ブログは画像を載せられ、経時的に経過を追えるので、患者さんにとって有用です。説明も詳しく書きます。美容医療では宣伝広告が必要です。本来の意味の口コミが難しいからです。
ところで美容医療とは、美容外科と形成外科が標榜科目です。最近では美容皮膚科という科目も標榜できます。その違いは何でしょうか?。
形成外科は、形態的異常と機能を治す医療となっています。もっとも、形態を”治す”だけの場合もあります。”治す”の言葉がポイントです。つまり原因がある形態的異常を正常化することが形成外科医療です。原因は先天的異常や腫瘍。外傷や病気など多様ですが、異常である形態が形成外科治療の目的です。なお異常とはどこで線を引くのかと言うと、所謂偏差値で決めます。単なる遺伝的な美容的差とは違います。英語では、Plastic and Reconstructive Surgery,略してPRSと書きます。形成再建外科と訳します。主に形成は先天性疾患、再建は後天性疾患を対象にすると思えば解り易いかもしれません。原則的に保険医療です。
美容外科は、正常範囲の形態的変異を、患者さんか所属する集団に求められる美容的理想型に改善する”医療”です。何らかの侵襲、ダメージを与える事、改善の利得との天秤ですから、あくまでも”医療”です。英語ではAesthetic Plastic Surgery、訳して美容形成外科です。USAでは形成と美容は一体の科目です。原則的に自費診療ですが、USAでは通常の医療も自費ですから、使い分けません。なお美容整形は標榜科目ではありませんから、本来広告宣伝に書いたり告げたら違法です。番組やニュースで使うから、いまだに一般人は間違えるのです。
美容皮膚科は皮膚科医が食うために作った科目名で、彼らは原則的に手術の研修は受けていないので、レーザー等オンリーです。因みに一般的に美容的素養も稚拙です。
ところで、美容外科は自費診療で、形成外科は保険診療ですが、チェーン店系美容外科(最近は直美と言う範疇)はなぜ保険診療を行わないのでしょう。二つ理由があります。自費診療では、もし同じ治療を保険でする際の、2〜3倍の料金設定にすることが相場となっています。もっと高い設定も出来ます。上に書いた様に広告宣伝に係るから、その分上乗せしている医療機関が多くあります。因みに当院では多額の広告には費やしていませんから安価設定にしています。もう一つの理由は、”直美”です。保険医療機関は保健所に登録しないと保険請求出来ません。現在では医師国家試験に通って医師の資格を得てから最低2年の研修医を経験してから出ないと保険医(個人が保険請求する資格)を登録出来ません。”直美”医には不可能なのです。
基、形成外科は原因のある変形。美容外科は正常範囲の形態的改善としたら、老化という原因があるから、その意味でリフト手術は、形成外科の範疇かもしれません。USAでは高額の生命保険では担保することがあるそうです。リフト手術は再建外科だと捉えるからです。それに付随して、”直美”の多いチェーン店のビジネス系美容外科では、形成外科の研修を受けていませんから、リフト手術に必要な技術と知識が足りなくて、経験も少ないのが実情です。少なくとも、顔面神経等の解剖学的知識や、確実な引き上げの為の真皮縫合の技術は形成外科の医局でなければ、身に着けられません。糸や器械がせいぜいできることですが、効果と持続性は皆無に等しいと思います。うちに来る患者さんからよく聴く話です。
症例は45歳女性。ブログをご覧になって来院されました。私が見たところ、可愛い所作の女子です。社会的には顔を見せる人の様で、表情が優しく、緩やかな人です。その様な人は美容医療に興味が深く、こちらとしても診療効果が得られ易く結果が高められる患者さんです。
私、いきなり褒めましたが、患者さんのノリがいいから楽しみなのです。気になる部位、治せる部位、こめかみリフトかJowl liftか尋ねられました。私、視診と用手的シミュレーションしながらカルテを書きました。Malarのゴルゴ線が気になるそうです。「軽度ですが、Malarがフラットですね。」頬コケも気になるそうです。診て触れると、Buttressが緩んでいるから頬のサイドがこけています。触れて診ると下顎骨格は卵型でも、Eーラインよりも頤が後ろにあり、Jowlは軽度の弛みで、それに対してMACS liftの切開でのJowl lift は要さないと考えました。
診察の結果。こめかみからの2Vectorでのリフトが効果的としました。前方は45度方向に目尻はわずかに挙げる方針で、下方はButtressに向けて剥離して、Jowlを真上方向に挙げる手術プランとなりました。切開はこめかみ生え際を眉尻の真後ろより1㎝上から3㎝下までとし、2方向へ剥離して、下から上にまず挙げて、前から45度後ろに挙げて上手く辻褄を合わせて切除縫合していきます。切除量はともあれ挙げる量は術中判断とします。剥離腔が広いのでPRPを併用します。
画像は正面像から経時的に診ますが、下段の4方向の方が判りやすいでしょう。
術前と術直後。今回術前はデザインしてから撮影しました。下段で比較しましょう。術直後は腫脹がもう激しく、直後はまだ左側に局所麻酔が効いていて、顔面神経麻痺状に顔が曲がっています。
翌日と術後1週間ですが、翌日は腫脹がピークです。形態的にはコメントが記載されていませんでした。術後1週間では腫脹が軽快中です。
術後2週間です。私はやっと診ることができました。患者さんも診て欲しいと言っていました。優しい女子です。まだ腫脹はピーク時に比べて35%程度残っていると診て取れますが、頬こけは消失して、ゴルゴ線も目立たなくなっています。目尻の位置は丁度良いと言って下さいました。でも契約で目隠しします。
この下からは4方向を各時並べて説明します。
術前のデザインです。こめかみの生え際の切開は上記の通りです。剥離範囲は、前方はゴルゴ線まで、下方はButtress=頬骨隆起の下まで。皮下剥離したポケットの皮膚が先端まで引き上げられます
皮膚切除は、斜め45度方向へ17㎜幅でした。2Vectorの場合それだけではなく、頭皮側の皮膚と顔側の皮膚を15㎜ずらして縫合していきます。生え際の創の最上部で余った皮膚を、前方に三角形に切除します。図で見られますが細切れで、どれがどれだかは良く判りません。
上下に術直後の4方向ですが、剥離範囲にうっすら内出血が見られます。サイドビューでは腫脹(腫れ)は写りませんが、引き上がりは観られます。
翌日は他医に診てもらいました。下方に4方向の画像四葉。
腫脹はピークです。縫合創には血痂が付着しています。
下方には術後1週間の4方向。今回は年末年始を挟んだため、抜糸も他医にお願いしました。
形態的なコメントは記載されていません。でも画像上頬コケは観られません。
斜位像でゴルゴ線も消失しています。
抜糸直後は引っ掻くので電信柱状に赤くなります。
下には術後2週間の画像群。
目的のゴルゴ線は診られません。頬コケもなく、斜位像でも側面像でも張りが見事です。
Jowlへの引き上げ効果も充分です。
本症例は創治癒が早く傷跡の線の赤さがピンクになってきました。優しい女子は自律神経が落ち着いているため、創傷治癒過程も早く進行しますからです。もちろん幅は拡がっていません。次回傷跡は消えるでしょう。
当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
費用の提示です。こめかみリフトは40万円+消費税ですが、2Vectorでは45万円+税となります。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。