形成外科は特別な治療ができると述べました。「なんですかそれ、偉そうに!」っと言われそうですが、症例結果をお見せしましょう。今日抜糸した直後です。
その一つが、この皮弁形成術です。形成外科専門医以外の医師では経験がないのでしません。特に顔面では、創を丁寧に中縫い(皮膚の裏側をしっかり縫うこと)ができないと仕上げられません。そうです、私たちは縫い方にも特別な技術を持っています。形成外科医のこだわりです。先ほど1年前に頬のほくろを切除縫合した患者さんが別の件で来院されたのですが、傷跡が見えませんでした。「どこでしたっけ?。」って聞いてしまいました。
皮弁形成術、聞きなれない言葉でしょう。植皮なら分かりますか?。皮膚を移植するから植皮ですよね。じゃあ皮弁って?。皮膚を弁状にして移動するのです。弁って何?、心臓の弁なら聞いたことある。まあそうです。洋語ではskin flap と言います。フラップ・・?、何それ?。上を見るとエアコンがあった。風向きを変える板はフラップって言います。さらに上を見たら、飛行機の羽に可動性の板がついている。これもフラップって言います。封筒や服のポケットのふたもフラップです。片側が固定していて、片側がバタバタ動く板=これをフラップと言います。
皮膚を移動するのに、一部をつなげたまま持ち上げて、ヒョイっと移動させる。これがskin flap=皮弁です。ほくろでもできものでも、腫瘍でも、外傷でも。皮膚が欠損した場合に、縫い寄せられる場所、大きさならいいのですが、よらない大きさだったり、周囲の形態に変形をきたす可能性がある場合。皮膚を余裕のあるところから移動させることで変形を防ぐ。この際に、皮弁か植皮が必要になります。
植皮は一度切り出した皮膚をくっつける方法なので、ちゃんと移植皮膚が生きるかどうかが、運次第であり(とはいっても形成外科医の手にかかれば、成功率は高い。)また、薄い皮膚しか移植できないのです。それに比べ、皮弁は、片側を切り離さないで移動させるので、血が通ったまま移動できます。そして、欠損に応じた厚さの皮膚を移動できます。また、近くから移動するので、皮膚の色や風合いが同じなのもメリットです。何度も言いますが、創跡は見えなくなります。
どうです。大きい目立つほくろは、悪性化率もそれだけ高いわけで、さらに増大する前に取った方がいいのです。場所、大きさ的に難しいそうでも、私たちはうまく治せます。この結果は序の口です。実はまだまだ、大きくて、難しいそうな場所の症例もありました。また、私達は病院勤めの時は皮膚悪性腫瘍でも、ちゃんと綺麗に完治させてきました。
今回は、抜糸したばかりで、まだちょっと赤いので、来週以降に完成写真を載せます。その際、他の症例もお見せしましょう。