2016 . 8 . 3

眼頭切開=蒙古襞による拘縮解除術=Z-形成法は黒目整形の一部で、切開法による眼瞼下垂手術も黒目整形の一種です。こんなに雰囲気変わっていいの?

当院の売り!、黒目整形が大流行となっています。本来、切らない眼瞼下垂手術を皆様に浸透させるために命名したのです。切らない眼瞼下垂手術NILT法は、黒目整形に有用です。しかし、適応が限られる。戻りもあり得る。もう一つ黒目そのものを大きくするのではないのに、考え違いしている患者さんがいらっしゃるので説明が大変なのです。

こうなれば、定着する切開法も黒目整形の一種だと主張し、さらに眼頭切開=蒙古襞の拘縮解除術=Z-形成法も黒目整形の一種だとしてしまおうと考え、今回提示症例とさせていただきました。

今回は、こんなに可愛い症例結果をお示し出来て、私達としましても嬉しい限りです。因みに本症例はパーツの提示条件ですから、お見せ出来ないのですが、顔面の画像はあります。実は素敵な写真です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAいきなり術後一ヶ月の画像です。

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カラコンが似合っています。露出ども充分です。それが証拠に、MRDは4.5㎜と上等度です。カラコンは直径14㎜ですから、中心から上に半径7㎜でそのうち半分以上が露出している事になります。本来は角膜の直径は11〜12㎜ですからMRD4.5㎜だと黒目が大部分出てしまいます。とにかくカラコンも黒目ですから、これぞ黒目整形です。

これまで何度も言って来ましたが、黒目(角膜)の直径は個体差がほとんどないのに対して、黒目の露出するサイズは、眼瞼の開きによってかなり差があります。因みに下を向いたら上の黒目が露出するかというと眼瞼も自然に下がるのでそうなりません。上を向いても眼瞼の開きには限度がありますので黒目は隠れます。

眼瞼の開きは随意と不随意にコントロールされています。目を開く際には、脳が信号を発します。日常覚醒していて、行動しているべき意志があるとき、自律神経系の一方である交感神経が賦活され、動眼神経に信号が流れて、上眼瞼挙筋が収縮します。神経を流れる電気信号の強弱はパルスの頻度で調節しますが、交感神経の興奮度が影響します。上眼瞼挙筋の収縮力は正常なら下から上まで12㎜が標準ですが、正面視では中心から真上の瞼縁までが3.5㎜が標準です。直径11ミリの角膜が、上は2㎜隠れて下は丁度接しているのが標準ですから、正面視では高さ9㎜が露出しています。脳からの信号は平常時では不随意にそのサイズに開瞼する様にコントロールされます。随意的には意志を持って開けば、プラス1㎜は強まります。閉じる意志は眼瞼挙筋力を弱めると共に眼輪筋の収縮も関与しますからバランスで動きます。

ところが、上眼瞼挙筋作用には個体差があります。先天的に挙筋の筋力が弱いのが先天性眼瞼下垂症です。弱い者は弱いのです。後天的には挙筋の腱膜が伸びてしまう事がよくあります。本来挙筋腱膜は硬いボール紙のようですが、一部がビニールの様にフニャフニャになる事がよくあります。主な原因は、コンタクトレンズの長期装用と、花粉症やアトピーでの慢性的眼瞼擦過がほとんどです。先天性には他に一重瞼の構造的問題として、眼窩脂肪や眼輪筋等の開瞼に対する抵抗勢力の強さが関与します。一重瞼に伴う蒙古襞の拘縮も開瞼を阻害します。

今回の症例では明らかに上記の問題が併存していました。

症例は、24歳、女性。先天的には一重まぶただったが、昨年他院で埋没法を受けて奥二重っぽくはなっている。でも御覧のように皮膚が余剰で眼窩脂肪の膨隆も残る。LF:挙筋滑動距離12mmと正常下限。眼裂横径は25.5mm、内眼角間距離37mmと眼は小さくないが、離れている。

上記説明の如く、先天性一重瞼では、挙筋筋力が弱めで、眼窩脂肪や眼輪筋等の抵抗勢力が多い。蒙古襞は蒙古人種が混ざっている(朝廷が代表です。)日本人では、遺伝的に存在しない者は居ないのですが(蒙古襞が無い者は天皇家に反する先住民だと考えられます。)、遺伝子の質として一重瞼の人には蒙古襞が強く、二重まぶたの人には蒙古襞が軽い傾向があります。本症例では蒙古襞の拘縮が強く、開瞼に対する抵抗勢力の主体になっています。

そこで、切開法で定着させたいのと、切らないと皮膚脂肪が取れない。余計にボテッとする。ラインを挙げて皮膚と眼輪筋も幅3mm切除をしようということのなりました。もちろん眼頭切開=蒙古襞の解除の適応ですから、いつものやつ=4mmのZ-形成を併施することとなりました。

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まずは画像を。左が術前、右が術直後です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA術後1週間で抜糸しました。ノーメイクです。OLYMPUS DIGITAL CAMERA術後2週間ではしっかりメイクして、カラコンもしたままで普段のルックスで撮影させてくれました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA術後6週間で経過観察のため来院されました。自然に綺麗です。目力は普通に入っていて色っぽいです。

ところで、本症例は経過が早いですね。若い人は早いのですが、特に早い。もちろん1週間では腫れていますが、線の下がすごくない。それは開きがいいからですね。線上は腫れているため、脂肪除去の効果が見えていませんが、その分くっきり重瞼が入っています。1週間の時点で直後よりもすっきりしています。2週間では普通の二重瞼の形態です。6週間では線上もすっきりして更に開瞼が向上しています。

これまでも記してきましたが、腫脹等のダウンタイムは48時間がピークです。術直後より48時間後の方がひどいものです。ダウンタイムの程度は手術の程度(侵襲)と、48時間までの注意が左右します。本症例のように組み合わせの手術をすると当然侵襲は大きいのですが、術後のケアーが上手だったのでしょう。患者さんに聴いたら、冷却と挙上を心掛けたそうですが、私は思い出しました。本症例の患者さんは、落ち着いていました。そうです。そこです。こんなに違うのです。みなさんは、何言ってんの?って思われるでしょうが、そうなのです。どういうことかというと、脳と神経の安定です。特に自律神経の反応が影響します。気落ちが不安や、興奮している時には自律神経系の一方である交感神経から信号が発せられます。ドキドキしているってことです。そうすると、血圧が若干上がり毛細血管からの浸出が増加して腫れを増強させるのです。ですから、術後も安静にというか、気持ちを落ち着けていれば軽く済みます。いわゆる自律神経のコントロールがされている状態です。

本症例の患者さんは術中から怖がらず、痛がらず、安心して手術を受けられていました。だからですね。術後も何気なくやり過ごしたのでしょう。そうです。怖がる患者さんほど腫れます。その際はとにかく局所麻酔をします。実は世界一細い針を使っていますから、大して痛くないんです。患者さんは心の中で「なーんだ!」って思っているようです。最低2分待ち、よく効いたら始めます。「始めましたよ。」と言っても、もちろん痛くないので患者さんは拍子抜けしています。痛くないんだったらなんで怖がったんだろうと恥ずかしがる人もいます。と同時に安心して寝てしまう患者さんさえもいらっしゃいます。問題は術後です。とにかく48時間は注意してください。安静と冷却と挙上に尽きます。巧くケアーして頂くと、切開法でも1週間で今回の症例くらいの治り具合となります。2週間ではもう術後感が見られません。6週間ではこんなに素敵な目元で(全体の雰囲気的にも素敵なのですが、お見せ出来ないのが残念。)登場されました。

美容外科と形成外科は手技的には重なりますが、目的が違いますし、蓄積して来た知識や研鑽して来て身につけた技術も違います。そして、知性を何に使うかでも違います。単なる金儲けに使うのがチェーン店系美容整形屋。患者さんを喜ばしてそれに見合う報酬を保険から得るのが美容形成外科の姿勢です。

最近時折り、「整形っぽい顔。」と言う言葉を吐く患者さんがいます。美容整形屋の行いに対する反駁と考えれば納得がいきます。彼等の行為には目を背けるのでなく、啓蒙し、警鐘を鳴らしていきたいと思います。そして私達は美容形成外科医ですから、この結果なら自然にあり得る、またはむしろ標準的な形態と機能を作り上げているという事を強調したいと思います。それが美容形成外科医のプライドです。一重瞼と眼瞼下垂症と蒙古襞の拘縮は異常状態ですから、不自然なのです。私達は`セーケー`をやっているんではありません。

最近よく言います。人類70億人のうち、一重瞼は5億人以下でマイノリティーです。マイノリティーは守ってあげるべきかも知れませんが、それよりマイノリティーコンプレックスを治してあげる方が、より理性的な態度でしょう。それが医師の矜持だと美学を掲げています。