2015 . 12 . 10

片側の黒目整形で合わせたい。経過を追いましょうⅤ→完成でしょ?。→そうは問屋が卸さない!。

先週も提示した症例です。1週間後の撮影の為に来院されたので、診察もしました。

もう一度、当初からの画像を並べてみます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA1回目の術前です。左の後天性腱膜性眼瞼下垂が見られます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA1回目の術直後です。なんとか開きました。問題点は、重瞼のカーブと、瞼縁のカーブです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA2週間後に2回目手術。中央に挙筋強化を追加しました。瞼縁のカーブは綺麗に出来ました。むしろ開瞼はオーバーです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAさらに2週間診て、開瞼は丁度いいのですが、重瞼がやや広いかも知れません。それに内側の点が強過ぎます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA3回目に手術して、内側の重瞼を弱めました。術直後ですから、腫脹により、開瞼が弱化した様に診られます。重瞼のカーブは綺麗です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA1週間後の撮影時、開瞼が低下して見えますが、容認して頂き、外側のラインが弱いのが気になるとのこと。

「ウーン!」とうなる私。先週完成か?と掲示した手前、「気になりますか?」と聴いてしまいました。「追加可能ですか?」と患者さん。「糸が多くても大丈夫ですか?」と追加質問。待ってましたと「私は今まで最高8本抜いたことが有ります。」と答え、予定を立てることになりました。

先週完成をもくろんでいたのですが、そうは問屋が卸さない。片側の手術は全く左右同じ結果を得るのが不可能に近いのです。多くの方が、途中で断念されます。

でも、本症例患者様は飽くなき追求を止めません。私としては、前にも書きました通り患者様の内面的美を認め、外面的にはバランスの取れた顔貌で、とても38歳には見えない美貌なので、毎週の診療が楽しみです。拝見しているだけで楽しい患者さんです。

診療は患者さんと私の、人と人との関係で成り立ちます。何故なら、元来の容貌は一人ひとり違い、求める結果や経過もそれぞれ違います。だからどの点を、何を求めているかを、それぞれの患者さんから引き出さなくては、治療のプランが立ちませんし、結果に満足できません。その為には内面の人格まで含めて患者を知らなくてはなりません。

病気を治すだけの医者はちっぽけな、小医とされます。人の人格を診るのが医師の師としての務めで、中医といいます。個人の集積として、市民国民に医学衛生健康の啓蒙をして行くのが、大医とされます。

ところで、私は美に理想の基準は有ると思います。みんなが美しいと思う総和を取れば、それが基準です。時代によって、人種によって、地域によって基準に差があります。でも逆に、全人類の基準もある筈です。いずれにしても、私は長年の美容医療の中で。父から継いだ54年分、自ら積み上げた28年の美容医療の経験により、理想の美を誰よりも理解しています。ですから、診療の際に、求められれば提示しますし、求められなくても、頭に入れながら見ています。しかし、患者個人の好みや、周囲からの印象は、それぞれに差があっていいと思います。ですから逆に、私の美容医療の知識と、患者さんの希望を摺り合わせる必要があるのです。その際には人間と人間の対峙となるわけです。

だから、この様にして、ブログでも多くの知識を載せています。皆さんが診療を受けるにあたっての予備知識を持って頂くと、診療を進めやすいから、より良い結果が得られます。

こうして症例患者さんの経過をお見せして来ていますから、読者の皆さんも、次回の微妙な変化を予想してみて下さい。