2025 . 3 . 14

法令線は鼻唇溝,Nasolabial foldです。線ではなく、上方の鼻翼横(基部ではない!)の三角形の窪みを埋めれば消えます。

題名に書いた様に、鼻唇溝プロテーシスは、鼻唇溝の上方三角形の窪みに限って入れます。法令線は人相学の用語ですから、洋語にはありません。英語ではNasolabial fold または grooveで、訳すと鼻唇溝です。なおアジアの彼の国では、鼻翼基部プロテーシスとか言っていますが、大間違いです。貴族手術とも称します。意味が解らなくはありませんが、間違いです。鼻翼基部とは鼻翼の最下”点”です。この様に韓国ではビジネス的な金儲け主義で美容医療をテキトーに取り扱います。医学的なまたは美容学的素養を求めません。彼の国はその様な国民性です。旧〇〇教会も韓国が発祥ですから、同様に金儲けをモットーとしていますよね。宗教とは言えません。

もっとも!、本邦の美容医療界はさらに混乱の極みです。本来美容医療も”医療”です。医学に基づいて実行されるべきです。なにせ診療時は侵襲を伴います。つまり身体を傷める、または副作用を生じる怖れがある行為です。求める医療効果と副次作用を天秤に懸けて、方法を選んで行わなければいけませんし、被施術者=患者さんに対する説明は必須です。例えば切開すれば、私がすれば見えなくなる程の技術を持っているとしても、傷跡は無くなりはしません。なかったことには出来ません。注射でも絶対安全ではありません。診察時に検査をしても、合併症は皆無ではありません。この様な行為を医療従事者以外が行えば、法治国家に於いては犯罪ですよね。そして法律上国家から認可された医師と、その指示下に行為をする医療従事者だけが、侵襲と治療効果のバランスを検討して、施行出来ます。なのに患者さんは美容医療に対して医療と考えていない人々が多くいます。原因は、美容医療をビジネスと捉えて”ビヨーセーケー”を売っているクリニックが多いからです。

その原因は、T.をはじめとしてS.等が、いつもビジネス流儀に特化させて来たからです。私がこれまでに書いてきた様な医学的見地は、欧米では学会で学びます。日本や韓国の学会(非形成外科医の日本美容外科学会,JSAS等)では、ビジネス的な議題がメインで、解剖や生理学的な議論はまず為されません。何度も書きますが、日本では美容外科と形成外科は別の診療科目ですが、欧米では一体です。逆に言えば形成外科,Plastic & Reconstructive surgeryの研修(といってもUSAではインターンも入れて12年)を受けた後に、ボード,bourd(一種の専門医⦅板つまり掲げる看板⦆)を得ないと美容外科,Aesthetic Plastic surgeryのクリニックを開業出来ません。専門医を持たなくても、医師なら誰でも好きな診療科目を名乗って開業できる本邦とは真逆です。もちろんT.(幹也先生以外)やS.の医師団は形成外科の研修を受けていません。日本で形成外科の専門医と日本美容外科学会,JSAPSの専門医を取得した医師は、私を含めて100名程度しかいないのが実情です。話題がどんどん違う方向に行きました。戻します。

鼻唇溝上方の三角形の窪みにプロテーシスを入れる際に、私は鼻孔内の鼻翼の内側の壁を矢状方向(上下)に約1㎝切開して剥離して、梨状孔(鼻の周りの骨)に到ったら、外側に向けて骨の上にポケットを造り、入れます。ポケットがL字型に曲がっているから、傷から出てくることもありません。またポケットのサイズとプロテーシスのサイズが同じなら、動くこともありません。実はこの手術法は私と父が開発しました。そもそも鼻唇溝プロテーシス挿入術も発明したのも父です。ところが父が存命時に、他の医師に教え、その医師が韓国の医師に教えて、近年はネットで流行らせてくれました。なお韓国では、口腔内から上方に剥離してトンネルを造って入れます。視野が広くてやり易いからです。でもトンネルが続いているから、重力で落ちてしまうことがまま起きます。私も二人程診たことがあります。そのうちの一人は露出していなくても、口の中にポコっと膨らんで見えました。もちろん鼻唇溝を埋める効果は無くなってました。やはり彼の国ではビジネスで、解剖学的知識に基づかないからの結果ですね。やはり私共が考案したオリジナル手技が適切なのですね。

症例は35歳女性。来院されるといきなり、「鼻が低いでしょう?。」と、問いてきます。私が「まあ高くはないですが、普通かな!。」と答えると、今度は・・「でも鼻唇溝の上、先生がブログに載せている部分を治したら、目立たなくなりますよね?。」と、訊いてきます。私考えて心の中で”確かにそうですが、鼻は別です。”と呟きながらも「要するに顔面がフラットですから!。」と告げると、患者さん「そうなのです。だからブログにある鼻唇溝プロテーシス。ネットで調べると貴族手術って出てきますよね。」とよく視て解っていらっしゃいます。若いのに一流会社の社長さんで、コミュニケーション能力が高い人ですから、話が進め易い患者さんです。

要するに側面と斜位の顔貌で視て判る様に、鼻根から鼻柱基部から頤前縁が一直線上にあります。これ以上だと三日月顔です。当院では顔面規格撮影は撮れませんが、私は医学的に頭の中で描いてみます。N,Nasion-ANS,Anterior Nasal Spine-P,Pogonionの前後関係が、標準的にはANSが前にあるのですが、本症例では一直線上にあると推測されます。当然に梨状口も後方にあるから、鼻唇溝の上方の部位も後方にあり、深いのです。これを埋める意味は大きいのです。私は、例えば貴族手術とかいうキャッチフレーズで患者さんを誘引するのでなく、ブログでも美容医学的見地から説明してきました。

なお今回やはり調べていませんが、ANS=前鼻棘が後方なら、その前に乗っている鼻翼軟骨を包む鼻尖も後方になる、つまり低いので、次の段階で治す予定も立てました。

画像は各方向別に経時的に観ていき、下段の近接画像で手術中も観られます。

術前の正面像と下面像。上下の口唇が前傾しています。その分鼻唇溝が深いのです。

術直後の正面像と下面像。術直後は鼻唇溝上方の三角形が埋まっています。線も見えなくなります。さらに口唇が出て見えなくなります。表面には何事もなかった様に侵襲がない手術です。

翌日の正面像と下面像。腫脹は軽度ですが、術直後よりは前に出ます。

術後1週間で抜糸しました。腫脹は軽減しています。自覚的にはまだ異物感があるそうです。

術前の両側斜位像。露光の関係で深さが不明瞭です。

術直後の両側斜位像。白いのは麻酔に添加したエピネフリンの影響です。

翌日の両側斜位像。露光を上げたらよく埋まっているのが判りました。

術後1週間では、ダウンタイムが過ぎています。素敵な口元です。

術前の両側面像。側面から診て、窪みの深さを計っておきました。3㎜でした。

術直後の両側面像。術直後は頬側が腫れて埋まっていなく観られます。

翌日の両側面像。腫脹は48時間目までは亢進します。でも窪みが浅くなっています。

術後1週間では、窪みの底が見えます。

ここから手術中の画像群。

デザインはまず3点を描いて、点線で繋げます。

下面では深い部位だけデザインさレテイルのが解るでしょう。

さて手術ですが、上左図は鼻翼内面の切開線のデザイン。中は巧く撮れないのですが、よく見ると右には縦に、青い線が見えます。上右図は切開後。右鼻内には切開した赤い線が見られます。

この後切開部から剥離して、骨の上に達したら、左図の筋鉤の方向に、三角形の下に骨膜上を剥離します。上右図は描いた三角形の骨の上を剥離した腔に、筋鉤を差し込んでポケットのサイズを確認している画です。左この後左も同様にポケットを造りました。

さていよいよ、プロテーシスの作成です。上左図は作る前。頤プロテーシスの最小形に大体のサイズをマーキングしてあります。原型は厚さ6㎜あります。上右図の様に切り分けました。

切り分けた1対のプロテーシスを、鼻唇溝の皮膚上に乗せて、形を頭に入れてトリミングします。上右図はトリミング後です。予め機械台の上に鼻唇溝のデザインと同じ画を描いて、いちいち実物の側に移動しないで良い様にして、形とサイズを合わせて造り上げます。

厚さは最大4㎜まで削りました。上右図はこれを実物の皮膚上のデザインに載せた図。サイズと形はピッタリです。

挿入しました。方法:上図の様に筋鉤で腔を広げて、プロテーシスの外下側の尖った側から入れて、骨の上に達したら外下向きにクルッと回し込む様に入れます。鑷子(ピンセット)で抑えながら筋鉤を抜けば、上に書いた様にポケットはL字形なので、プロテーシスは留置されます。

その後6−0青Nylonで3針ずつ縫合します。術後治療は特にありません。

上左図は翌日の近接画像。上右図は術後1週間。腫脹が引いて形態は良好です。運動時(摂食や構語)の異物感は軽度あり得ます。慣れます。これまでの症例では困り続けることはありませんでした。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログに加筆しています。もちろん画像操作はありません。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。今回の手術:鼻唇溝プロテーシス挿入術は両側で28万円+消費税です。ブログ提示の契約を頂いたら出演料として20%オフとなります。