2017 . 11 . 16

男性は目つきで社会的に向上します。

人生変わったかとお喜びの症例です。ほんとうですかと言われそうですが、社会的態度が変わるから、適応性が高くなります。少なくとも画像上の顔つきに出ています。

先ずは画像を見ましょう。上段は眼瞼部の術前と術直後です。下段は術後48時間と術後1週間です。定番の手術となりましたが、これが自然な形態と機能を作り上げるからです。機能とは身体機能と社会的機能を含みます。

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そして術後3週間を経ました。

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症例のご紹介を致します。31歳の男性です。先天性一重瞼=皮膚性眼瞼下垂症。何年か前に埋没法を受けているがすぐ戻った。この機能と形態では埋没は保てません。挙筋筋力(=挙筋滑動距離)は12mmと正常下限値。眼裂横径25mm、内眼角間36mm、角膜中心間距離60mmと目の位置は離れていないが、目の窓が離れているのは蒙古襞の被さりが強く拘縮が強い証拠で、開瞼機能の低下をもたらしています。

この形態は男性では眼裂狭小症と言えます。当然いつもの様に一重瞼を二重瞼にして皮膚性眼瞼下垂症を除去し、挙筋前転をして筋性眼瞼下垂を解消し、目頭はZ-形成で蒙古襞の拘縮を解除したい症例です。二重の幅は埋没の跡のラインは4mmで、奥二重ですがこれが似合います。一重瞼で31年生きて来たので皮膚は伸びていますから、幅3mmは切除します。目頭は一重瞼の平均と二重瞼の平均の差を埋める量=4mmのZ-形成術で、眼裂横径を1.5mm大きくし、内眼角間を3mm近づけます。下に近接像を並べます。

左右各眼瞼の、左から術前、術直後、術後1週間です。

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術直後は必ず、痛くて開いてくれません。腫脹も伴いますが、本症例では通常度です。内出血は起きませんでした。局麻のために前頭筋が動かないから眉が動きませんから下がっていて、その分上眼瞼が腫れぼったくなっています。1週間の抜糸時には腫脹も取れています。

下は術後3週間です。

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目頭の創は血痂が着いていなければご覧の様に目立たないものですが、抜糸後一度赤くなる症例があります。その場合でも3〜6週間で消えていきます。術後3週間で赤くはありませんが、白い線はあります。男性は皮膚の色が濃いので若干目立ちます。術後3ヶ月には目立たなくなります。

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上に術前と術後を比較してみます。そういえば、彼は眼窩の上眼窩骨が出ていて男らしいのです。そうであれば目は大きくて眉を挙げないで開いた方が似合うし、気合いが感じられます。小さくてちょこんとした目元で、眉が逆八の字に吊り挙がっていると、憎たらしい印象で社会的適応性が感じられません。

上左の画像は情けない目元で、ビックリしていないのに所謂目が点です。しかも目を細めているかの様に見えますから、表情が乏しく見えます。比して上右の画像では目力が入って男らしい印象です。実際に診る際にも、表情が豊かになり明るくも強さを感じさせました。

人類学的には明らかなことですが、一重瞼である日本人は全員が重瞼術を受けるべきです。一重瞼の遺伝子は約2万年前に東アジアで突然変異に因って出来たものだからです。蒙古襞の遺伝子も同時発生しています。彼等を新モンゴロイドと分類します。極東地域に蔓延しています。基本的にコーカソイド(白人)とネグロイド(黒人)と、古モンゴロイドは一重瞼遺伝子を持っていません。彼等は混血していなければ全員二重瞼で産まれてきます。

Slant eye はMongolian slant のことで極東人は皆その遺伝子を持っています。傾きは平均5度とされています。皆さんお間違えなく、アジア人の中にたれ目は存在しますが、それは一重瞼で目尻側の皮膚が被っている形態で、瞼縁の形は吊り目です。slant は瞼縁の形で、そこに蒙古襞の拘縮が加わると傾斜が強くなるのです。ですが、アジア人の中にも一重瞼でない者は居ます。一重瞼と蒙古襞の拘縮を発現しない遺伝子を持つ古モンゴロイドと、突然変異遺伝子を持つ新モンゴロイドが混血しているからです。もちろん他人種と新モンゴロイドが混血した人の中にはSlant eye でなくなる個体も生じます。

また一重瞼者の平均的な内眼角間距離と二重瞼者の平均的な内眼角間距離は約3㎜差が有りますから、目頭は片側1.5㎜開くべきです。内眼角間距離は蒙古襞だけでなく、眼球位置にも影響されますが、眼窩位置は全人類に於ける基本的構造のバリエーションです。白人や黒人でも眼球が離れている人は居ます。むしろ本症例は平均値です。その個性を変えないで蒙古襞を3㎜よけると、その患者さんの顔に合った目元になります。ですから私は、最近は4㎜のZ−形成法を定式としています。

東アジア人でも二重瞼という正常の形態と機能を持つ様に治せばいいのです。しかも二重瞼に相応しい機能と形態を呈する為には目頭切開を併施するべきです。本症例でもその結果自然な眼瞼像に出来上がりました。創跡がまだ目立ちますから、ちゃんと経過観察していきます。