2024 . 3 . 25

若くして上白唇が長いのですが、上口唇短縮術は周囲の構造と関連します。

上口唇短縮術は、流行っています。欧米では、実際はもう25年以上前から発表されています。ですが鼻の下を切除する上口唇短縮術は、本邦では論文を渉猟する限り10年前からです。実は日本語には、”鼻の下が長い。”という揶揄があります。内面的人格に繋がる外面的形態と捉えられます。毎回私が書いて来た美容医療の基本的概念に合致します。ですから私は積極的に施行しています。

ですが、鼻翼間を切開して白唇を短縮する手術は、美容形成外科手術の中でも数少ない、顔の前面を切開縫合する手術です。顔の前を切る主なものとしては、黒子切開ですが、これは必要なら致し方ないと言えます。リフト手術は顔の横の耳前や髪の前の切開ですが、丁寧に縫合すれば傷跡は見えなくなります。眼瞼の切開は二重の線なので目を開いていれば見えません。また鼻の手術は鼻孔の中を切れば傷跡は見えません。どちらにしても傷跡の幅が拡げると目立つし、後々まで拡がらなければ傷跡は目立ちません。

眉下と鼻下の切開縫合線は見える部位ですが、とにかく丁寧に縫合するしかないのは当然ですが、真皮縫合の質と量が断然差がつきます。真皮縫合とは、皮膚の裏側を縫い寄せる技ですが、概ね3㎜間隔で細かく、しかも表皮の直下まで掛けていって、隙間がなくできれば後々傷跡が拡がることはありません。二つのポイントがあります。

例えば上口唇短縮術では、切開線の総延長が、個体差はありますが約4㎝です。3㎜間隔なら13針以上を要します。私は最低16針としています。これだけで約1時間は掛かります。切って剥離して、3層縫合すると結果的に全部で2時間は要します。要するにこれだけの時間を掛けて手術できるかは経費対時間費用の対価次第です。聴くところに依ると、広告に費用を要するS等の美容外科チェーンでは、上口唇短縮術を1時間と決められて、真皮縫合を4針しかしてはいけないとされている様です。結果的に全例で傷跡が拡がってしまい目立ち、クレーム続出となり、禁止されたそうです。やってみたらダメだったなんて、医療に対する姿勢の問題です。

ただし真皮縫合には技術は要します。しかも形成外科医療の独特の技術です。他科では身に着けられません。上に書いた様に表皮直下の真皮にかける為には、糸とそれを通すための針が0.1㎜細くなければならず、道具(持針器)も特別な小さいものですから、取り扱いが繊細で、慣れなければ出来ようがないのです。ですから、長年の技術研修を要します。それは形成外科の病院でしか学べません。私共形成外科医は”桃栗3年柿8年柚子は13年”を捩って、”糸切り3年真皮8年皮弁形成13年”と唱えます。私は北里大学形成外科に15年在籍し、美容外科診療には37年間従事して来ました。ちなみに現在S.やT.等のチェーン店系美容外科では未だに新人医師を雇います。医学的技術教育は為されません。話題はビジネスに特化しています。当然に真皮縫合などは、まともに出来るわけがありません。最近では、S.等にも形成外科を経歴に載せている医師が載っていますが、よく視ると在籍は6年以下です。上の条件に合致していません。

他にも問題点はあります。両側鼻翼間を同じ幅で切除しないと富士山型になること。鼻底堤隆起を温存しないと鼻の孔の中が見えてしまうこと。この二点はこれまで何回も書いて来ました。傷跡が短く、大部分が隠れると言っても形が変です。逆に言えば傷を綺麗に縫合できないから、誤魔化で売っています。何人もが私に罹って「治してください。」と頼まれました。可能なら治します。

いくつかの面で上口唇短縮術は問題を生じます。対して真面目な私は丁寧な手術をして来ました。ですから、私は日本一症例を重ねて来ました。数年来SNSで呼んでいるクリニックが増えています。画像では傷が見えにくい画角で撮っています。彼らに捕まる輩が増えていて、若干私は減りました。リフト手術が増えたからでもあります。でも本症例の患者さんは私を見つけてくれました。良かったですね!。丁寧な診察と丁寧な手術で満足いただけると思います。

症例は26歳女性。来院後早速、上口唇短縮術を希望されました。ただし、私診て、細かく診察してみたいと思いました。何となく口周りの構造がピンッと来なかったのです。口吻突出が診られます。計測すると、鼻柱基部から赤唇縁のキューピットの弓の中央の白唇の縦長は20㎜と、この年齢にしては確かに長いです。統計上10年で1㎜ずつ伸びるので、15㎜以下を理想とするなら、50歳代に見えてしまいます。上顔面(額生え際〜眉下)60㎜:中顔面(眉下〜鼻下)60㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)68㎜と下顔面が長い中で、上口唇(白+赤)26㎜:下口唇(赤〜頤尖)42㎜で黄金比率(5:8)で計算すると上下の比率はバランスが取れているが長い物は長い。問題はE-ライン,Aesthetic line (鼻尖ー口吻〜頤前縁を結ぶ線)が口吻が5㎜前にあることで、上口唇を短縮すれば確かに口が出ているのが目立たなくはなります。

5㎜切除で15㎜の理想にしたいが、シミュレーションすると、口吻突な為に、口を閉じる際に下口唇を挙げなければならなくなりました。頤に梅干しが出来てしまいます。ボトックスを併用すれば出来るのですが、定期的に必要なことになります。ヒアルロン酸やプロテーシスも検討していきましょうとなりました。骨切りも適応ではあります。口角は下がっていないのですが、鼻翼間の短縮で相対的に下がってしまったら、後日口角挙上術を施行しましょうとなりました。上のような観点から、最低限の4㎜切除とプランを立てました。

手術当日に直前診察と説明をします。口吻前突で下顔面が長いのですが、どう診ても上白唇が長いのは冗長感を見せますから、4㎜短縮なら可能です。何回もシミュレーションして、決めましたよね。当日まで検討して、静脈麻酔を希望されました。

画像は術前から。

一目見て、上白唇が長く、両顎歯槽部は前突しているのに赤唇が内反気味です。

頤は長いのに、前突が少なく、対して口吻が前にあります。やはりこれに対して、上白唇短縮術は有用でしょう。

デザインは両側鼻翼間を4㎜切除し、鼻翼の横に回ってドッグイヤーの無いように辻褄を合わせていきます。今回は静脈麻酔にナースが一人専念しているため余剰人員が足りないため、手術中の画像は撮りませんでした。

下の術直後の画像では腫れていますが、口元の”すっきり感”は判るでしょう。

術後数日から数週間は、口輪筋を操作しているために口が閉じにくいのですが、治ります。でも4㎜切除ではバランスは崩れないで、口吻突も気にならなくなりました。

なんとも効果的な手術ができました。バランスも取れました。斜位像でよく判ります。

術後1週間で鼻翼間を抜糸しました。エエ〜⁉︎もう口は閉じられます。しかも頤の梅干しは目立ちません。赤唇が外反して可愛い口元です。

4方向でも可愛くなりました。内出血は黄色く見えていますが紫になりませんでした。

下には術後1ヶ月の画像群です。

まず一言頂きました。「人中が深くなって、立体感が出来ましたね!。」とよくわかっている患者さんです。今回は寄せていないのですが、外反すると、人中窩が深くなるのです。私「目の付け所が良いですね!、可愛い子は自分の良さを知っていますね!。」と返しました。

サイズは測りましたが、完成は術後3ヶ月とします。

4方向でも可愛い口元です。患者さんは「友人に告げたら、いいね〜、って言われました。」私「そりゃそうです。〇〇さんが、希望した通りでしょう?。この手術は誰が受けても良くなります。友人もやりたくなるんじゃないの?。」と営業トークを出してしまいました。可愛い女子を次回の術後3ヶ月まで見られないのが残念です。

当院では、厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページに加筆を行っています。

施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。

費用の提示です。上口唇短縮術は28万円+消費税。静脈麻酔は5万円+消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。