2017 . 4 . 6

黒目整形セットで大人っぽくなったね。

年末から年度末には黒目整形セットの症例が続いていました。若年者が学校の休みを利用して、年度末は進学やリクルートを契機に受けました。その結果年末の一例が3ヶ月後の完成を見せに来院していただきます。画像をご覧いただけば皆さんも今後の参考になるでしょう。後段の御託は再掲ですが、結論だけでもお読みください。

まずは画像を提示します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA術前

下に術前の近接画像。

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上には術直後と術後1週間

OLYMPUS DIGITAL CAMERA術後3ヶ月で完成となります。

下に術後3ヶ月の近接画像。

 

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症例は18歳の女性。高校卒業前です。大学進学は決まっていますから、このチャンスに眼瞼形成術を希望された患者さんです。先天性一重まぶたで眼瞼下垂症状を呈しています。一重瞼であるための皮膚性眼瞼下垂症が本態ですが、Levator Function 挙筋機能、正しくは挙筋滑動距離が11mmと正常(=12㎜)ではない。ただし眼瞼横径23mm、内眼角間距離36mmと眼の窓が小さいから開きが育たなかった為で、筋性;Myopathy先天性;Congenital眼瞼下垂症の診断基準;Criteriaには該当するが機能的には正常ではある。年齢的にもコンタクトレンズ使用歴も無いため後天性腱膜性眼瞼下垂症は合併していないため、フェニレフリンテストはするまでもないと考えられた。画像の様に髪を下して眉と眼瞼が見えないようにしています。開瞼時は常に前頭筋が反射運動で収縮して、眉毛を吊り上げています。

このような診断の下に手術前プランを立てました。眼瞼下垂症に対する手術は切開法なら保険診療で、非切開法なら自費診療となります。一重瞼に伴う蒙古襞の拘縮が強いために眼瞼下垂症の原因の一つとなっていても、目頭切開(蒙古襞の拘縮解除術)は先天性に角膜(黒目)が隠れるほどでなければ健康保険は適用できません。後日眼瞼狭小症の患者さんが来院しましたが、珍しいです。

本症例では、画像で見られる様に、一重まぶたによる皮膚性眼瞼下垂症に眼瞼挙筋力の不足という筋性眼瞼下垂症(先天性機能低下)を伴うので、改善の定着を求めて切開法を選択し、眼瞼下垂症の原因の一つとなっている蒙古襞の拘縮を解除するために、4mmのZ-形成術による眼頭切開を自費で併施するプランを立てました。繋げてデザイン出来るから形が作り易いため同時に手術することをおすすめしています。

一重瞼と二重まぶたでは差は歴然です。黒目の露出度は1.5倍に増えています。上瞼縁の露出程度は一重瞼では皮膚が被さっていて視認できませんが、二重瞼になって皮膚を持ち上げれば見えるようになる瞼縁は正常以上に挙がりました。一重瞼では瞼縁が挙がっていようと挙がっていまいと皮膚が被さっていて損をしています。つまり眼瞼下垂症です。

開瞼の強化法は結膜側から挙筋腱膜とミューラー筋と眼瞼結膜を縫い寄せるLT法ですが、この方法では挙筋筋力が低下した先天性眼瞼下垂症に対しては効果が得られないのに対して、後天性腱膜性眼瞼下垂症に対しては効果が得られるし、正常の筋力なら正常上限まで強化できます。ただし少し後戻り(糸が緩むのではなく、組織に喰いこむことで効果が低下する。)します。

何度もいいますが、一重まぶたと蒙古襞の拘縮は先天性異常です。2万年前までは一重瞼+蒙古襞の遺伝子は存在しなかったと考えられ、彼等は古モンゴロイド系とされ、北東アジアで発生した一重瞼+蒙古襞の遺伝子を持つ人種を新モンゴロイド系とされています。いわゆる縄文人と弥生人がそれぞれに匹敵します。二つの遺伝子が混血してきましたから、現代の日本人は表現型として一重瞼と二重瞼が混在しています。半々存在すると考えられています。

一重瞼でいることは身体機能的に大損です。なぜなら直立した人間は遠くまで見渡せます。しかも人間は直立したため首が回せますから、眼の窓の向きを近くしても横や後ろが見えます。動物種の中で、人間は唯一前向きです。フクロウは二つの目が前向きですが夜行性だからです。前向きの目が両眼視をするメリットは距離が認識でき、ピントも合わせやすいのです。その結果運動に有利ですし、近距離の精密な細かい精緻性運動も両眼視が有利です。一重瞼で視界が狭いとこれらの有利性を生かせません。また直立した人間は顔を上に向け続けるのが苦しいので、眼だけを上を向けなければなりませんが、一重瞼で眼瞼下垂だと、上方の視界も不足します。直立して両眼視で距離感を得て、上方視できるように作られた人間種なのに、突然変異で視界不良の人間ができてしまったのです。ですから、一重まぶた+眼瞼下垂状態を脱して二重瞼+開瞼良好にすることは、私達日本の(東アジアの)美容形成外科医の務めです。

一重瞼はアジア人特有ですから、アジア人のその遺伝子が悪いためで、肉体機能としては治すのが善いことです。私達は、現在の医学的見地からの眼瞼形成術は機能と形態の治療として、こうして遂行してきています。これこそが知性の勝利だと言えましょう。

こうして、本症例の患者さんは、開瞼が向上して、有用な身体機能を身に着けてこれからの人生をより善く過ごして行く事となるでしょう。