口周りの形態は3次元的にいろいろな要素画構成します。口の上は鼻、口の下は下顎。前後位置としては歯槽骨と歯牙。E-ラインはその指標です。口唇は横のカーブも重要です。複合的要素のうち上下の長さを治すことが多いのですが、前後位置も調節しています。だから術前に細かく診察し、計測して適切な手術をしなければ良好な結果を得られません。その意味で、複合的な治療が功を奏している典型的な症例です。
症例は22歳女性。白唇長18mm。内反気味なのは、歯槽が前突していない上に歯牙も後方にあるからです。上顔面(生え際〜眉下)62㎜:中顔面(眉下〜鼻下)53㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)63㎜と下顔面が長く、上口唇24㎜:下口唇39と上下共が長い。頤に水平線あり。頤前突。骨切りは先に考えるとのこと。ただし下顎骨体部から角部は幅がないので下顎骨V字骨切りは不要と言える必要なのは頤短縮。少なくとE-ラインがマイナスは温存したい。顔面部品の横比は内眼角間32㎜:鼻翼幅31㎜:口唇幅44㎜と黄金比率の5:8を適要すると口唇が小さい。だから口角も45度5㎜挙上したい。C-カールは作りたい。人中と弓はあるので作製は不要と考えた。
手術当日、もう一度診察するとボトックスで口角を挙上していたので口角挙上術は見合わせた。またE-ラインがマイナスで口元が寂しい感じなので、人中とCupidの弓は若干強調したいとの申し出があり0.5mmずつ寄せる事にした。白唇は4mm短縮し口輪筋を折り畳んで外反させる術式。
画像を各方向別に経時的に提示します。正面像から。
上に術前と術直後。
上には1週間の抜糸時の随意的閉口時と力を入れていない画。
近接像は左から術前デザイン画、術直後、術後1週間の抜糸直後。
左斜位像は術前、術直後、術後1週間。
右側面は術前、術直後、術後1週間。
本症例はE-ラインがマイナス3㎜で両顎が出ていない人間らしい口元なのですが、赤唇が薄い日本人ではマイナスの人は寂しい口元になる。下顔面の比率が長いため、上口唇短縮の効果はもちろん求められるが、頤も検討される。だからそれよりも、白唇の外反C-カールが求められ、更に若干人中とCupid’s bow,キューピットの弓をはっきりさせる効果が確実に見られます。あたかも、「今評判のI.S.になっちゃった。」にふさわしい結果を得られたようです。
これまでの症例でも毎回の様に書いて来ましたが、口唇短縮術で皮膚、皮下脂肪を切除し口輪筋を縫縮すると腫脹の影響と筋のダメージで周囲の表情筋の収縮力が低下し、口は閉じ難く、鼻は横にも下にも引っ張られます。約2週間後には上口輪筋が回復し、トーヌスが働いて不随意に閉じられますが、術後早期には代償的に下口唇を挙げて閉じようとします。上の画像の通りです。日本人では多くの人がE-ラインがゼロ以上プラスであるため、下口唇を挙げる際に頤にしわが出来ますが、E-ラインがマイナスの人は目立ちません。本症例は予想通りそうでした。でもむしろ随意適時閉口しない画像の方が可愛く見えます。この点は患者さんに聴いてみます。
術後1週間の画像からして、次回術後2週間で回復が早い症例だと予想しています。口、鼻の位置は周囲の表情筋の回復次第です。創跡の回復は切除幅が影響します。その面でお楽しみに!
今回術後1か月で画像を戴きました。
傷跡はまだ赤いのですが、気にしていないそうです。ちなみに上口唇の形は可愛いです。Cupidの弓がはっきりして、人中が狭く深くなりました。ちょっとのことではっきりするのです。上下の赤唇のバランスも5:8になりました。
こうしてみると口角はそんなに下がってしまった感がありません。頤との兼ね合いがあるので今後検討しましょう。
ところが、術後3か月で来院された際に見た途端!。傷跡の幅が拡がっていました。な~ぜ~?!。久し振りに拡がりました。年に一二例のことです。通常口を伸ばす行為は日常生活でそんなにしませんし、しゃべくるくらいでは拡がりません。
取り急ぎステロイド局注をしました。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時追加修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも随時表現や補足の説明を付け加えていきます。
施術のリスク・副作用について
・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。