2017 . 7 . 17

鼻尖縮小術。眼瞼下垂症手術。順次治していきましょう。今回は頤と咬筋ボトックス。次は鼻尖に移植か?。

今回は、先ず眼瞼下垂手術を行い。次に鼻尖の形を縮小しました。軟骨移植による鼻尖増高術と下制術は行っていません。今後二次的に行う予定です。

もちろん二次手術は3ヶ月以上経ってから、癒着が成熟化して、形態もほぼ成立してからの評価後にするべきです。二次的な軟骨移植は、他の医師にはさせられませんから、3〜6ヶ月以上先になります。ただし本症例は他の部位の診療をも希望されています。そもそも、本症例の患者さんはより美しくありたい。目標値があり、目指したい。顔面の改良法を模索されて私を受診しました。それでは、私も頑張ります。改善が可能な部位と方法論を検討する。こうして本症例患者さんの診療を、患者さんにとって理想的な形態を目指して継続的にしてきました。眼瞼と鼻尖のサイズの2点を進めました。

今回その鼻尖縮小術の経過が落ち着いたので、少しずつ先へ進めます。画像提示を承諾頂けたので紹介します。先週頤形成術の画像提示をしました。同時に咬筋ボトックスを施行したので、効果が見られる様になった今回画像を頂きました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上に正面画像を提示します。先週の術前と本日の画像です。左図の注入前では頤に丸く、お餅が付いたように入っていますが、右図ではやや尖がって三角に近づき、頤先端の水平線が無くなりました。両サイドの影もなだらかになりました。咬筋ですが、左図では自然に力が入って(口唇に力が入っているのがその証拠です。)筋肉が見えますが、右図では、力が入らなくなり膨らんでいません。まだ、咬筋そのものは薄くはなってきていませんが、力が入らない分小さくなって見られます。周囲の人にも「痩せた?」と指摘されたそうです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

左斜位でも比べてみましょう。左図は先週の頤へのヒアルロン酸と咬筋へのボトックス注射後で、右図は本日。頤のカーブは微妙に変わりました。咬筋の厚みは微妙に減りました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上の2図はエラを側面で見せようと思ったのですが、画角外になりました。左が以前の画像、右は本日です。頤は明らかに前突して、口元が締まりました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

上の画像は先週の頤形成術前後です。左が注入前、右が注入後です。同様に頤の前後形はよく判ります。

今回経過観察中に注射治療を追加しました。頤形成術と、咬筋BTXです。ボトックスは効くのに数日かかりますが、効いたからと言ってすぐに筋肉が痩せるわけではありません。でも力が入らなくなりました。

ここから後は詳しい説明をしますが、次回にもアレンジして載せますから、斜め読みして下さい。

咬筋のボトックスを小顔ボトックスと称していることがあります。顔面の正面像で、咬筋は耳垂の前から下顎角部(これをエラと呼びます。)にかけての輪郭を支配します。咬筋が厚いと顔の幅が大きくなりますから、ボトックスで薄くすると顔の幅が小さくなります。だから小顔ボトックスと称しますが、それは幅の問題だけです。顔の縦の長さは、身長との比率で何頭身と言いますが、日本人では8頭身は滅多にいません。むしろ低身長の日本人が8頭身だったら、その分頭が小さいことになりますから、頭が悪そうに見えます。逆に日本人では顔の幅が大きいです。顔の縦横の比率はいつも言うように(昔からレオナルドダヴィンチが提唱していた。)8対5を理想としますが、日本人では横が大きいのです。絶対値として、頬骨最大幅が135mm、下顎角部幅が100mm以下が小顔とされます。頬骨と下顎角の間が咬筋ですから、側方突出が無ければより小顔になります。

そのように咬筋が痩せれば顔面幅は小さくなります。ボトックスは筋への信号を絶ちますから、筋が収縮しなくなり、使わない(収縮しない。)筋肉はゆっくりと痩せていきます。本症例でも見られる様に、ボトックスはすぐには作用しません。通常2日~2週間、平均1週間で収縮あ弱くなります。1か月寝たきりで居ると筋肉が落ちて歩けなくなるのと同じように、約1か月から、痩せて見えてきます。本症例も1か月後にお示しします。

ところが・・!。咬筋は咬むための筋肉です。食べるためには咬まなければなりません。食べなければ動物は生きられません。咬筋は一日中動いています。神経信号が出続けています。ですから、咬筋への神経も回復が早いのです。ですから早い人では1か月半、遅くとも3か月で咬筋の収縮は回復します。私は定期的に3回、ぶ厚い人では5回をお奨めします。半年収縮しなければ1年もちます。但し、咬む筋肉は他にも下顎の内側に側頭筋がありますから、咀嚼に支障は来たしませんのでお間違いないように。

鰓は魚にはありますが哺乳類にはありません。海生哺乳類のクジラたちにもありません。但し動物は胎児期に進化をたどって成長しますから、胎児にはエラがあり、人間にも痕跡があります。少なくとも人の耳から顎にかけての顔面下半分は胎児期にはエラだった部分です。下顎角をエラと呼ぶのは間違いではないのですが、私は咬筋ボトックスと呼ぶようにしています。

昔はエラ(私も言ってしまいました。)張りに対する治療と言えば下顎角切除術だけでした。エラの下を切開して骨を切るか口内から切るか削るかです。ダウンタイムが長いし、顔面神経麻痺損傷や骨の過剰切除等々合併症の多い難しい手術です。私も外からは何十例もしましたが、今はしません。口内からは数例だけです。面倒なので今はしません。咬筋ボトックスは骨を治せませんが、筋が薄くなればエラが小さくなりますから、充分に効果が見られます。稀にいるホームベース顔の人だけに、骨切りをお奨めします。

頤のヒアルロン酸注入のデザインですが、術前は頤に丸く入っていました(私が入れました。)量を少なくするとこうしかできません。今回頤からマリオネットラインの下まで両サイドに入れました。さらに側面で見られるように前方にも追加しました。それも下顎縁が後退していたの治しました。するとあら不思議!、正面像で見られる様に口元が締まりました。量は0.5cc以上要しますが、皆さんにこのデザインをお奨めしています。

頤形成のデザインは、美容的な観点が重要です。もっと言えば多くの手術症例を経験しなければ身に着きません。取って着けたような頤のデザイン、餅が入っているような丸いデザイン、頤の下縁に水平線があり、あたかも白人男性の様な角張った頤をよく見ます。タレントさんでも判ります。頤の水平面や、もっとすごい割れ顎と呼ばれる喰い込みは遺伝性で白人家系には多いです。有名なのは西欧の王朝であるハプスブルグ家の地を継ぐ者は皆割れ顎で描かれています。15世紀やそれより前から肖像画がありますから証明されています。逆に日本人の肖像画に割れ顎の頤は一人も描かれていません。

だから、頤形成術は三角か少なくとも丸い顎先にしなければなりません。プロテーシスでもそうで横長のが入っていると白人様の頤になり女性では美しくありません。私は見つけると三角のプロテーシスに入れ替えるようお奨めしています。

ヒアルロン酸でも同様で、角張った形に注入されている患者さんが多く見受けられます。私は見つけるとすぐ修正を提案します。要するにヒアルロン酸注入しかできない医者は美容的観点に欠けています。美容的素養が備わっていない医者がゴロゴロいます。最近学会で、頤の骨切除術の際に水平に切ると角張って綺麗でないから、U字型に切除するデザインが定型化しています。逆に長くするのにも角張らない様にするべきなのは当然で、その件を学会でお提案しました。私は勉強もしています。もう既に30年間も提案して来ました。勉強と、美容的眼力が備わっていない医者が多過ぎます。