3ヶ月前に眼瞼下垂手術=切開法=一重瞼または奥二重という先天性皮膚性眼瞼下垂症に対する切開法手術を行った患者さんが経過診察に来院されました。
上左図が術前です。二重まぶたが狭い。前頭筋に力が入っていて眉が挙がっています。上右図が術後1週間です。さすがに腫れています。止めた点にカクカクが見えます。切痕といいます。
上左図が1ヶ月ですが、なんかまだすっきりしない。挙がっているのだけど開瞼が物足りなく、クリクリしていない。上右図が3ヶ月で今回いただいた画像です。なんとか、いい感じにみえます。
これまでにも、本症例については私としても満点を出せませんでした。内側方面の開瞼が外側に比べ足りないのが,見えるのです。
一重瞼にしても,奥二重にしても,二重まぶたでも,蒙古襞の存在は日本人には欠かせません。日本人はモンゴル系と称される新モンゴロイドと,南方系と称される古モンゴロイドの混血だからです。この点は人類学上、遺伝学上定説です。逆に言えば,蒙古ひだがあるのが遺伝的に日本人の証拠です。そして混血ですから、蒙古襞の程度に個体差があります。
本症例では、術前の画像を見れば判る様に中等度の蒙古襞の突っ張りです。突っ張りとは拘縮です。蒙古襞は目頭の最内側点にあるMPT,Medial Palpebral Tendon からまぶたの外上方向に向けて、周囲より硬い皮膚と眼輪筋の束が突っ張っている構造です。まぶたは閉じている際と開いていく際では瞼縁の長さにかなりの差があります。蒙古襞は伸びないのでピーンと突っ張ってしまうのです。弓の弦:bow stringとも称されます。
今回、術後診察をしました。このように細かい説明は出来ませんでしたが、(その為にブログがある様なものです。)何回もコミュニケーションしてきましたから、患者さんと私の間に考え方の共有はされています。
今回は、時間と経済面から、同時手術を致しませんでしたが、Z−形成法による目頭切開=内眼角部の蒙古襞による拘縮解除術が我々の定式になって、好成績が常に出せる様になって以来、同時手術を受ける患者さんも多く見られます。ブログ内にも何例か掲載しています。本症例は、今後共経過観察を受けられるとのことですから、患者さんは頃合いを見て、内眼角形成術を受けられる希望を表明されました。
その際はもちろん、症例提示の許可をいただけるとのことですから、お楽しみに!
でも患者さんは95%満足な経過と感じていらっしゃいます。嬉しい限りではあります。