしゃって来院されます。いきなり「お願いします。」と、初診時に手術を希望される患者さんが続いて”芋づる式”に毎週手術していました。実際には私、こめかみリフトに於いては、目標物(挙げたい部位はMalarに限らない)をどの方向に挙げるかを、シミュレーションしながら患者さんと検討して、面白い診察時間を過ごせるので好きなんです。逆に手術はそんなに難しくないし、もちろん丁寧に時間をかけて手術しますが、ナースのアシストが慣れて上手になり、回を追うごとにどんどん早く進むので、プレッシャーが少ない手術となりました。だから結果も伴います。

対して、Jowl Liftは名前の通りに目標はJowlです。最近はJowl fatとかMalar fat等の美容医学用語を知ってくる患者さんが増えてきました。私も含めたまともな美容外科クリニックが、HPやSNSで説明しているからです。したがっていきなり「Jowlを挙げて下さい。Jowlが嫌なんです。先生の広範囲剥離が楽しみだわ!?。」とか初診時から言ってくる患者さんもいらっしゃいます。でもその際もJowlの周りを診察します。症例によりますが、私は一目見て「下顎縁の骨格が美しい卵型ですね。だからJowlのたるみだけがもったいないから、手術の効果が高いでしょう。楽しみにして下さい。」と言うこともあれば、「いわゆるエラ、人間は魚じゃないから鰓はないのですが(胎児の時は鰓の原基があったのですが・・)、でも美容医学では、下顎角間の幅がある人はJowlから後ろが横張っているから、これもJowl liftの適応なのです。でも遠いから手間を要します・・。」という症例もあります。ただしどちらにしても、広範囲剥離が効果的で必須です。またぞろ言いますが、「S.美容外科では切って縫うだけのなんちゃってリフトが定番で、1ヶ月で元通りになった人がちょくちょく来院されますよ!。」と言い添えます。

と言う訳で私は、リフト手術は上中下に分けて手術します。なぜかと言えば、私たちの施設では、手術時間を3時間45分に限られています。対して一日中手術しているクリニックもありますよね。違いとして、その様な施設では、初療時にまず電話対応で受付嬢が簡単に説明して、来院後もその者が詳しく説明して、医師の診察は極く簡便に済まします。外来診療時間を設定しなくて済むので、一日中手術時間に当てられるのです。ですが私達は真面目なので、外来診療も疎かにしません。特に皆さんご存知の様に、私は初診時から細かい診察を心掛けています。診察による診断は料金を決めるためではなく、治療法の選択に直結するからです。丁寧な診察を伴わない治療は不真面目で、いわゆる誤診を起こし兼ねません。私の医師としての矜持です。

ですが、3時間45分の手術時間では、フルフェイスリフトは出来ません。だから挙げたい部位と切開部を分けて順々に手術しています。上は前額部です。上顔面は眼瞼や眉の形やおでこの広さに影響されるので、いろいろな目的があります。患者さんも理解が難しいので、あまり手術の機会がありません。中顔面はこめかみ生え際から、主にMalarを挙げますが、目尻を挙げるかやゴルゴ線の程度など様々な要素の検討を要するのは上にも書きました。下顔面は一言でJowl目的です。ただし稀にJowl fatが多い症例があります。その場合予め、脂肪溶解をいておくか、術中に脂肪削徐を併施しますが、残念ながら腫脹が倍加します。その点は腫れぼったい瞼に対して眼窩脂肪除去するサイト同様です。幸い大多数の症例は、耳の前から後ろにかけて半円形に切開して、Jowlまで皮下剥離して、耳垂の先端をしっかり引き上げれば、Jowlは消失します。なんと言っても広範囲剥離と部位を分けてのリフトが良好な効果をもたらします。

症例は58歳女性。カルテを転記します。昨年11月に初来されました。Face Lift 顔面輪郭が逆卵型だった。5年前からJowlが気になり始めた。S.で糸リフトを3回、最後は三年前で口周りへの効果は観られた。ここで私は言います。折角の綺麗な輪郭(美人と言っている)なのにJowlは勿体無いからそこまで確実に剥離してあ(挙)げましょう。Jowlが下顎縁を超えて頸部に落ちているから下まで剥離します。そうだと耳後部の切開は生え際方向へ曲げます。

画像は各方向を経時的に追って観ましょう。正面像から。

上左図は術前。上右図はデザイン後。笑顔で写ってJowlを強調して下さいました。

上左図が術直後。剥離範囲が筒状に腫脹しています。

画像はありませんが翌日も診ました。所見が記載されています。左耳後部の皮弁先端が内出血しています。血腫ではない。壊死はしていない。外出血は少量だった。術直後と比べて腫脹は下垂してきたが、増量はしていません。

上右図は術後1週間で半抜糸した後。腫脹は軽減中です。Jowlだけでなく剥離腔全体に腫脹しています。だから腫脹が弾くとJowlも見えなくなりますよ。頸部に内出血が降りました。左耳後部に血腫があり、開いてコアグラ(凝血)を排出できました。平坦化しました。

術後2週間で全抜糸しました。腫脹は術後48時間のピーク時に比べて50%程度に減りました。

上右図は術後1ヶ月です。やはり術後1ヶ月でやっと腫れが引きはじめました。写真を自撮りしたそうですが、口元が下がっていないのが嬉しいそうです。そして下顔面が平坦化したら、中顔面の歌詞気味が気になるそうです。こめかみリフトの希望は術前からでした。でも別々に手術していく方が楽だと。仰ってくださいました。

4方向を観ながら、手術の説明も加えます。

上二葉は術前の斜位像。下二葉は術前の側面像。Jowlはマリオネットラインの後の膨らみです。

デザインしました。

切開線:前の上には、耳輪のカーブの前端から前方に2.5㎝ですからもみあげの毛の後です。耳輪を回って、耳珠の後を切開しますから見えませんし、耳珠が引っ張られません。下に耳垂の前から、U字に後に周ります。耳後部の切開は折れ返り線よりも5㎜耳側を切開します。外耳道の真後ろから後に曲げて生え際方向へ向かいます。

剥離範囲:Jowlの前はマリオネットラインの真後ろまで、切開線から筒状の剥離範囲をマーキングしました。下顎の下に垂れている部分まで剥離範囲とし、耳後部の切開に繋げます。

局所麻酔後切開し、皮下で剥離しました。皮膚の裏に一層の皮下脂肪をつけて荒い脂肪層との間です。いわゆるSMAS、筋層は触りません。支持靭帯,retaining Ligamentは骨から筋層を貫いて皮下に付着していますから、皮下剥離時に切れます。

その後下層にあるSAMSは、糸で前から後ろに約2㎝引っ張ります。さらに耳垂前から上の頬骨弓部のSMASへ吊り上げます。実はMACS Liftとも称します。Minimal Access Cranial Suspension Liftの略ですから骨に吊り上げています。

切開&広範囲剥離とCS後に、皮膚を引き上げてみます。まず上左図の様に耳垂先端部で25㎜と耳珠上部を20㎜、斜め45度方向にカットを入れてキースーチャー,Key sutureして、上右図の様に耳後部は25㎜引き上げてキースーチャーして。更に各点の間をトリミングするデザインを描いてから、切除します。

こうして切除した皮膚です。

下には手術直後の4方向画像。

上二葉は斜位像。下二葉は側面像。見ての通り、術前はJowlだけが膨らんでいたのですが、術後は剥離腔全体=デザインの点線で囲んだ範囲が腫れて膨らんでいます。

側面像で見ると腫れている範囲がよく判ります。

縫合層を耳の前後で観ましょう。デザイン画での線と同じです。ポイントは二つ。耳垂が下に引っ張られない様に、耳珠の膨らみが消失しない様に工夫しています。

耳後部の縫合創は皮膚が余らない様に、プリーツが残らない様に注意して縫います。

下に術後1週間。上には正面像を載せましたが、4方向はどう見えますでしょう?。

上二葉の社以蔵でも下二葉の側面像でも、立体視できませんから、下顎縁のカーブは綺麗です。Jowlが見えないだけでなく、術前画像と比べてマリオネットラインも浅くなっています。

こめかみリフトの話題が上がりました。最低1ヶ月は待ちましょう

ご覧のように耳輪前と耳垂前を抜糸しましたが、筆画ので赤くなります。

耳後部の後への傷も抜糸しました。右は血腫の痕が内出血していますがそうは癒合しています。

下には術後2週間の4方向画像。

マリオネットラインは若干見えますが、Jowlだけの膨らみは見えません。。

耳後部折れ返り線の抜糸しました。癒合良好。

術後1ヶ月で診ます。並べ方を変えました。

右側面像と耳前部の近接画像。たるみは上がっています。傷跡は赤くても幅がありません。

右斜位像。Jowl だけのたるみは診られません。耳後部の傷跡も目立ちません。

左側面像。Jowl だけのたるみは視えません。耳前部の傷跡特に耳垂前部は見えません。

左斜位像ではマリオネットラインが浅くなっているのが判ります。左耳後部の血腫後の色も消えました。瘢痕も収縮します。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守し、ホームページの修正を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。広範囲剥離中顔面リフトは80万円+消費税です。PRPは10万円+消費税です。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として手術代から20%オフとなります。