黒目整形は切開法も非切開法も含みます。どちらも、眼瞼挙筋の強化を目的としますが、挙筋の強化法には二種類あります。先天性眼瞼下垂症に対しては皮膚側から切開して挙筋腱膜の直接の短縮を要します。後天性腱膜性眼瞼下垂症に対しては眼瞼結膜側から結膜とミューラー筋および腱膜を縛る方法で腱膜と瞼板の連続性を再建する方法で可能で、二つの方法を使い分けています。いずれにしても機能的改善を求めるのですが、形態的(美容的)観点が欠けると、なんかきれいでないだけでなく、機能的改善も不充分な証拠になるという事になります。今回は他院で切開法で眼瞼下垂手術を受けた症例ですが、なんか形態的には不満足で、機能的改善も不充分な症例です。これ以上の改善を図る為には当院の形成外科・美容外科の最高レベルの治療が求められた訳です。
症例は22歳、女性。先天的には一重瞼ですが、3年前にS美容外科で切開法の重瞼術を眼瞼下垂手術と称して受けている。目頭切開と目尻切開も併施されている。
前回の結果として、右眼瞼の内側が挙がっていない。左も内側が挙がっていない。しかもハム状態が若干見られる。左は重瞼線が目頭切開と段違いとなっている。
なーんかなあ!よくある下手こいた手術の跡の問題点を羅列したような結果となっていますよね。では何をすると改善方向を見出せるか?、それには患者さんと私の相談を要します。一つには前回切開手術を受けているのでもう一回切開してもいいのかもしれませんが、硬そうでやり難いのは確かでしょう。それに前回の手術法が不明で、挙筋腱膜を上手に縫い寄せたらこういう結果にならない筈ですから、どうすれば治せるかが不明なのです。だから巧くいかないだけでなくマイナスの方向性さえもあり得ます。であれば副次的;alternative に切らないでトライしてみる選択肢を適応する方が有害事象が無く、結果はゼロに近くてもマイナスにはならないと考えました。
上に術前と術直後の写真を提示します。内側1/3の点=瞼板の内側縁にNILT法を施行しました。
上二葉は右眼瞼の術前と術直後です。
上二葉は左眼瞼の術前と術直後です。
結果はマイナスではございませんよね。勿論ゼロではありません。では、何点でしょう?。いきなり私が採点します。両側を比較すると、右眼瞼(向かって左)が75点。左眼瞼(向かって右)が60点を出せますかね?。少なくともプラス効果が得られました。
片側ずつ評価します。まず右側眼瞼
左眼瞼は術前には明らかに内側半分と外側半分のカーブが違います。内側は直線的に落ちています。外側の挙筋は強力に挙上しているのに対して内側には力が伝わっていません。術後画像では内側1/3の点に角というか切痕;Notchが見られます。勿論糸が掛かっている点で、あくまでも点ですから、瞼板が引き込まれているからです。そしてよく見るとライトの反射が違います。術後内側に増えました。全体の開瞼が強化されていないのは術直後の神経的反応の勢であるのはこれまでも述べて来ました。術中には改善を見ています。ではNotch はどうなんでしょう?。この時点で私は患者さんに「強過ぎない、くびれているけどどう?」と問いました。患者さんは即座に「好き!」と呟きました。ホッとした瞬間思い出しました。そいえば初診時に私は言いました。私の開瞼は中1/3くらいの部分がほぼ水平に挙がっていますが、「これどう?。こう出来るときれいなんだよね?」と自意識過剰のナルちゃんな説明をしました。そういえば私の眼瞼は自前ですがNotch があります。これまでにも述べてきた様にアジア人の開瞼は吊り目が多いのですが、白人の眼瞼は水平に挙がるからきれいなのです。とにかく本症例に於いてはNotch が出来る程開きました。ただしその外側のにかけては水平過ぎませんか?。瞼縁はきれいなアーモンド型のカーブですが、重瞼のラインが水平過ぎませんかね?。勿論重瞼線の再建の為に二重も止めたからです。どうでしょう?。重瞼線の固定は、時間と共に緩みますからカクカク感は消失して来ると思いますが、敢えて中央に足すという方法もあります。「経過を診ながら追加出来ます。」と伝えておきました。
もう片側はどうでしょう。左側眼瞼です。
術前から内側の下がりが激しくないのですが無くはないので、まず内側の挙筋を軽く縫い縮めました。術前より術直後の方が全体的に開瞼が落ちているのは神経作用の為で比較が難しいのですが、瞼縁の形としては術後は内側が外側と同高にまで挙がっています。その点では合格ですが、重瞼線の修正が難しい症例でした。術前のラインは内側で目頭切開とずれて切られていて段違いになっています。じゃあ広げてみましょうと言う事にしたら、広過ぎました。外して掛け直しましたらやはり段違いになりました。たぶん腫脹が影響しているのだと考えこのままとしました。表側のラインの修正は特に一カ所だけだとラインが平行にならないので綺麗に出来ないという典型的な例です。これも腫脹の軽減を待ち、修正の余地があり得ると伝えました。
ならばもう一つ目頭の創跡も目立つし、やっぱり蒙古襞の拘縮が残存しています。これをZ−形成法で治せるかはもう1回シミュレーションしてみたいところです。画像から見た数字的には可能だと思います。もっとアーモンドアイに一致出来ると思います。
とにかくブログ提示の為に定期的に来院していただくので、その際必ず診察もして少しずつConsultation も追加していきたいと思います。もっとも症例患者さんはブログも見て来ているのでこちらがいうまでもなく理解していると思いますが・・。次回1週間後をお楽しみに!