2025 . 10 . 28

再びスレッドリフト。何故かと言えば、やはりダウンタイム。同時にPRPで何箇所かの陥没も埋めます。

私はスレッドリフトが好きな訳ではありません。たまたまこのところ、スレッドリフトを受ける患者さんが、モニター制(画像と診療内容を開示して、主に私はブログに載せる契約)を希望されることが多いからです。スレッドリフトはダウンタイムが軽い(短い)のですが、糸=スレッド,Treadは高額ですから、料金はまあまあ掛かるし、間違いなく年単位で後戻りしますから、繰り返す患者さんも多いからです。みなさん知っていると思いますが、スレッドリフトの糸は溶けて吸収されなければいけません。昔(前世紀)に、危ないビヨーセーケー医に非吸収性の糸(金の糸も含む)を入れてもらった患者さんが居ました。必ず後年、皮膚から飛び出してきます。ですから、スレッドリフトは絶対吸収性材料を使わなければいけません。との事で、今回スレッドリフトをお薦めした患者さんが、ブログ掲載を承諾されました。

PRP治療は注入療法ですが、量が作れて、深部へも、表層にも入れられます。ですから私はある面で、Augmentation, 増大治療とも考えています。年齢と共に、たるむと垂れて増量する部位もあれば、その傍は窪む部位もあります。JowlやMalarや眉毛が下垂すると、その上に頬コケやクマや鼻唇溝(ほうれい線は人相学用語)や眉骨上の陥没が出来ます。痩せた筋肉のために陥没する部位もあり、額もその影響がありますが、こめかみは陥没が最も目立つ部位です。これらに対してヒアルロン酸等の注入剤, Fillerで埋めるのには、足りない。または硬い材料ではシコる。また吸収が早いので頻回に要するし、無駄使いになり得る。対してPRP注入療法は年単位保ちます。皮膚表面だけでなく深部にも、増量効果を与えられるのですが、皮膚表面しか知らない美容皮膚科医には向きません。

今回は美容医療について基本的な説明をします。美容外科・形成外科は私の専門分野です。37年間以上診療してきました。昨今は美容皮膚科なる標榜科目も認められています。怪しい美容内科もです。美容整形科はあり得ません。骨等の運動器は美容的な改善が難しいと思います。あえて、下腿を長くする手術はありますが、かなりのトラブルが起きます。もちろん巷間で叫ばれる、ビヨーセーケーという標榜科目はありません。

美容外科・形成外科と美容皮膚科の棲み分けを説明します。昨今、いや1960年代から、LASER機器が発達し、美容医療に取り入れられてきました。LASERはフルネームでは Light Anplification by Stimulated Emission of Radiationです。大文字で書いた頭文字がLASERです。訳すと誘導放出による光の増幅です。だから何なんだ!。と言われますから説明すると、光線ですが、直進します。だから強いエネルギーが点に当たります。ですから点が焼けます。また波長と位相(波の並び)が同一です。波長は当てるものの色に合わせられます。切る。焼く。の際に、ごく繊細な技が使えるのです。美容外科・形成外科でも利用しますが、美容皮膚科を標榜しているクリニックでは、主にLASERだけを使用して施術をしている医師がm横行しています。皮膚科医は手術の経験が少なく、その為に内部の解剖学的知識と技術を持たないからです。他にサーマクールなどの電気治療機器や、Filler=注入治療を行う医師も、皮膚表面からですから、美容皮膚科を標榜しています。医師の出自にもよりますが、美容外科・形成外科医でも美容皮膚科治療を使うものも居ます。逆に皮膚科出身でもスレッドリフトまでは使う医師も居ます。但し、美容的素養、いわゆる美的センスは、皮膚科医は学んでいません。注入法でも、ある面美容的な形態的変化を求められます。美容皮膚科医の注入療法後に、なんか綺麗な改善が為されていない結果を見ることが、ままあります。

さて本題です。美容外科・形成外科は体表だけを治すのではありません。形態を治します。したがって、深部までの構造を知っていなければなりません。またゾロ説明しますが、医師は大学医学部を卒業して国家試験に合格した時点では、最低限の医学知識しか持ちません。顔面の細かい構造は生命に関わることが少ないので、なおさら教わりません。耳鼻科や眼科の講義では一部学びますが、逆に顔の表面の形態は教えません。ですから卒後教育が重要です。大学をはじめとした大病院の形成外科の医局では、新人の頃は診療の度に、成書と首っ引きで学んだものです。手術を当てがわれたら、先輩医に訊いたり、成書や必要な論文を探し出して、知識を頭に詰め込みます。手術の1週間前には、術前カンファレンスがあり、教授からも先輩医からも絞られます。解剖は深部まで精通して、関係する血管や神経も全て覚えて、皆んなの前でプレゼンテーションして、手術法はデザインを正確に書けなければ、手術を取り上げられます。逆に私が13年目に美容外科診療の講師として大学に勤めた際には、6年目の医師が余りにも知識が稚拙で貧弱だったので、手術を却下したことさえありました。大学病院の医局では、このように厳しく、真面目に細かく学ばないと、手術は学べないのです。元々私の専門分野ですから、今でも多くの知識は頭の中に残っていて、時折り頭から引っ張り出す事があります。例えばフェイスリフトの際には顔面神経の走行を知っていなければ危ないので、形成外科医の得意分野である耳下腺腫瘍手術を思い出して、画(イメージ)が頭に浮かびます。だから安全なのです。これは形成外科医・美容外科医の優位性です。

脱線しました。美容外科医療と形成外科医療は技術と知識はほとんど同一です。違うのは対象です。形成外科医療は原因のある変形を取り戻す、または治す医療です。先天性でも後天性でも、外傷や手術(多くは腫瘍)後でも、形態を”正常”化する目的です。一部は形態が機能に直結します。眼瞼下垂症が典型です。言ってみれば、マイナス(変形)をゼロ点まで戻す医療です。もちろん保険診療です。美容外科は別に”異常では無い形態”を改良します。正常と異常の境目は標準偏差で考えられていますが、とにかく理想的形態に近づけるのが美容外科医療です。目標は患者さんの希望を汲む面と、全人類の理想的形態をバランスを取って検討します。ここがベテランの美容外科医の頭と腕の見せ所です。自費診療です。ではリフト手術は加齢という原因があるから形成外科医療かというと、もちろん厚労省が指定する保険診療の項目には載っていません。「リフト手術は美容外科・形成外科医療です。」とお茶を濁しておきます。なぜなら切開リフト手術は解剖学的知識が深く必要ですから、形成外科医でなければ危ないからです。ちなみにスレッドリフトでも、挿入の深さと挙げるべき部位の精密度は、形成外科の解剖学的素養が必要です。

今回前振りが長くなってしまいました。

症例は51歳女性。2019年に初来されました。切らない手術を施行した後、保険の手術の説明を受けるために私に罹りました。その後私が眉下切開手術も施行しました。埋没法で修正もしました。昨年PRPで顔面前方のMalarがフラットなのを埋めています。その後毎月YAG LASERを当てて、長持ちしていました。その間看護師さんに、JowlやFace lineのたるみが気になると告げていました。看護師さんは一度医師の診察を受けることを勧めています。

こうして先日、半年ぶりに私の診察となりました。実は眼瞼の手術後に、再進展を感じて他院S.で何かのLASERを打ったが効かなかったそうです。その為に、開瞼時に前頭筋を使い眉を上げる癖(実際は反射運動)が生じてきたそうです。

診ると、その結果、開瞼時に眉毛弓の上に三角形の陥没があります。画像でも判りますよね。さらにこめかみに、青筋(太い静脈)がブクッと見えるのも、嫌な感じと仰います。画像では見えにくいと思います。どちらも深部が骨か筋膜で硬いので、ヒアルロン酸ではボコるから難しく、量も必要なので、PRP注入を勧めました。

さて、上に訴えられるJowlは確かに膨らんでいます。正面輪郭は骨格的には細面の美人顔なので、余計にJowlが目立ちます。画像で観られるように、Jowlならずエラ(人間は魚では無いので鰓は持たない)=下顎角部まで、弛んで膨らんでいます。Jowlは皮膚が弛んで、皮下脂肪ごと下顎縁に沿って前下方に落ちることで生じます。原則的に皮膚表面から張り,tennsionを与えても持ち上げられません。持ち挙げる,liftする為には、手術で、動かない部位である耳前部へ引き上げるしかありません。切開リフトでもスレッドリフトでも、耳前部へ引き上げます。違いは二つで相反します。1、剥離するかしないか?。剥離しないと皮膚皮下脂肪は重力で元に戻ろうとする。つまり持続性の差。上に書いたように非吸収性なら半永久的でも、それでは危ないです。2、逆に剥離すると、面で侵襲が加わりますから、ダウンタイムが大きく長い。スレッドリフトはダウンタイムが軽いメリットが+で、切開リフトは持続性が5年単位とのメリットが+です。今回は社会的都合からも、スレッドリフトを選択しました。

翌々日に手術に到ります。手術直前に確認しました。眼瞼前葉に左右差があり、眉の動きにも左右差。眉毛弓上の陥没は動きで深くなったので、深さに左右差。画像でも観られます。聴くと、左が弱視で視力に差があり、右目で見る為、神経反射が右ばかり前頭筋を動かすのです。患者さんに鏡で見せたら「その通りです。」と納得され、「注入量も変えてください。」と、私「うまく配分して埋めます。」と逆に納得しました。今回はPRPを3CC作製し、眉上からこめかみに1:1.5CCくらいの配分かと考えました。他に前回と同じく、 FlatなMalarと浅い瞼頬溝にも分けます。1CCくらいで足りましょう。鼻唇溝上三角にも分けられます。当日、右上眼瞼の眼窩下に窪みが見えると訴えられ、確かに見えるが、浅い窪みなので0、?CCを分ければ良いでしょうと言い、私は頭に入れました。

スレッドリフトはいつものやつ。コーンが1㎝間隔で着いている3D糸で皮下脂肪を抱え上げ、後方にたるみが溜まる分を、トゲトゲがたくさん着いたコグ糸を、真皮裏側に沿わせて平坦化します。

画像は各方向を順次、目隠しの全顔で載せます。

正面像。上左図が術前。上右図が術直後。上手く挙がっています。上手く埋まっています。凹凸が減ると、皮膚の色合いも変わり、顔達、雰囲気が明るく変わっています。こめかみの窪みも埋まっています。

上下の四図は術前の側面像と斜位像。眉上の陥凹が観られます。こめかみの青筋=静脈透見はうっすら観えるでしょうか?。

Jowlが広くエラ前まで膨らんでいます。斜位像でクマ=瞼頬溝が見えます。側面像でMalarがフラットな直線です。

上下の四図は術直後の側面像を斜位像。眉上は平坦化しています。こめかみの青筋は隠れました。

Jowlの膨らみは引き挙げました。Malarに丸みが明るい雰囲気です。クマは埋まりました。鼻唇溝は0.3CC分けたのですが、浅くなり影が薄くなり、窄まっていた線が広がり、明るくなっています。

当院では、厚生労働省より改定され施行された「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しブログを掲載しています。 医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも表現や補足の説明を付け加えさせていただきます。

施術のリスク・副作用について:・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・目頭の切開部位は、目やにがでる場所ですので、消毒にご来院下さい。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、切開部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

PRP作成から注入治療までの料金は1CCが10万円+消費税、2CCでは15万円+消費税、3CCでは20万円ですから、2cc以上がお得です。PRP後のYAG LASERは本来1万円のところ、五千円としています。費用の説明も加えます。3Dリフトは2本で14万円+消費税。コグ糸1本が3万5千円+消費税。通常は4本使います。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。