一目で適応症例です。モコットした白唇の部分を切除するとすっきりします。E-ラインがプラスで口が出ている症例は切除で効果が得られるということが良く判ります。今回術後3か月を経ましたが、傷痕の若干の問題点に対して今後も診ていくことになるので、コピペして新しい板を作ります
症例は37歳、女性。これまでに頤プロテーシスを入れている。結果的にまだE-ラインは+5mm。白唇長25mm。歯槽骨が突で上白唇が内反している。上顔面(生え際~眉下)60mm:中顔面(眉下~鼻下)65mm:下顔面(鼻下~頤尖)70mmと下顔面が長く、その中で上白唇+赤唇長30mm:下赤唇~頤尖40mmで黄金分割比の5:8を当てると上が5mm長い。ひと目で上白唇切除の適応です。口が出ているのも目立たなく出来ます。外反=C-カールを作成したい。シミュレーションすると口角は当然に下がってしまう。内眼角間34mm:鼻翼幅35mm:口唇幅42mmでこれも黄金分割比の5:8を当てると口唇の横幅も少ないため7mm45度で7÷√2≒5mm横に上に拡大したい。
白唇長を15mm以下の標準にしたい希望でも、多くとると永久に閉じませんし、傷痕が拡がる可能性が高い。6mmでも閉じない期間が長いでしょう。でも創を丁寧に縫合すれば6mmでも広がらないでしょう。根気よく縫合します。
画像を提示します。術前から。
下には術直後。
術後3日目にも画像を戴きました。
腫脹はピークで、しかも口は閉じられませんが、術前と比べて内反が無くなり、野暮ったくなくなりました。
術後の経過をよく診ましょう。口は閉じにくいし、鼻は引っ張られるし、月日とともに傷跡が拡がらないか懸念されます。いや私は丁寧に真皮縫合しました。真皮縫合の終わった時点で引っ張ってみても隙間が無ければ術後拡がらないのです。そんなことも形成外科医しか知りません。
手術後1週間で抜糸しました。
すっきりしました。抜糸直後ですから、私が引っ掻いてしまい創の赤い線が目立ちます。口はまだ閉じません。随意的には閉じます。
側面や斜位では下顔面のうちで、まだ上口唇が長く感じられます。横や斜めではE-ライン上で口が前に有るためでもあります。まだ腫脹で強調されています。でも一時的手術では6㎜以上切除してはいけないと思います。永久的に口が閉じなくなり得ます。術前の画像を比べると、動物的な口元から進化しています。次週以降腫脹が引いて来始めたら、もっと進化します。お楽しみに!
下に術後1か月の画像。
正面像では明らかに上下口唇の比率が整いました。口角はまだ角度が強過ぎますがなだらかになります。口角の創跡は口はまだ閉じません。もちろん下口唇を挙げて随意的に閉じられますが、頤に梅干しが出来ます。無理に閉じないで過ごしているそうです。数週間以内には上口輪筋の回復が進み、不随意的にトーヌスで閉じて来るといいですね。まだ就寝時はリップクリームとマスクで過ごしているそうです。鼻の位置もまだ下がり拡がっています。こちらもいつか必ず戻ります。
側面像と斜位像でも上下のバランスがよくなっています。前回と撮影角度が違う様ですね。なお、上白唇はかなり内反していたため、外反させたと言ってもまだ反り返っていません。腫脹も残っているのでしょう。次回来月以降を待ちましょう。
先日の日本美容外科学会,JSAPSで友人のN美容外科医(同世代の形成外科出身の美容外科医の多くは仲良しです。)が梅干しのメカニズムを考察していました。
まだ仮説の段階ですが、口を閉じ難い人つまりE-ラインより口が出て頤が後退している人に出易い様です。本症例も他症例にもあります。上口唇短縮術後数週間は上口輪筋がダメージを受け顔面神経の頬枝(口輪筋を支配する枝)も腫脹の影響で信号が低いので、閉じません。随意的に閉じようとする際には下口唇を挙げる事になります。その時頤が梅干しになります。
私は学会場の廊下で、その様な経験を彼に説明しました。その時は彼も理解出来ない様でした。そりゃあそうだ。私だって多くのこの手術を経験して判って来た事です。たぶん日本一の症例数です。N先生とはもう20年前のコムロ以来の仲で、その後も一緒に診療した事もありますが、口周りの手術は経験が少ないそうです。「へエー森川先生はそればかりしているの?。」と驚嘆されて、いなされました。学会発表の直後質問しようと思ったのですがしつこいので止めて、もう一度帰りがけに訊いてみたら、「実は僕もまだこれから調べて行く段階なんだ。」だって。ならば私も「上白唇短縮術を多症例しているから梅干しもよく見るよ。どう動いてどういうメカニズムで出来るか見て行ってあげるよ。」と言って次回まで情報を交わして行こうと約束しました。
とはいってもじっくり見てもよく判りません。何故なら筋がどう動いているかは見えないからです。何故下口唇を挙げようとすると頤に梅干しが出来るのかは解剖学的に理解出来ませんが、診療中毎日の様に診ます。でも、じっくり診る時間が少ないのです。そこで、私も口周りの症例を学会発表して問題提起していくのがいいと考えました。
JSAPSは形成外科医出身の美容外科医が主体です。非形成外科医には理解出来ない学問的レベルで学術性が高いのです。だから私と議論出来る形成外科医出身の美容外科医が何人か出席していて、いつもそれを楽しみにして参加しています。ちなみにベリテやリッツは20年来の仲間です。池田先生は一世代下ですが、やはりJSAPSでの13年前の縁からです。
そして術後3か月の画像です。
白唇(鼻の下)の気宇後はまだ発赤があります。でもその幅は拡がっていません。白くなれば見えなくなるでしょう。右口角の横のプチっという点はほくろです。術前からあります。左口角の膨らみは縮小中です。ですが3か月しても見えます。そこで来月もう一度診せてもらおうということになりました。その際目立つなら、CO2LASERで焼き消せます。
側面像斜位像ではそんなに目立たないのですが、だから継続して診ていこうということになりました。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。