10年以上前の外傷痕が気になっていた未成年の患者さん。創跡そのものは小さいけれどある。本人に執っては何とかしたい想いが強かったと想像される。今どきは若年者ほど情報に接する機会が多い訳で、どこからか私の診療の情報に辿り着いたらしく、「これだ!」と飛びついたのでしょう。家族を説得して同行して来院されました。
人中部白唇短縮術は適応患者さんを決めています。鼻柱基部からCupidの弓の中央が15㎜以上が第一の適応。私が口周りの手術は最終兵器だと称している様に、骨切り術後に口がモッタリした症例が第二の適応で、最近はこちらが多かったです。そして加齢すると白唇も弛みます。計量すると10年で約1㎜です。かといって年齢が上がるほど創の治りが不安ですから、そうそう手術に到りません。そうは言っても手術に到る人もいます。逆に言えば若いのに白唇が長いとふけて見えるからと言って手術を希望する人が多く来ます。
だからたぶん、未成年の症例はこれまで経験が無いと思います。いや今まで一人居ました。その人は長かったです。今回は傷跡切除の目的を含んでいますが、実は長めではあります。白唇が内反しています。つまりE-ラインよりも口唇が前にあります。診察時に母親の前では余りその点には触れませんでしたが、患者さん本人は、ブログで私の症例の説明を観ているから理解している様です。
症例は18歳、女性。6年前自転車に乗っていて転倒し、横にあった金網に引っ掛かって、上口唇に創。近くの救急ER受診、形成外科(私の所属した大学の関連)が常駐していて縫合してもらった。深さは口輪筋までと告げられた。白唇の鼻柱基部の直下に縦4mm横9mの膨隆した傷跡が残った。人中部の弓の上にも3×9mmのtrap door変形もある。実は顔面のバランスの計測はしましたが、記載しませんでした
幅4㎜で丁度切除出来る。希望にて軽く外反。画像を提示します。
正面像で術前の近接を観ても鼻柱の影になって創跡がよく見えません。さらに近づくと鼻柱基部に黒い線があり、これは膨隆した帯状の傷跡の上の折れ返りです。よく見ると判りますね。
デザインは手術室で書いて無影灯の御陰で影が見えません。デザインに囲まれた範囲にあります。Nostril sill,鼻の孔の底の土手状の膨らみの下にの鼻柱基部を挟んで幅9㎜の膨隆した創跡が有ります。判りにくいと思いますが、両端がやや白く光っています。人中窩の赤唇縁のCupidの弓の上にも白い線状の創跡がありますが、今回は触れません。
術直後の画像には人中部の傷跡はありません。どんなに近接しても写してもありません。
今回は手術翌日まで載せます。人間の身体反応として48時間までは腫脹は亢進します。 内出血は顕在化していません。本人はどうしても気になっていた創跡が無くなって嬉しいそうです。
上に書いた様に側面像と斜位像を見ると白唇が内反していました。E-ラインより口唇が5㎜以上前にあります。術後は腫脹がありますが、短くなると口が出て見えなくなります。実は患者さん本人は知っています。
術後1週間で抜糸しました。
内出血が黄色くなりました。術後48時間がヤマです。次週には吸収されるでしょう。
術前に記載しなかった人中部白唇長を術後計りました。13mmでした。つまり術前は17mmだったのでしょう。そういうと患者さんは「図ってくださって17mmって言ってまいたよ!。」と教えてくれました。私が「じゃあ計算通りだったね。実は短くしたかったのでしょう?。」と訊くと「もちろんです。」と答えました。さらに私が「お母さんの前では触れなかったのでしょう?。」と訊くと「ええ。」とうなずくので、私は「書いてもいい?。お母さん視ないでしょ?。」と念を押すとうなずかれました。だから書いています。いい?だめなら消します。
とにかく次回の経過を診ましょう!。お楽しみに!
術後1か月で画像を戴きました。
正面像を大中小で診ましょう。傷跡の幅はもちろんゼロですが、赤さの引くのも早い!。やはり若いからでしょう。この一年で口周りの手術は約150例施行しましたが、一番かも知れません。あくまでも若年者という患者さんの質に負うものと考えられますが、一年の取りにふさわしいかと言えます。
本題である10年前の傷跡はちゃんと取れました。よかったよかったですが、患者さんはそれよりも短縮の効果にお悦びです。ちなみに頤部の梅干しも目立ちません。
まだ少ない腫脹はあり、運動低下はあります。鼻の位置ももう少しで戻る段階です。次回をお楽しみに!
術後3か月弱です。
もう一度診せに来て下さいました。折角だから術前と比較します。
創跡は気にならないそうです。何より口元がすっきりしてお悦び!赤唇縁のカーブ(Cupidの弓型)もはっきりして大人っぽい。
E-ラインより口元が前にあっても上白唇が長くないとすっきりして可愛い。赤唇も露出が増えます。口紅を引いて綺麗。
本来は創跡の手術です。常時マスクで隠していたそうです。もちろん術後は見せているそうです。だから口紅も書けるし、自信が着いたそうです。もちろん白唇と赤唇の比率が整っているのも自信に繫がります。
どちらの目的で手術に到ったのかは問いません。どちらも副次作用として五分五分という事で何より嬉しそうな表情に私も「よかったね!」と返して終診としました。
医療法を遵守した情報を詳しくお知らせするために、症例写真・ブログに関しましても随時追加修正を行っていきます。症例写真の条件を一定とし、効果だけでなく、料金・生じうるリスクや副作用も記載していきます。ブログにも随時表現や補足の説明を付け加えていきます。
施術のリスク・副作用について
・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。ブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。