当院の売り!、黒目整形が大流行となっています。本来、切らない眼瞼下垂手術を皆様に浸透させるために命名したのです。切らない眼瞼下垂手術NILT法は、適応を間違わなければこんなにいいものはありません。しかし、適応が限られる。戻りもあり得る。もう一つ黒目そのものを大きくするのではないのに、考え違いしている患者さんがいらっしゃるので説明が大変なのです。
こうなれば、定着する切開法も黒目整形の一種だと主張し、さらに眼頭切開=蒙古襞の拘縮解除術=Z-形成法も黒目整形の一種だとしてしまおうと考え、今回提示症例とさせていただきました。
症例は、24歳、女性。先天的には一重まぶただった。昨年他院で埋没法を受けて奥二重っぽくはなっている。でも御覧のように皮膚が余剰で眼窩脂肪の膨隆も残る。LF:挙筋滑動距離12mmと正常下限。眼裂横径は25.5mm、内眼角間距離37mmと眼は小さくないが、離れている。
切開法で定着させたいのと、切らないと皮膚脂肪が取れない。余計にボテッとする。ラインを挙げて皮膚も3mm切除をしようということのなりました。もちろん眼頭切開=蒙古襞の解除の適応ですから、いつものやつ=4mmのZ-形成を併施することとなりました。
まずは画像を。左が術前、右が術直後です。
術後1週間で抜糸しました。術後2週間ではしっかりメイクして、カラコンもしたままで普段のルックスで撮影させてくれました。
本症例は経過が早いですね。もちろんまだ腫れていますが、線の下がすごくない。それは開きがいいからですね。線上は腫れているため、脂肪除去の効果が見えていませんが、その分くっきり重瞼が入っています。1週間の時点で直後よりもすっきりしています。2週間では普通の二重瞼の形態です。
これまでも記してきましたが、腫脹等のダウンタイムは48時間がピークです。術直後より48時間後の方がひどいものです。ダウンタイムの程度は手術の程度(侵襲)と、48時間までの注意が左右します。本症例のように組み合わせの手術をすると当然侵襲は大きいのですが、術後のケアーが上手だったのでしょう。患者さんに聴いたら、冷却と挙上を心掛けたそうですが、私は思い出しました。本症例の患者さんは、落ち着いていました。そうです。そこです。こんなに違うのです。みなさんが本当?って思われるでしょうが、そうなのです。どういうことかというと、脳と神経の安定です。特に自律神経の反応が影響します。気落ちが不安や、興奮している時には自律神経系の一方である交感神経から信号が発せられます。ドキドキしているってことです。そうすると、血圧が若干上がり毛細血管からの浸出が増加して腫れを増強させるのです。ですから、術後も安静にというか、気持ちを落ち着けていれば軽く済みます。いわゆる自律神経のコントロールがされている状態です。
本症例の患者さんは術中から怖がらず、痛がらず、安心して手術を受けられていました。だからですね。術後も何気なくやり過ごしたのでしょう。そうです。怖がる患者さんほど腫れます。そんな時は「私は怖い人ではありません。その筋の人ではないし!」と冗談を言うと、気持ちがほぐれる人もいます。それでも怖がる患者さんには「痛いですよ。」といいつつ、とにかく局所麻酔をします。実は世界一細い針を使っていますから、大して痛くないんです。患者さんは心の中で「なーんだ!」って思っているようです。最低2分待ち、よく効いたら始めます。「始めましたよ。」と言っても、もちろん痛くないので患者さんは拍子抜けします。痛くないんだったらなんで怖がったんだろうと恥ずかしがる人もいます。と同時に安心して寝てしまう患者さんさえもいらっしゃいます。問題は術後です。とにかく48時間は注意してください。安静と冷却と挙上に尽きます。巧くケアーして頂くと、切開法でも1週間で今回の症例くらいの治り具合となります。2週間ではもう術後感が見られません。
今回はダウンタイムの程度差について、結構軽い方だった症例を提示し、そのメカニズムを説明しました。手術内容についての説明が不足だったかも知れません。形態と機能の改善結果がよりはっきりでる2週間目には綺麗としか言い様がありません。
最近時折り、「整形っぽい顔。」と言う言葉を吐く患者さんがいます。そうでなく、この結果が自然にあり得る、またはむしろ標準的な形態と機能を作り上げているという事を強調したいと思います。一重瞼と眼瞼下垂症は異常状態ですから、不自然なのです。