2025 . 8 . 26

口周りの手術は得意分野。ブログを覧て、久し振りの掲載。丁寧に創痕が見えなくします。形態は特に綺麗と云われます。。

私はもう10年以上前から、口周りの手術を多数例手術してきました。ただしただ手術してきただけではありません。細かい診察に基づいて手術プランを立ててから、手術時間を充分に用意して、丁寧に手術してきました。

私の手術デザインには、いくつかの優位な特徴があります。1、鼻柱基部だけを短縮するのではなく、両側鼻翼基部まで短縮して、富士山型を防ぐ。2、鼻孔底隆起の下の折れ返り線を切開します。3、患者さんの元の形態と希望に依りますが、両側鼻柱基部と人中陵の縫合時に寄せて、人中をはっきりと狭くし、Cupid’s bow 赤唇縁の弓型を強調し、赤唇中央の丸み、口唇結節を前向きにして、セクシーにします。

私は形成外科と美容外科を37年間診療してきました。形成外科領域では口唇裂を診療します。何度も書きましたが、口唇は白唇と赤唇を含みます。口唇裂は赤から白まで割れています。白赤共上手く合わせて、対称性を作り上げるのが難しく古来工夫されてきました。医師は歴史も勉強して、数種類の手術法を其々に検討して手術時にも個体差を治していきます。その為には、精緻な解剖学的構造を学び、理解していなければならないのは当然です。逆にチェーン店系のビジネス的美容整形屋、ましてや”直美”には手を出して欲しくない分野です。

症例は36歳女性。口周りの手術を受けるために来院されました。カルテを転記します。1年前にS.クリニックで骨切り術。内容はLeーFortⅠ型後方へ短縮+SSRO, Saggital Spliting Ramus Osteotomy短縮陵不明+頤骨切り前突と短縮です。結果的に側面顔貌でE-ライン, AEsthetic-lineは、鼻尖-口唇-頤全面が一直線上にあります。知覚低下と歯牙咬合痛は一部にありますが、手術には支障は無いと説明しました。

でも患者さんは”おばあちゃん顔”になったと悩んでいます。確かに笑ったり、意図しても、歯牙が露出できない状態です。口唇(白も赤も)もストンと落ちて、特に赤唇が貧弱になったそうです。上顔面63㎜:中顔面58㎜:下顔面65㎜と下顔面が長いのです。白唇は人中溝部で18㎜。上口唇24㎜:下口唇41㎜と黄金比率の5:8です。頤骨切りの結果として軟部組織が余剰となりました。従って上口唇を挙げれば下口唇も挙がって下顔面が60㎜になりますから上口唇短縮術の適応ですと説明。つまり4㎜短縮必要です。人中幅が10㎜でも浅く、Cupidの弓は明瞭でも、赤唇結節が下向きで薄いのです。両側鼻柱基部と人中陵を縫合時に1.5㎜寄せると綺麗ですと説明しました。

横方向の計測です。内眼角間距離35㎜:鼻翼幅35㎜:口唇横径47㎜です。頬骨幅125㎜:下顎角幅103㎜となったのですが、Jowlが緩んだので、まずは口角挙上で効果をもたらしたい。口角挙上術は黄金分割比を計算すると、45度方向へ6㎜挙げて上方へは4㎜挙上が適応です。ちなみにその様な場合、若年者でもJowl Liftの適応です。

画像は術前から各方向を載せます。後段に近接画像で手術中の画像も載せて説明します。

術前の正面像とデザイン画。観ても、口元が貧弱なのが気になります。

両側斜位像と側面像の4方向では確かにE-lineに口唇が載っていますが、確かに寂しい顔貌です。

手術直後の正面像です。口を閉じるために頤に力が入っていますが、下顔面のバランスが崩れないで短縮しています。口唇横径は増大して黄金比率になっていますが、手術直後は鼻翼が横と下に引かれていて拡大しています。口輪筋と口角挙上筋が回復する来週には治ります。

4方向では赤唇が前に出て主張しています。

術後1週間で鼻翼横以外は抜糸しました。見ての通りご覧になれる如く、おばあちゃん顔が解消したとお悦びでした。鼻翼の位置は半分戻っています

術後1週間での4方向画像では口元がスッキリしながら若々しいです。

下からは近接画像で手術中を説明します。

とか言いながら、いきなり私が登場します。デザイン時に分度器で45度を描いています。スマートフォンに分度器ソフトを取り込みました。確実に45度をマーキングしました。

こうしてデザインしたのが上左図です。プランに沿っています。切除後は撮り忘れました。手順としては、最初に口角のデザインが消えない様に浅く切開しておく。上口唇は1、皮膚皮下脂肪を全層切除。口輪筋は残す。2、口輪筋を縫縮する。3、鼻翼基部を真上方向に真皮縫合する、4、鼻翼の外側の皮下を剥離、トリミングしてから、辻褄を合わせながら3針ずつ真皮縫合したのが上右図です。ドッグイヤーは生じていません。

実はその後、両側鼻柱基部と人中陵に真皮縫合の糸を架けています。透明の糸ですが、左は赤唇前に見えますね。

人中陵には鼻柱基部よりも1.5㎜外側に糸を架けてます。上左図では右側は結紮しました。人中綾が内側に寄っています。上右図は両側を結紮しました。人中幅が3㎜狭くなり、深くなり、弓が急峻となり、赤唇結節がプクッと前を向きました。

上左図は全体を真皮縫合。全部で18針もです。傷の全長は約4㎝ですから、2.5㎜間隔程度です。上右図は皮膚縫合後です。鼻の皮膚と白唇の皮膚は厚さが違い。また、面の方向が約90度で癒合させる為、皮膚縫合で細かく合わせます。

なお右口角から、三角形の皮膚皮下組織切除して、赤唇縁を切開しました。赤唇縁は切開線直下の口輪筋まで分けます。

上左図は、右口角の赤唇の粘膜を、切除した三角形の頂点=新しい口角に二層縫合しました。左右比べると差が判ります。左側の三角形の切開線の頂点と同じ高さです。上右図は左側も同様に口角を吊り上げました。

上左図は口角の上の白唇を三角形に切除した標本と、上口唇の切除標本です。世界的に有名な美容外科医であるOscar Ramirezが発明したBull’s horn=牛の角型の切除です。上右図は口角を縫合後です。口輪筋を縫合してから、赤唇縁を縫合しました。

術後1週間で両側鼻翼間と口角は抜糸しました。周囲に少々の内出血が露見していますが、形態は解りますし、傷跡は赤い線ですが、早晩白くなります。幅も広がらない様に丁寧に真皮縫合しました。

当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。