2014 . 2 . 14

美しい女(ヒト)の楽しみ-ミニリフトから-

私が10年以上治療させてもらってきた患者さんですが、このたび上口唇短縮術とミニリフトを施行しました。

ところで、口唇とは赤い唇だけでなく、医学的には鼻の下の皮膚も口唇とです。赤い唇を赤唇、肌色の唇を白唇と言い分けます。ですから、上口唇短縮術はどこかを切除縫合することになります。昔20年ほど前までは、父は赤唇縁とその上の皮膚を切除する手術をしていました。私が引き継いだ患者さんのうち何人かも受けています。口紅をしていればよく判らないのですが、よく見ると赤唇縁の微妙なカーブが消失しているため何か不自然です。

そこで、最近学会でも報告されているのですが、鼻翼基部から鼻柱基部の外鼻孔底の堤状の高まりの下に傷を持って来れば、折れかえり線なので傷跡が見えにくくなると考えられ、そこで切除するようになりました。但し、形成外科認定医が、形成外科的縫合で丁寧に縫い合わせないと、何しろ動くところですから傷跡の幅が出てきてしまい、見え見えの傷跡になってしまいます。そういう意味では、非形成外科医の多いチェーン店では手術を受けない方がいいと思います。

上口唇短縮術については、今回もう一例提示できるので、その術後経過と並列でお見せしようと思います。そこで、まずは、ミニリフトの術前術後を提示します。

左が術前、右が術後

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何だ腫れているだけじゃない?。なんて言われそうですが、耳から顎先(頤)へのラインをよく見てください。術前は「く」の字にふくらみがありますが、術後は「(」の字になっています。ここです。この程度でいいのです。42歳ですから、ブルドッグ様顔貌ではありません。

平均的には50歳後半になるとブルドッグ様顔貌になる様です。その場合顎のラインが「3」の字になっています。50歳後半以降の人を治すには、広い範囲の剥離と引き上げが必要で、皮膚の余剰も多いので、皮膚切除を3cm前後要するものです。これをExtended Face liftといいます。何しろ重力がかかっていますから、後戻りを防ぐために、いろいろな工夫がなされています。

それはさておき、今回の症例ではミニリフトですから、大きな変化は求めていません。写真上も判りにくいでしょう。いやいや、面白い写真がありますぜ。

今回症例提示をできることになったので、片側ずつ手術しました。そしてまず左側を終えた時点で、撮影しました。左右の違いが見えますよね!。

IMG_0777これでお判りでしょう。こんなに差が付けられるのです。実際パッと見て違いが見えますよね。患者さんにもお見せしました。「アァ~⤴、いいネぇ~。」と言っていただけました。

今回はまだまだ、これで一巻の終わりではありません。術中に切除の量を写真に撮らせてもらいました。但し、一部に血液が付着しているので、目にしたくない読者は飛ばしてください。

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上左図は剥離した皮膚を、耳垂先端の点からペンで引いてある線の方向で上に引き上げてみたところです。物差しを当てていて、2cm引き上げられることが判ります。上右図はその線に沿って切れ目を入れて、鑷子(ピンセット)で耳の前と後ろに皮膚を引き上げています。2cm挙げたところで、この点を縫います。まだ皮膚は切除していません。この後、皮膚を耳の前の切開に沿って、切除していきます。そして、丁寧に縫合します。それでは、創の位置を拡大写真で示します。

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上左図は術前で、ペンでデザインがしてあります。「デザインだとぉ―服じゃねぇし」。と、患者さんにもよく言われますが、前回述べましたように、美容医療は芸術文化ですから、Designをします。下絵、設計図という意味です。Designには構想や計画の意味もあります。切開予定線が、耳輪の前から、耳垂の顔への付け根に沿って引かれ、耳垂を周って、耳の後ろの折れかえりに沿って書いてあります。耳珠(Tragus)のところは、実際には外耳孔の中に隠すようにデザインします。上右図の様に縫合していきます。術直後なので、わずかに血痂(血液の塊)が付いていますが、透明なので糸は見えません。この傷跡は耳に沿っているので、見えなくなります。実際に斜めから見ても目立たない位置です。

こうして、ミニリフトが行われました。両側で正味2時間です(今回は写真を撮ったりでもっとかかり、結構時間オーバーしてしまいましたが↷)。キズは小さく、剥離も少ないので、腫脹も軽いです。見ての通り、内出血もありません。普通の顔です。でも、顎の線が曲線でカーブを描いていて綺麗でしょう。何度も言いますが、年齢的にはこれでも充分な効果と言えます。侵襲も少なく、ダウンタイムも短く、生活にも大きな支障がない様です。費用対効果もお得です。ここでは明かせませんから、クリニックに問い合わせてください。ところでもう一つ、もちは?。ワカリマセン。1年くらいの期間での後戻りは、大なり小なりあります。でもその後は効果が定着します。もちろん加齢現象を止めることはできませんが、若返った分はいつまでも実年齢より若いままで齢、よわいを重ねていくことになります。

フェイスリフトとは読んで字のごとく、顔をもち挙げる。とはいっても顔の中で落ちた部位を挙げるのです。アラフォーで、顎のラインに落ちたところが見え始めたら、そこだけ治し始めるのはいい手ですよね。アラフィフとなって、ブルドッグ様顔貌が見えだしたら、傷の長い広い剥離で、伸びた皮膚をしっかり取る手術をすればいいでしょう。とはいっても1回目を40代にすれば、2回目も切除量は少なくて済みます。私には8回した患者さんもいました。最初が30代で、その後5~10年毎に、父が5回目まで、私が継いで3回施行しました。最後は「死に顔を若く見せたい。」といいながら83歳の時でした。50歳より若く見える様にできて喜ばれました。その1年後には、風の便りで(他の知り合いの患者さんから?)亡くなられたと聞きました。笑顔だったそうです。とても老人には見えなかったそうです。

話しが違う方に行ってしましました。本題はミニリフトの中長期経過:1週間後から、1年を追います。抜糸の際の経過が楽しみです。

上口唇短縮術は、近々提示します。

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