何はともあれ下顎辺縁のラインを改善した症例です。Jowl Lift と呼びます。
上左画像が術前、上右画像が術直後です。下顎のラインが祖即なっているのが分ります。下顎のラインの中でも、口角の真横の部分が膨らんでいることが多くこれをJowlと称します。英語であごの垂れたところという意味です。右の写真ではこれがスムースなカーブに変わっています。
この部位は加齢と共に必ず膨らんできます。下顎骨の前にある脂肪が落ちて来ています。下顎骨は顔面骨の中で唯一運動する骨です。食べるしゃべる時に最低3㎝は動きます。その度に皮膚は伸び緩んできます。だから中身の脂肪も重力で落ちてくるのです。ところが口角から斜め下に走る筋と靭帯があり、ここにつっかえて止まりますから、Jowlが膨らむのです。靭帯筋の付着部は線上に凹みマリオネットラインを呈します。
若返りの為の解消法としては、 Jowlの引き上げと減量がありますが、併用が必要です。マリオネットラインをヒアルロン酸で埋めても下顎のラインは治りません。脂肪が多い症例はまず脂肪溶解してから、スレッドリフト。脂肪量が多く無い症例はいきなりスレッドリフトをお奨めします。
本症例はリフトを第一選択としました。スレッドリフトとは、Thread Lift;糸リフトです。糸に小さな(約3㎜)カップが約1.5㎝間隔で付いた3Dリフト糸を耳の前1㎝からJowlに向けて通して皮下脂肪を引き上げます。次いで糸に約5㎜間隔で小さなトゲトゲ(ケバケバ)の付いたコグ糸を同じ耳前から差し込み皮膚の裏の真皮を直接引き上げます。つまりJowlは弛んだ皮膚と落ちた膨らんだ皮下脂肪ですから、二つの要素をそれぞれの層に入れた糸で引き上げる(リフトする)のです。皮下脂肪をカップで掴んですくいあげ、皮膚の裏からとげで引っ掛けて張りを出す仕組みです。理に叶っていませんか?。
しかも、糸を挿入する際の張りは尖っていないので、血管を刺すことも少なく、多くの症例では内出血やそれに伴う腫脹(腫れ)も置きません。日常生活に支障を来しません。もちろん糸は永久的に存在しては危険ですから、年単位で溶融して吸収される材料です。ですからもちろん効果の持続性は年単位で消失します。その方が安全なのです。
糸の施術と言えば、近年金の糸挿入術がもてはやされましたが、これはただ糸が入っているだけで引き上げ効果はありません。筋は錆びないので永久に入っていても害がありませんが、加齢と共に皮膚は薄くなるため、年単位の経過ののちに金の糸が露出する症例が出始めています。もちろんその際には抜けばいいのですが、もったいない話しです。金の糸をコレクションしても意味が無いでしょ?。もう一つ金属ですから熱を吸収しますし、電気を通しますから、レーザー治療や電気治療には慎重を要します。実際に他院で金の糸を入れた人に、レーザーを当ててみたら、線状に赤くなりました。金という貴金属に魅せられて、美容整形屋に乗せられて、受けてしまったことは取り返せません。
これはどの治療でもいえます。私達は多くの症例を重ねて、安全性の高い、効果と持続性と侵襲のバランスの取れた美容医療を提供します。それこそがコストパフォーマンスの高い美容医療と考えています。