なんかまた、振りかぶって書き始めましたが、本日のニュースに触発されてしまったのです。とは言っても別に、世界の美容医療の番組を見た訳ではありません。現今の国際情勢に於ける、美容医療に対する態度が様々である事を、感じていたので、述べてみようと思っただけです。
美容医療の分野、日本では美容外科と形成外科があり、その理由は歴史のブログで触れました。実は日本だけの様です。漢字使用国でも、中国では成形外科が、韓国でも整形外科が美容医療を、担っています。逆に欧米では、Plastic Surgeryは形成外科を意味し、Aesthetic Sugeryは美容外科を意味します。米国ではPlasic and reconstrucive surgery形成再建外科とか、Aesthetic Plastic surgery美容形成外科とか、臓器ごとにOphthalic Plastic surgery眼形成外科とか、Ear Nose Throat surgery耳鼻喉外科とか、Facial Plastic surgery顔面形成外科などというセクションも使われ、それぞれが研修分野となっています。正統的にはPlastic Sugeryが、日本でいう形成外科と美容外科を同一セクションで診療します。ヨーロッパではCosmetic Surgery美粧外科?、Esthetic Clinic美容医院(美容院と近い)という分野も見られます。英語圏以外でも同じ様なものです。
世界的にも形成外科と美容外科の担当者が別であったり、一緒であったりしていますが、日本では、保険医療と自費医療の違いから、明確に区別されています。何しろ米国では医療は、原則的には自費ですから、本質的には、区別はない筈なのですが、医者側が徒党を組む為にセクショナリズムを利用しているのです。
歴史的に、美容医療の中でも日本でいう形成外科医療は、外傷外科、戦傷外科から発展しましたのは、前にも述べましたよね。これは国民国家の興隆の為に必要欠かされざるものだからというのは、誰でも理解できますよね。例えば、国家支配者の近くにいる者が、間違っていない行為でも、 叱責され外傷を負う事は多くあったので、その場合形態的な回復を要求される事もあり、社会的な回復とは、形態的な回復を求められる事があり、形成外科が発展したと考えられます。戦争で負けて形態損傷を負った者を回復させる事は、その者や新参者を次の戦闘に向かわせる為には、使える手段です。この発展が富国強兵を支えたのは言うまでもありません。欧米では第一次大戦時に、日本は遅れて第二次大戦後にGHQが利用したのです。これこそ国民国家を文明化する為の道具だったのは、お分かりでしょう。でも、平和時には、形成外科医療は戦傷以外の外傷、疾病の為の外科としてどんどん進歩していきました。その限りに於いては文明には大きく寄与しました。
顔を始めとした見える部位の癌や、外傷。先天的(生れつきの)変形=形態異常。これらの原因による変形を治す為の技術的研鑽を専門的に行うのが形成外科医です。これは、技術を形態的な改善に専念するという意味で、文明の最たる者です。形態の損失は、精神的に損失で、その人物の能力をも損ねるから、社会=国民国家のレベルをも落とす。だから、国家は、文明の力として形成外科医療を発展させてきたのです。日本をはじめとして多くの国で、保険医療で国家が担保しています。
現在美容外科と標榜(=政府が認める診療科)されている、または36年前までは美容整形と看板していた分野は、実は有史以来存在していたのですが(表面化しなかっただけです。)、今は、医療の一分野として社会的認知を受けています。未だに、法律上は「美容を唯一の目的とする医療は保険診療を認めない。」と書かれています。そうだよ自費診療で何が悪いのって言いたいですが、口をつぐんで、美容外科医療は、文化的な、芸術的な、高尚な医療だから特別視されてきたのだと、常々自負してきたのです。
国際的には、ヨーロッパでは、混合医療が(日本では保険診療と自費診療を組み合わせることをこう言い、原則的には禁じられています。)容認されている国が多く、美容医療機関と、美容院の様なエステティックサロンの様な施設が併設できるようです。広告啓蒙が組み合わせてできるから、ニーズが掘り起こせる訳です。米国ではそもそも、広告規制がゆるいので、美容外科の広告も何でもありです。中東やアラブではイスラム教上は、美容医療を認めない筈ですが、原理主義的国家以外では、許されています。ユダヤ教のイスラエルや、イラン、パキスタンなどの美容外科医は、国際的にもレベルが高いです。
東南アジアでは実は、歴史的に美容外科が潜行していました。大戦前までどの国もヨーロッパ諸国の植民地だったので、⒈欧米人に学んだ。⒉欧米人の様な容貌を求めた。⒊既に白人とアジア人が混血していたので、白人化が、不自然でなかった。以上の歴史的民族的観点から、美容医療が、盛んだったのです。日本人のD婦人が白人の様に化けて大統領夫人になったのは、典型的事象です。皆さんご存知ですよね。
東アジアは特殊です。そもそも日本が特殊です。戦前にも、耳鼻科医や眼科医で、美容目的の手術をしていたものが居ました。国民皆保険制度はなかったので、逆に美容医療に対する垣根がなかったからでもあります。敗戦後GHQにより米国分化が注入!されると、美容整形はゆっくりと花開いていきました。その後は経済成長と並行していったのです。米国による経済文明の充足とともに、欧米文化である美容整形へ国民が引き込まれていったのです。と言ってみたところで、日本人をはじめとして東アジアには儒教精神というのが根付いているため、精神的にはNG、悪いことのイメージが強く残っていました。段々氷塊してきましたが、同時に日本は失われた20年に入ってしましました。こうなると資本主義社会である日本では、美容外科もビジネス化の波に飲み込まれていきました。最近コマーシャル多いですよね。ところで東アジアは儒教精神が残っているとしても、国家体制次第で違い、美容医療の歩みも様々でした。
中国:前にも言いましたが、三国志には美容医療の記述があります。しかし、戦後共産主義化し、文化を否定したので、美容医療どころではなかったのです。やっとこの20年来の改革開放化、経済大国化とともに、成形外科が芽生えました。中国のテレビのキャスターとかで、見え見えバレバレのまぶたや顔の人がよく映りますよね。まだまだ、技術的に低いのです。経済文明の発達に美容医療という芸術的文化がついて言っていないのです。
台湾:1972年までは国交があったので、日本と同程度のスピードで美容医療が発展してきました。有名な美容外科医を少なからず輩出していました。近年でも普通に行われていて、技術レベルも保たれています。
韓国:朝鮮戦争後軍事独裁国家化せざるをえなかった訳だし、儒教精神が利用されたし、東アジアでは最貧国だったので、美容医療どころではなかったのです。韓国は21世紀に入る前頃から民主化さました。そしてその頃に、アジア経済危機でIMF管理になり、外貨獲得を義務付けられたのも影響して、輸出政策の一環として、韓流文化?と美容医療が喧伝され、日本にもブーム押し寄せました。要するに、音楽、映像などのコンテンツと美容医療の進歩がカップリングされて日本に宣伝されてます。日本より進歩的思想?、いや、経済優先主義という文明の武器として、美容医療に対する肯定的態度を持つようになったのでしょう。これ文明的ではありますが、文化的には見えません。何しろ、美容医療も国策としていますから、今や儒教精神なんて関係ない。日本より進んでいるよ。電気製品や、自動車だって日本製より売れてるよ!。なんていう声が聞こえてきます。但しまだまだ歴史的に浅いため、美容医療のレベルとしては高くはないのです。美容医療を国民が称揚している点での意識が高いのです。
日本を追随してきた中国や韓半島美容医療の制度、意識は非文化的で、実利的です。日本では、どうでしょうか?。これからまともな文化的な美容医療を進めていきたいと思い、周囲の医師と一緒に努力していきます。