いい加減一つのテーマで回数を重ねていると、呆れられそうですが、それだけいろいろなこと書きたかったのです。だってもし6回分を繋げて1回分にしたら、読むのに丸一日掛かってしまう量ですよね。そんなの無理です、読めないよ、と片付けられてしまうだけですよね。
ところが、ネット検索していたら、各科の専門医数の表が見つかったので載せてみます。平成25年8月時点だそうです。
学会名 専門医名称 専門医数
I. 基本領域専門医(学会)※ 日本内科学会 総合内科専門医 15,125 名 ※ 日本小児科学会 小児科専門医 14,940 名 ※ 日本皮膚科学会 皮膚科専門医 6,129 名 ※ 日本精神神経学会 精神科専門医 10,104 名 ※ 日本外科学会 外科専門医 21,275 名 ※ 日本整形外科学会 整形外科専門医 17,280 名 ※ 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 12,569 名 ※ 日本眼科学会 眼科専門医 10,860 名 ※ 日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医 8,542 名 ※ 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 6,471 名 ※ 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医 7,207 名 ※ 日本医学放射線学会 放射線科専門医 6,334 名 ※ 日本麻酔科学会 麻酔科専門医 6,733 名 ※ 日本病理学会 病理専門医 2,232 名 日本臨床検査医学会 臨床検査専門医 666 名 ※ 日本救急医学会 救急科専門医 3,626 名 ※ 日本形成外科学会 形成外科専門医 2,191 名 ※ 日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション科専門医 1,930 名 II.Subspecialty領域専門医(学会) ※ 日本消化器病学会 消化器病専門医 18,876 名 ※ 日本循環器学会 循環器専門医 12,830 名 ※ 日本呼吸器学会 呼吸器専門医 5,149 名 ※ 日本血液学会 血液専門医 3,154 名 ※ 日本内分泌学会 内分泌代謝科(内科・小児科・産婦人科)専門医 2,101 名 ※ 日本糖尿病学会 糖尿病専門医 4,760 名 ※ 日本腎臓学会 腎臓専門医 3,873 名 ※ 日本肝臓学会 肝臓専門医 5,368 名 ※ 日本アレルギー学会 アレルギー専門医 3,235 名 ※ 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 5,747 名 ※ 日本胸部外科学会 心臓血管外科専門医 1,880 名 ※ 日本小児外科学会 小児外科専門医 593 名 日本頭頸部外科学会 頭頸部がん専門医 255 名 日本手外科学会 手外科専門医 758 名 III.今後認定を検討する専門医(学会) ※ 日本ペインクリニック学会 ペインクリニック専門医 1,529 名 ※ 日本心療内科学会 心療内科専門医 127 名 日本頭痛学会 頭痛専門医 778 名 ※ 日本乳癌学会 乳腺専門医 1,116 名 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医 385 名 日本美容外科学会(JSAPS) 美容外科専門医 75 名
※印は,専門医広告が可能な学会
上 記が各科目の専門医の人数で、厚労省の主管する専門医機構が、今後クオリティーをオーソライズするための調査段階での統計です。 一部の科目は割愛しましたが、下線が私達が携わる美容医療に関わる科目です。
もう一つ全国の診療所が標榜している科目が表になっていました。平成23年の統計です。ご存知のように、各診療所は複数の科目を標榜している(届け出ている。)ことが多いので、重複しています。
全国一般診療所;98156 内科;61207 皮膚科;11518 外科;13644 心臓血管外科;287 乳腺外科;500 脳神経外科;1620 整形外科;12252 形成外科;1808 美容外科;1068 眼科;8239 耳鼻咽喉科;5738 産婦人科;3284 産科;335 婦人科1892 歯科診療所;67276
こちらも一部の科目は割愛しました。下線が特に私達が関与する分野でもあります。診療所とは20床以下の医療機関ですが、通常は無床です。
二つの表から何が判るか?。まずいえることは、どの科目でも標榜する診療所数に比して、専門医数は不足しているということです。一般診療所においては、各科目の水準に達するためのトレーニングを受けていない医師が多いかのかも知れません。ただし、科によって比率に差があります。内科では約4人に一人、外科では半数以上が専門医です。皮膚科も多いですね。美容皮膚科医も含まれるのでしょう。さらに、眼科や産婦人科では、専門医数が診療所数を上回っています。病院勤務医師が多いからです。お産後は入院しますよね。ちなみに眼科を診療している病院は全国で2000以上、産婦人科1000以上あります。
さて、形成外科ではいかがでしょう。専門医数と標榜診療所数がほぼ同数です。形成外科では病院勤務医師が圧倒的に多く、(その理由は次回説明します。)科目を標榜する病院は1100以上あります。逆に形成外科を単科で標榜する診療所は多くはありません。形成外科の専門医でも、開業するなら、形成外科と美容外科を標榜するケースがほとんどですから。
美容外科はどうかと言うと、びっくり!。標榜している診療所が1068院もあるのに、専門医は75名しかいません。これまで言ってきた通りです。ヤバい状態です。日本の医療法はなんて手抜きなんだかと思いませんか?。美容外科の教育を受けないで開業している医師がほとんどなのです。クリニックで臨床経験でとして症例を重ねるだけでは、医学的知識は得られないのはいうまでもありません。
またまた、元の話に戻ってしまいますが、美容外科という斯界は特殊なんです。原則的に自費診療だからです。`美容を主たる目的とする場合には算定できない`と保険診療の規則書にあります。したがって、美容外科の治療費の値段は自由。どこもが、同じことを保険でする際の費用より高く、値段設定しています。だから他科からの参入医師も多く、医師になってすぐ就職する医師もいるのです。上記の75名は形成外科専門医を経てから、美容外科診療を並行してきて、症例を重ねて認定されたものです。数の上では判りませんが、残りの1000名足らずのうち大部分は、形成外科の専門医でもなく、美容外科クリニック(チェーン店)での経験しかないか、他科からの転入です。
通常医師は、病院で上級の先生について診療法を学び、年毎にシステマティックなカリキュラムに沿って治療法を学び、医学的知識を深め、解剖や生理等の基礎医学的理論を知った上で診療に生かしていくトレーニングを受けなければ、専門分野の医療水準に達しないのです。何度も言いますが、大学で学んで国家試験に合格して医師になっても、患者さんを診るだけの能力は身に付いていないのです。ましてや、形成外科や美容外科といった美容医療の知識は学校ではほとんど教えません。だから、卒後にまず、形成外科の研修を最低6年し、専門医に合格してから、美容外科の症例経験を積み重ねて、やっと一人前の美容医療をできるのではないかと考えます。
そこで、何故美容外科医は形成外科の研修をするべきかを、論じようと思っていました。当然ながら、美容外科しか診療した事が無い医師達は、「形成外科と美容外科は別の医療だろ!」と騒ぎます。父もそうではありました。しかしやはり、美容外科医は形成外科医療を並列して学んで行かなければ危険だと思います。経験的にその理由を説明して行きたいと思います。むしろ、形成外科と美容外科という美容医療の両輪を研鑽して来た医師は実は多くありません。敢えていうと私は、両輪を同時に診療しながら研鑽できる特殊な立場にあった訳ですが、その結果美容医療の広範な、深い知識を備える事が出来たと思います。
だから、美容医療の各科の内容を説明しようと思ってこのシリーズを書き始めたののですが、またまた、長くなったため、サーバーが受け入れなくなりました。仕方ないので、「いい加減にしろ!」と言われそうですが、次回での説明とさせて下さい。