2015 . 11 . 12

片側の黒目整形で合わせたい。経過を追いましょうⅡ。

先々週の症例は、またまた片側の眼瞼下垂症例です。眼瞼下垂症に対する治療を受けていないために、左右差が目立って来たということです。開瞼に左右差があれば、見た目の重瞼の形も左右差を呈することになる解り易い症例です。

実際には、片側の手術は合わせるのが難しいのです。術中が出来上がりではないのは当然です。時間経過と共に変化していきます。そこで術直後、術後1週間、術後2週間で比較して下さい。

症例は38歳女性。挙筋機能(挙筋収縮距離+最大瞼縁活動距離)は両側12㎜と左右差が無いのに、同じ力で開く=挙筋を収縮すると、力が伝わらない為に瞼縁の挙がり具合に左右差を呈する状態です。腱膜性眼瞼下垂です。後天性で、原因は物理的損傷と考えられます。いくつか考えられますが、近年ではハードコンタクトレンズ長期装用によるものが多発しています。

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上左図が術前、上右図が術直後です。

 

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上左図が術後1週間、上右図が術後2週間です。

術直後の時点では、内側が強すぎる様に見えます。逆に開瞼はほぼ揃っています。

1週間目には腫れが取れて、ラインが随分揃って来ています。でも、遠目に見ると何となく開瞼に差が見えます。そして、2点の間が直線的です。2点がまだ強いからでもありますが、真ん中に追加したくなりました。つまり3点にしておけば良かったとも言えます。

最近の症例のうち、約1/4は直ちに3点法に変更しています。そう言えば、私は昔から3点法をメインでしていました。料金の問題から、2点縫を選択する症例が多くなっていましたが、もう一度考え直してみます。

そして2週間目には、ラインはなだらかになったのですが、開瞼が落ちてきました。埋没法は、締め具合と、糸を通す位置のバランスが命です。術中の強さは、日時単位で必ず緩んできますし、麻酔の影響もあります。特に片側の場合、ピッタリ合わせるのが難しく、経過中に変遷していき最終的に揃ってくれば良し、そしてそういう経過なら、長持ちする筈です。ところが二重のラインが揃って来たのに、開瞼の左右差が生じてきました。開瞼が落ちると二重が狭くなるのは自明です。鏡を見てシミュレーションすれば解ります。

実は、2週間目には追加修正手術を予定しようと打ち合わせていました。1点追加だけなら、ダウンタイムはやり過ごせます。形態が優先事項ですが、機能も改善しようかどうか迷っていました。この経過を診てやはり、NILT法で開瞼を強化して、かつ中央付近の重瞼線のカーブをキレイに作りたくなるのは、私と患者さんで一致する見解となりました。二人の間には信頼関係があります。

注;機能=筋力や筋力伝達、神経の回路等の動きのコントロール。形態=見た目の形。美容的とも表現される

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そこで、左眼瞼中央部にNILT法を施行しました。上右の術直後の画像をご覧ください。今回提示した画像の中で一番きれいでしょ?。とても年齢38歳には見えないです。さすがに瞼縁の中央部がかくんと挙がっているのは術直後だからで、症例患者さんも経験からして納得されています。これには信頼関係だけでなく、経験から来る安心感もあるのです。術後早期に数週間のうちに効果はある程度戻るのです。読者の皆さんも提示して来た経過画像でご理解されると思います。

綺麗な経過画像を提示できて良かったと思いますが、経過は変遷します。ちなみに、本症例は顔貌全体が理想的バランスで、目の左右さが最大の欠点でした。うまく定着するといいのですが・・。ついでにいえば症例の顔貌をお見せしたいし、今後の治療も楽しみです。

次回経過をお楽しみに。