何故かこのところ下顔面が長い症例が増えました。私が毎回計測値を書いているため、適応なのかを診察に来るのでしょう。考え方としては、顔面の縦を上中下に分けて考え、下顔面の中で上下口唇の比率を計測します。顔面の横は顔の幅を、頬骨弓最大幅と下顎角(いわゆるエラ)の幅で見た上で、部品の幅を眼裂横径と眼球の位置、内眼角間と計り、鼻翼幅口唇幅との比率を見ます。ちなみに前後関係は鼻頤口唇のE-ラインが主体で、他にも前への丸みは顔の幅や長さを打ち消します。こうして計測して比率を診て、どこをどう治せば理想的かを議論します。
この見方は美容外科の基本です。私は医師と成った後に直ぐに美容外科クリニックに就職することも可能だったのですが、父の助言も加味し、出身大学の北里の形成外科・美容外科に入局しました。今となっては正解でした。何故なら、美容外科診療には形成外科診療の医学的素養と技術研鑽が基礎的に優位だからです。
美容外科医の長男として形成外科に入局した私は、当然ですが私だけ入局直後に日本美容外科学会,JSAPSに入会しました。同時に美容外科の成書を買い集め、端から端まで読みまくり、目に脳に焼き付けました。とは言っても当時3冊しかありませんでした。どの教科書もページをめくりますと、1ページ目から美容外科の基本手技に続いて、美容的に理想的な顔のサイズや比率が書かれています。計測法もです。30年前も今も違いません。そして今でも応用しています。 私は31年前から、このような原則を身に着けてきました。
昨今何んとかミクスのお蔭(インバウンドも含める)もあり、美容外科医が増加しています。いやそれ以前の私が医師となる前、遡れば形成外科と美容外科が標榜科目となった昭和50年代から、美容外科チェーン店が林立し、新人を採用したり、他科からの転向者を形成外科・美容外科の知識のないまま雇いました。この数年は形成外科を数年齧って、美容外科診療に触れた事もないのに、形成外科出身の美容外科医を称するする医師が進出し始めました。その様なふざけた奴等を横目に、私は31年間形成外科診療を研鑽し、同時に美容外科診療に邁進して来ました。その間知識と技術を身につける事が出来たのです。
ですから、知識と技術を身に付けて来たのです。顔面に限らず、容貌は個体差があります。そして患者さんには希望があり、私達医療者は理想形を学んできましたが、それを患者さんに提示して患者さんの希望と摺り合わせていくべきです。上の前者、チェーン店系の非形成外科医は医学知識を身につける暇がありません。後者のナンチャって形成外科医は美容外科診療の経験がありません。顔面の計測値は美容学の基本です。ですから皆さん私に罹るのでしょう。
症例は29歳女性。白唇長(鼻柱基部~Cupid’s bow弓の底)19㎜。上口唇(白唇+赤唇)26mm:下口唇(赤唇~頤尖)40mmで黄金比率に近い。E-ラインより口唇が後の品がある口元だが、下顔面の長いのが目立つ症例。上口唇の短縮をすると頤の長いのが増長することを指摘したが、ご覧の様に白唇が両鼻翼の下まで前方にあり要するにC-カールが無いのを改善したいし、下顔面の中で上口唇短縮を先行したい希望を述べられた。まず白唇部5㎜切除しC-カールを作ることを予定した。いずれかは頤骨切りも予定するとのこと。人中と弓は明瞭だが、結節がぷくっとしていなくて寂しい。鼻柱基部の縫合時に0.5㎜ずつ寄せて少々作成する。顔面部品の横比は内眼角間31mm:鼻翼幅36mm:口唇幅43mmで黄金分割比率を適用し47㎜にしたい。計算上口角挙上は30度方向に5mmを予定した。
これまで鼻翼縮小術?。鼻尖下げた?。L型。眼瞼下垂手術と目頭。下眼瞼下制術他 を受けているのでかなり整っている顔面形態だが、やはり口周りから施行する希望。口周りが最終兵器の一歩手前の手術となる症例です。
画像は各方向を順次載せていきます。
正面像と近接像では数字通りの下顔面が診られます。
デザインはいつもの通りですが、Nostril sill,鼻孔底の土手が取られている症例ですから、鼻翼基部と鼻柱基部の間の切開を鼻の中に迂回させました。
下に術直後の画像
腫脹ですっきり感は判りませんが、逆に頤が気になりません。
下には手術翌日の画像。創治癒が良好で術直後に診られた外出血が無く、腫脹は著しく亢進していません。いつも言う様に必ず48時間が山です。
既に口を閉じる際の頤の梅干しが診られません。頤があるからです。でも下口唇から音外はやはり長いのが見えます。
下には術後1週間での抜糸直後の画像。
なんとすっきりしていますでしょう?。創跡、内出血、腫脹の軽快も早い方です。笑顔が素敵です。ファッションも可愛く装っていて嬉しそうな表情です。
もちろん下口唇を挙げています。でも表情は可愛いです。今日からメイクで隠せます。
術直後の画像だけだと読者が引いてしまうから、今回は術後1週間までの経過を一気に載せました。その頃には形態が見えます。特に本症例の患者さんは経過が早い人です。それに表情が綺麗でしかも押し出しません。楚々としています。知性を感じさせます。
術式はいつものやつですが、次回は術後1か月に載せます。
術後1か月の正面像と近接像。創跡はかなり平坦化してきました。線は幅がありません。口角の傷跡そのものは目立たないのですが、口角の斜め外に真皮縫合が掛かっている点の皮膚が凹んでいます。真皮縫合で皮下組織をしっかり引っ掛けて後戻りを防いでいるのです。吸収糸なので3か月で消えます。逆に他のある患者さんはその凹んだ点まで口角に見えていたそうで、「このぐらい挙がっていてもよかったのにい~!」ですって。平らになったら後戻りしてみえたそうです。返して私は「ごめんなさい!、期待させちゃって!」などと謝ります。
基、本患者さんには、この手術の組み合わせがとても似合います。側面像と斜位像での口元とE-ラインの締まり具合は知性的です。人間だけが口で啄まないので口が出ていないのが進化なのです。対して口唇は直立猿人であるホモサピエンスはセクシーアピール(性別)の大事な要素です。女性は男性より平均値が厚い。おちょぼ口は江戸時代までの流行りです。
上に術前の正面像を比較しました。術前は口唇の横径が小さすぎます。赤唇の厚みも無く、さびしい、冷たい印象です。比して白唇が長くて面長が目立ちます。
術後はバランスが取れて知性+人間的魅力で可愛さ(愛でたい)百倍です。あとは毎月の経過で傷跡の経過を診ていきましょう。お楽しみに!
下に術後2ヶ月の画像です。
下顔面の上下口唇から鼻下(白唇部上縁)までと顎先(頤尖)の比率は術前が黄金比でしたが、上口唇短縮術を先行しました。でも決してバランスが崩れて見えません。
まだ傷跡は赤い線が見えます。もちろん日常はメイクで隠せるそうです。来月にはもっと目立たなくなるでしょう。とにかく形態的には大変満足されています。
術後3ヶ月で画像を戴きました。
本症例は傷跡が目立ちません。しかもわずかに寄せた赤唇縁の弓の形が綺麗です。
側面像ではE-ラインが品性を感じさせます。斜位像では口唇結節(上赤唇中央の膨らみ)が前を向いてセクシーです。C−カールも診られます。
上下赤唇の前後関係は上赤唇が強調されて綺麗ですが、下口唇から下がやはり長いです。当初から患者さんは、その点を気にしていました。どうでしょう?。術前と比べれば下顔面が短く見えるようになりました。骨切りの検討の余地はありますが、ダウンタイムが長く、医学的リスクもあります。当院では道具が古いためにに対応できません。申し訳ありません!。今後とも相談に乗りますからよろしく!。引き続き診ていきたい症例です。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。