2014 . 3 . 16

目力は男らしさを醸し出しますよね!

本日は若年男性の症例を、提示します。

22歳で、細面で、細身。今どきの若者の典型です。ただし、いかんせんメヂカラがない。何度も何度も申し述べてきましたが、一重まぶたは、皮膚性眼瞼下垂です。そして多くの一重まぶたの人は蒙古襞が被さり、また多くの一重まぶたの人は、狭義の眼瞼下垂つまり、眼瞼挙筋筋力の低下も伴っています。

これまで何度も述べてきましたが、半年前のブログなんか誰も見ないようで、患者さんからは何度も同じ質問をされる、という事は何度でも説明する必要がある、ということなので、もう一度、説明いたします。一重まぶたの人は、そういう構造に出来てしまった。遺伝的要素がほとんど影響しています。人はどちらかの親に似ていますが、その要素のうち、瞼の感じはかなり近いでしょ?。日本人を含む、東アジア人には、この遺伝子が蔓延しています。日本人の半分以上の人々はこの遺伝子を持っていると考えられます。逆に半分近くは二重瞼なんですけれど。中学性の理科の授業で学んだ「メンデルの遺伝の法則。」っていうのがありますね。これに従っていると考えられています。二重瞼が優性と云われています。ヒト種のDNAの基本的配列は判明しています(それがゲノムです。)が、遺伝子=DNAの集合の変異はあり、東アジアには一重瞼構造を作る遺伝子が生まれたので、これを代々継いでいる個体が存在するのです。もう一度確認します。東アジア人だけに、一重瞼が存在します。白人と、黒人は原則的に全員が二重瞼です。原則というのは混血があるからです。ただし、そのDNAがどこの位置にあるのかはまだ解っていません。残念ですが、日本人や東アジア人(中国、朝鮮、日本が主)の持つ異常遺伝子を解明しても、生命には関わらないので誰も研究しようとしないのです。ならばお前がすればいいじゃないか!、といわれそうですが、私は日々の患者さんの診療にかまけてしないのです。時間と金が掛かる事ですから。

さて、この遺伝子に伴って、蒙古襞の被さりが生じます。蒙古襞とは、目頭=目の窓の鼻よりノブ分に皮膚が被さっている形で、斜めに突っ張っていたり、は丸く被さっていたり、水掻きの様な形になっていたりする構造です。東アジア人では、モンゴル系=蒙古人種の遺伝子を継いでいる人がほとんどなので、大なり小なりあります。そして東アジア人以外にこれがあったなら、奇形とされます。哺乳類の目頭には涙湖という赤肉がありますよね。鳥類の名残だそうです。東アジア人以外のヒト種では、涙湖は露出しています。東アジア人では、全部が露出している人はいません。程度の差はあれど蒙古襞で隠れています。私は涙湖の赤肉が半分くらい見えます。全部隠れている人も多いです。日本人で2/3以上見えている人を見た事はありません。従来この被さりが形態的観点から、つまり美容的観点から治療の対象とされていました。近年、蒙古襞の突っ張りに観点を置く形成外科医がいます。あれはもう10年近く前に、私とDr.池田が学会でディスカッションした後に広がって行った考え方です。蒙古襞は被さっているがために突っ張っています。そのために瞼を開く際に邪魔します。つまり眼瞼下垂の原因の一つになっているのです。実際目頭切開を施行しただけで眼瞼下垂症状(肩こり、頭痛など解りやすい症状)が解消した患者さんが40%程度いらっしゃいます。もちろん、眼瞼下垂手術をしたら、もっと良くなった患者さんが残りの60%ですが。いずれにしても、蒙古襞が、一重瞼に伴い、眼瞼下垂的機能障害の一因になっているのは明白です。

さて、狭義の眼瞼下垂とは何ぞや?、狭義というのは、学術的定義の結果として、初期に報告、発表した際の言葉の定義付けの際に出来た概念で、広義とはその後、範疇を広げて議論しだした結果に出来た、言葉の定義の広がりの結果に使われる範疇です。難しくて、訳が分からない説明かもシッレませんが、狭義の眼瞼下垂とは上眼瞼挙筋の機能低下をいいます。広義では、眼裂が小さい状態を全て含みます。だから、一重瞼は広義の眼瞼下垂症ですが、一重瞼に狭義の眼瞼下垂=挙筋の機能低下を伴う率は高いという事をいいたいのです。なぜ一重瞼の人に、眼瞼下垂が伴うのでしょう?。これからは学術的に検証されていません。あくまでも26年の私の経験や、池田先生との議論の結果でもあります。一重瞼の人は皮膚性眼瞼下垂であります。これは間違いないし、幼少時からそうです。眼瞼は昼間活動している間は開いていなければならないので、自律神経系の一方の働きである交感神経が作用します。起きて働き闘う際には、交感神経が働いています。自律神経ですから、無意識に働きます。起きろ、活動しろ、目を開いていろ、という信号が脳から流れ続けます。ところが、皮膚が被さって視界が得られない一重瞼の人では、生活に支障をきたすことがあるので、脳はさらなる無理強いの信号を出します。おでこの前頭筋に力を入れて眉を引き上げることで、瞼の皮膚を持ち上げようとするのです。多くの人は額にしわを寄せます。この行動は無意識に行われますが、しわで判ります。皮膚性眼瞼下垂の状態である一重瞼の人は、目を開ける際に上眼瞼挙筋を使っても意味がないので、挙筋に力を入れなくなるのでしょう。さぼる様になるという事です。筋は幼少時から使わないと発達しません。運動不足の現代の子供の筋力の平均が落ちてきている統計は良く提示されますよね。皮膚性眼瞼下垂である、一重瞼の人の眼瞼挙筋も、こうして筋力発達不足を起こすのではないかと考えられます。二重瞼の人でも狭義の眼瞼下垂を起こします。ただし先天性は稀で、多くが後天性、つまり外力(擦る事や、コンタクトレンズ)によって生じた事が明白な患者さんがほとんどです。逆に二重瞼の人で先天性眼瞼下垂を疑うときは、フェニレフリンテストをすれば、鑑別できます。

長々と述べ続けてしまいました。

今日の症例は、一重まぶたで、蒙古襞は水掻き状、眼瞼下垂は軽度です。でも暗い!。

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術前を見れば良く判りますよね。今日の手術は、NILT法=切らない眼瞼下垂手術+二重形成との予定でしたが、男性で、自然な結果を求められたので、迷いました。過日の診察時に奥二重を希望されました。二重にしたら、しては、蒙古襞が強すぎて突っ張りが邪魔するだけでなく、ラインが不自然でしょ。奥二重ならなんとか不自然感が見えないかな?。程度の問題か?。眼瞼下垂は軽度だが、これじゃあ暗い感じ(夜ならいい。)=目が開いていない=眠そう=弱い気持ちに見える。患者さんにシミュレーションしてみると、いける!。挙筋強化は必須だと、私も患者さんも認識しました。

しかもおでこにしわ!。若いのに可哀想。

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本日もう一度、シミュレーションしてみると、確かに奥二重でも挙筋強化すればキマル!。目頭切開は二つの意味で薦められます。眼瞼下垂の治療に寄与する。二重のラインを自然にする。ただしコストがネックだ。もう一度シミュレーション1;NILT%目頭切開。2;NILTを奥二重で目頭切開の要否。奥二重とは、ぎりぎり瞼縁が露出する幅をいいます。これなら、目頭切開をしなくても不自然ではないと私と患者さんとNs.で認識できました。

今回はNILT 法でどんな結果が得られるかを見て下さい。表題がやっと生きます。「メヂカラは男の武器だ!。」思わず術中に叫んでしまいました。助手をしていたNs.は変な医者だという顔をしていますが、患者さん受けてくれました?。

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いけてるでしょう。ちょっと可愛い感じは、内眼隔間36㍉の為ですが、術前とは雰囲気が格段に違います。首長も目立たない程度で、形も自然。患者さんは「これなら、生活に全然困らないですね。」といいます。「上手でしょう。」と私。控えめの奥二重ですが、眼力の差は歴然で、ヨッいい男!ってな感じ。目頭は若し良ければしたら、今回はこれでいでしょッ!。

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