私の父は、それこそ大胆に引き上げるフェイスリフトを常々行っていました。このため、耳がエラまで伸びてしまうケースが多く、ちょくちょく私が治させられました。もっとも困った症例は、銀座美容外科の看護婦長のケースで、父がいろいろの方法を実験してましたから、(スタッフはモニターで、いろいろの手術を受けていました。)私が耳を治したら、数か月後にまた、フェイスリフトを追加して、伸ばす。しょうがないから、また私が治したのに1年後にはまた引っ張る。いたちごっこでした。但し、私はそのたびに、手術法のディテールを工夫して、回数を重ねると、より効果的な方法を身に着けました。この様な経験は誰もしていないでしょう。逆の意味で、父に感謝しています。
今回、この症例を治す機会ができたのは、看護師さんが見つけ、私も指摘したのですが、治し方を説明したら、「知らなかった!」と期待されました。
まずは症例写真:手術前左図でエラ(正しくは下顎角部)やほくろとの位置関係を見て下さい。耳垂先端のすぐ後ろにほくろがあります。近接像を見ると、耳垂の下端が引っ張られたように細く伸びています。これが特徴です。
手術直後に縫合したところ。耳垂の位置が上になりほくろは縦の傷の後ろにあります。
テープで縦の傷を隠しておきます。
一言で言って「どうでしょ!。いいでしょ!。」な形です。創跡は形成外科専門医が扱えば見えなくなります。
本日抜糸しました。まだ、テープで隠しておきます。抜糸直後から、メークも可能です。メイクと髪で隠してください。2週間後にはそれも不要になりますよ。
さて手術法は、「教えなーい。」と言う訳にはいかないので、簡単に紹介します。まず耳垂の周りを切開。通常はフェイスリフトの傷跡と同じ線を切ります。皮膚はあまり剥離しません。その後がポイントです。耳の後ろの軟骨から、耳垂先端を通して、耳の前の軟骨の下端までをUの字に糸(何を使うかはヒ・ミ・ツ)をかけて、ちょうどいいところまで引き上げます。これで耳垂の位置を決めたら、あとはUの字をYの字に縫い上げます。一部は丸くトリミングして、もちろん丁寧に真皮縫合してから、皮膚は連続縫合します。これで変な格好の耳から解放されるのです。
ところで初回のフェイスリフトで、どういう手術をすると、どういう原因でこういう合併症を起こすのか?。難しいところで、私も、起こしたことがあります。考察は次回までにまとめます。
2週間後にもう一度、出来上がりを掲載したいと思います。