2018 . 5 . 2

切らない眼瞼下垂手術じゃあ無理だったのです。目頭も必要。

本邦に於いては美容医療は、美容外科と形成外科が別科目で、前者は自費診療、後者は保険診療が適要されています。実は多くの他国では同一科目です。何故そうなったかというと、昭和51年に美容整形(現在も過去も法律上の診療科目ではない。)を診療科目にする際に、形成外科の学会長が、「作戦上形成外科を別科目にする?!。」とか訳の判らないことを提唱しておいて、昭和53年に形成外科医と美容整形医が手を打って、美容外科という新しい診療科目を設置しました。

結果として自費診療と保険診療の境界線が引かれたのですが、所詮その診断は担当医師が決める事です。結局切らない手術はの多くは自費で切開すれば保険が通るとのコンセンサスが得られています。ただしチェーン店では、非形成外科医のビジネスマンがほとんどで保険診療機関を申請していませんし、厚労省も与えません。ところが、眼瞼下垂手術に目頭切開を併施して効果倍増を狙っても二つの手術を眼瞼下垂手術に請求出来ませんし、目頭切開を嫌う形成外科医が多く存在するため、保険収載されません。

毎回書いて来ましたが、一重瞼を二重瞼にする際には蒙古襞の拘縮を一重瞼の平均値から、二重瞼の平均値に変更しないと自然な形態と機能を呈しません。そして一辺4㎜のZ−形成法が適切なのはこれまでの症例提示で証明されています。近々学会で、計測値を提示しながら統計的に証明します。この分野でのオーソリティーを目指しています。

これも何度も書いて来ましたが、Z−形成法以外の目頭切開手術はいけません!。特に三日月切除法は犯罪行為です。今や韓国ではまず行なわれません。因みに目頭切開は東アジア人にしか要しませんから、世界的には学問的なコンセンサスはありません。日本人と韓国人だけ(中国は遅れているから蚊帳の外です。)が切磋琢磨してきました。この分野のコンセプトは日本はもはや遅れています。私は逆にトップランナーを目指しています。ブログを見ればお判りでしょう。

症例は約2年前に来院。他医でNILT=切らない眼瞼下垂手術=黒目整形非切開法を受けた。4か月後に来院し私に罹ると、右が初期(3か月以内)に外れたとのこと。初期に外れたのならテクニカルエラーが考えられる。ステロイドの影響も考えらえるが・・いずれにしてもそのままで居られないので私がMT法2点(縦止めのいわゆ埋没法重瞼術)。その後左も一部が緩んでMT1点をしてきました。半年後に浅くなり、昨年再びMT2点。今年に入り再び緩んだ為、急いで治したい気持ちがあったが、いよいよ切開も検討し始めました。

こうなれば切開法をお奨めするのがあたしの務めではあります。いや、奨めると言うよりも経過を説明して、持続するという利益と標準的な病悩期間の長さを天秤に掛けてもらいます。またご覧の様に眼瞼下垂状態であるので保険適応ですから、費用も天秤に掛けてもらいます。よく考えてみたら、一生ものなら切開が得だし、私の手術なら跡が見えなくなると言えます。内出血すれば、吸収するまで約2週間罹ります。腫脹(腫れと浮腫)は2週間でピーク時の30%は残り、1か月ではまだ腫脹の為に二重が広く見えます。その後日によって、朝は浮腫んで昼間はすっきりしながら徐々にすっきりします。約3か月で完成となります。

もう一度診療し検査します。内眼角間34㎜:眼裂横径25㎜:角膜中心間60㎜と蒙古襞の拘縮が強くモンゴリアンスラント(目頭と目尻を結んだ傾斜)も強い。LF挙筋筋力:滑動距離12mmと正常下限で先天性筋性眼瞼下垂症は否定的だが、開瞼は弱い。後天性筋性眼瞼下垂症に罹患していると考えられる。

残る左のラインは5㎜高でした。開瞼時は常時、前頭筋が不随意に収縮している為、皮膚は伸びているから、幅3mm切除を要する。眼窩脂肪は多いがヘルニアしていないから焼く予定とした。蒙古襞の拘縮を解除してもスラントアイは解消しないが吊り目は治せる。元は一重瞼=先天性皮膚性眼瞼下垂症だったので、二重瞼にするなら目頭の蒙古襞は一辺4mmのZ形成で拘縮解除する方が自然な形態と機能を作れる。

この様なプランに従って手術しました。画像を見ます。

IMG_2179左は術前。

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上はデザイン画の開閉像

IMG_2182左は術直後。

下は術後1週間の抜糸直後。

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開瞼が手術直後より良好化し左右対称化中。自覚的に前頭筋収縮癖が解消し、しわがなくなってお悦びでした。近接画像を見ましょう。

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目頭の創跡の発赤が強いので、肥厚性瘢痕が軽度あり得る。念のためリザベン内服開始。開瞼はまだ左右対称では無いが、術前の左右差がスライドしている。改善が診られるため、このまま近づくと考えられる。

今回は先ず症例の紹介を致します。今後の変遷が予想されます。開瞼と創跡が定着するのにはまだまだ掛かるでしょう。次回術後3週間での画像を乞うご期待!