2017 . 3 . 23

この鼻なら、この手術の組み合わせが効を奏する。お任せあれ!

顔面の大きさに比して、外鼻が大きく鷲鼻であるのが残念な症例です。鷲かオウムか知りませんが、鳥の嘴状に鼻尖に向かって低くなっている形態は品が無く、しかも大きい。鼻翼は付け根は大きくないのに丸く張り出していて、鼻翼基部が鼻柱より下方にあるややアグラ型で野暮ったい。それは数字が表しますが、それより何より、形態をすっきりする方が似合う人格です。

先々週に手術して、先週に術前と術後と術後1週間の比較を載せました。その後1週間経て更に膣が進み形態が見えて来ました。また移植軟骨のシェーマは解り易かったと患者さんにも好評を得ましたので、2週間毎比較して再掲します。患者さんとしては術前の形態を見ても面白くないかも知れませんが、読者の皆さんにちゃんと経過を見せて行くのが私の務めですからお許しください。

今回も術前術直後と術後1週間術後2週間の画像を順に並べて、それぞれでの見るべきポイントと経過による変化を説明していきます。

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正面像では、鼻翼と鼻尖の大きさそれにその比率が良くなったのが判ります。術前は内眼角間34mmに対して鼻翼幅36mmで大きく、鼻尖は二分軟骨となっていて幅が20mmありました。鼻尖の幅は鼻翼の幅の半分が理想です。術後1週間では腫脹でサイズ不明で下から、計測しませんでした。2週間目に計りました。34㎜:17㎜と適切な比になりました。お見事!

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下面像では、鼻翼の丸みが無くなっているのが良く判ります。鼻翼の付け根より、張り出している鼻翼を三日月形に切除しました。術後は付け根と最大張り出し幅がイコールになりました。これがきれいな鼻翼です。鼻尖は明らかに高く、小さく、尖がりました。軟骨を3枚も移植しましたから、1枚1mm厚として3mm高くなっています。ちなみにその結果、鼻孔の形も細長くきれいになりました。更に2週間ではしまって来ました。鼻尖が尖っています。美しい!。下から見た鼻の幅と高さのバランスは著明に改善しました。やり過ぎ感がありますが、下から見ることなんか滅多にないからいいでしょ?。創跡は日に日に目立たなくなっています。段差もないのでメイクで隠せます。オープンでないと、軟骨の位置が不正確なので移植の場合には必要です。

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斜位像では、鼻翼の丸みはもちろん解消しています。鼻尖の位置は画像上は下がっています。鼻尖の最前方点を下げることが目的ですが、その下がペタッとしているので、ツンと長くすることも目的でした。移植軟骨でその形を作りました。2週間後にはよく見れば鼻陵の直線より、僅かに鼻尖が前にあります。それがツンッとしたアップノーズです。毎回言いますが、鼻線の位置が上方にあるのはShort noseでツンとしたのが Up noseです。わざとらしくはないUp noseの程度です。

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側面像では明らかに鼻尖の位置が下がっています。比較法は鼻翼基部と鼻尖の最前方点との関係で判ります。もちろん、鼻尖の形は見事でしょう。これは改善点をよく吟味して(術中にも悩む)移植軟骨の形を作った結果です。そして高さは、鼻尖の上から鼻尖に向かってジャンプ台の踏み切り部みたいにカーブしています。ツンとして格好いいです。これが本当のアップノーズです。ただし腫脹が軽減して来て1週間より2週間では少し落ちました。この程度が丁度いいと思います。鼻翼の前後長が減少したのは当然ですが、鼻尖を前へ出したから相対的な事です。その目で見れば側面像でも、丸い鼻翼の前後長と鼻尖の前後長の比率が明らかにバランスよくなりました。ぼてっとしていた鼻の要素は横から見ても鼻翼と鼻尖の比率にも起因していたのです。

4方向の画像で評価しました。美しい豊かな形態になりました。鼻は下がっているといじわるっぽいし、短いとイモっぽい。大きいと野暮ったい。その点を改善するとゴージャスになります。

今回の手術は鼻翼切除の適応でした。見ての通り3mmの切除で野暮ったさが解消しました。鼻尖の両側の鼻翼軟骨が離れている二分軟骨は縫合すれば治せます。ですから鼻尖のポジションとシェイプを作り上げるのためには軟骨を移植して増大するので、その方向と形態とサイズのデザインを提示します。鼻尖の美しさは移植軟骨の形成に左右されます。今回は軟骨の形を紙上で2次元画像化してみたシェーマを再掲して、術前と術後2週間を比較します。

前提として耳介の中でも外耳孔の後部の耳甲介から取ると、鼻尖の湾曲に必ずフィットします。たぶん人間の構造はそうできているのです。厚さも1mmとほぼ一定しています。今回は10×15mm採取しました。まず耳介軟骨を3枚に切り分けます。

土台が縦10㎜横8mmのダイアモンド型。2枚目が鼻柱方向を増量するためで縦はやはり10㎜で幅は6mm。3枚目は鼻尖をとがらせるための3段目で、3×4mmとしました。

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これを3段重ねにします。3枚をナイロン糸で縫合します。

上左図が正面から見た模式図。上な数が横から見た模式図。上右図が下から見た模式図です。耳甲介軟骨は上に書いたように、湾曲しているのですが、それを図に書く際はフリーハンドですから、難しいのです。本物を手術する方が巧くできます。でも形は判りますよね。そこで本物の術前と軟骨の模式図と術後2週間の画像と比較してみます。

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正面像です。耳甲介からの移植軟骨が入った結果丸い鼻尖が小さく尖がっています。これがダイアモンド型です。

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側面像です。移植軟骨の形が鼻尖の高さと形を改善しているのが解かります。術前と術後では鼻尖の下の長さに明らかな差が見られます。デザイン通りの形が作り上げられました。

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下面像です。移植軟骨分の高さとシェイプが変化しました。一見すると尖りすぎていますが、下から見ればの話しです。

シェーマをイメージして前後を比較すると得られた変化がよく判りますよね。術前に求めた変化が得られています。術前の形態をよく観察して、どこをどのように直せば良いのはを吟味して、患者さんともスタッフともディスカッションしました。こうして得られた手術計画の通りに出来たと思います。

個々の患者さんの形態は個体差が有りますから、皆に同じ手術をしては消して良好な形態は得られません。そうなると、こちら側の引き出し=手術術式の種類と経験がものを言います。それも個々の患者さんに真摯に時間をかけて取り組んで来たかで、経験の濃度にかなりの差が有ります。チェーン店系ではコマーシャリズムに乗って皆に同じ手術をするので、美容的観点の涵養が成されていないのが事実で、当院に術後来たので診ると「エー面白い事するね!、手術内容が違うとこうなるのです。」という症例がままあります。

経過はまだまだかかります。軟骨が生存し定着して位置が決まるのに(縫い付けてもずれる可能性はある。)最低3週間、覆う皮膚が意図したような形に癒合するのにも3週間はかかります。テープで表面からContourを作る様に抑えると、そのように癒合します。確かにそのような形に癒着して来たのが画像で見られますよね。これも毎回経過を診て来ているから知っている事です。しかし美しい!

ですから、形が見えてくるのは術後1ヶ月以降です。更に皮膚の腫脹が無くなり、移植軟骨の形態が透けて見えないか、3ヶ月までは診ましょう。