上白唇短縮術を施行する際に口角が相対的に下がるので、同時に挙上術をした方が適当です。近年私は口周りの手術の先走者として、最多の症例を手術しているでしょう。その結果他院での好ましくない結果に対する二次手術も増加傾向です。
例を挙げれば、富士山型!、後戻り!、創跡が拡がり目立つ。口角が下がった等々枚挙に暇がありません。中でも富士山型は人中部だけ多く切除して鼻翼基部を取っていないからです。そうすると確かに、鼻翼横の創を短く出来てDog earも減らせるし、創の縫合に自信がない非形成外科医がやりそうな事です。口角挙上術は創跡があるのですが、口紅でカムフラージュ出来るので併施する事をお奨めします。
数年前には白唇短縮術の切開を鼻翼を超えて鼻唇溝(法令線は人相学用語です。)まで切除して口角を引き上げるデザインを3例に使いました。確かに口角は少し挙がりましたが、鼻唇溝は溝ですから創跡が余計に深くなり目立ち患者さんは困り、仕方ないのでヒアルロン酸を定期的に施行する羽目になりました。これも最多症例を誇る私だから経験した事です。
また、白唇部短縮術の際に鼻翼から斜めに口角方向を挙げた結果を見た事が有りますが、鼻翼が拡がり戻りませんし、口角が引き攣った様に挙がり不自然です。
ですから白唇が長いのを短縮する際には口角挙上術を併施する事をお奨めします。先日の症例では、術前に口角が挙がっているので白唇部短縮術の単独手術しました。予想通り口角は下がりませんが、術前には挙がっていたのに術後は挙がっていなくなるので残念な気持ちになります。下がっていない人が術後に下がっても、下がっている人が術後にもっと下がっても、挙がっている人が術後に挙がっていなくなっても、どちらにしても残念感を生じます。
でも二次的な手術もお奨めです。一つ一つ経過を診ながら、デザインも吟味出来るからです。正直言って私も楽です。併施は同時手術の事ですから時間を要するし、当院の手術時間は大阪院で3h.30m.銀座院で3h.45m.しか用意出来ません。同時手術は最低2h.45m.要しますから、一例が限界です。白唇短縮術だけなら1h.45m.で可能なので2例した事もあります。患者さんが殺到している現在は私も助かりますし、患者さんのニーズにも答えられます。なんて言っちゃあ偉そうに思われるかも知れませんが、無理に勧めているのではでは無くても、単独手術が増えています。
症例は35歳女性。電話でお問い合わせがあり、銀座院に来院されて診察しました。ひとめ見て上口唇が長い。人中部で22㎜あります。頤は入っていて長くて前にある。E-ライン(鼻尖〜口唇〜頤を結ぶ線)は直線上。上顔面(生え際〜眉下)60㎜:中顔面(眉下〜鼻下)55㎜:下顔面(鼻下〜頤尖)65㎜と下顔面が長い、しかも上口唇(白+赤)28㎜:下口唇(赤〜頤尖)37㎜と黄金比率を適用すると上が5㎜長く、上白唇を5㎜切除可能。更に6㎜希望。C-カール=外反させる。
口角は下がっているので挙上術の適応。内眼角間32㎜:鼻翼幅32㎜:口唇幅42㎜で黄金比率を適用すると45度4㎜のデザインが適切。でも2次的に手術することを希望されました。
早速先日大阪院に来院されて白唇が長いのをコンプレックス、Inferior complex と訴えました。確かに見ての通り長い。手術は予定に従って行ないました。
画像を診ましょう。
上に術前の口周りとデザイン画。下顔面が長く、上白唇が特に長い。上赤唇は薄く、弓もなだらかで口唇結節(赤唇中央の突)も無いが、希望しない。
側面像斜位像では内反した白唇が見られ赤唇はほとんど見えない。
術直後は既に腫脹しています。鼻翼も拡がります。
下に1週間の抜糸直後。
抜糸時に引っ掻いてしまう為に出血しています。腫脹は48時間がピークです。まだ吸収中の段階です。口は閉じていませんが、力を入れれば下口唇が挙がり閉じられます。頤を長くしているので梅干しにはなりませんが、口角は余計に下がります。
側面像斜位像で既に外反C-カールが見られます。赤唇の厚さも適切です。赤唇は上:下=2:3(黄金比だと5:8)が理想ですが、まだ腫脹で上が厚いのです。
今回は術後1週間まで載せました。次回術後1か月にはかなりいい形を見られるでしょう。お楽しみに!
術後1ヶ月です。口は閉じます。頤があるので梅干にもなりません。
下に術後2ヶ月の画像です。
面長感が軽快しました。
術後3ヶ月です。別の板に掲載しなおします。術前の画像と比較しましょう。
まずは正面像。全く印象が変わりました。顎のヒアルロン酸も吸収されたのでしょう。面長感の要素はやはり上白唇が主体なのでした。もっこり内反していた白唇もC−カールを作ったらすっきりしました。赤唇が前に出て冷たく無くて若々しい。Cipidの弓は造っていませんが、両側鼻翼下間を短縮すると、人中部を中心に挙がるので、弓の角度が急になります。これが自然な形態です。なお鼻の位置はちゃんと元に戻りました。
近接像も並べました。術前画像はデザイン後ですが、確かに切除する分が上がっているのが判ります。基準は鼻柱基部間(鼻唇角部)からCupidの弓の中央です。術前22㎜でした。切除幅は6㎜です。計算上16㎜です。術後3ヶ月で計測しますと16㎜で後戻りゼロでした。6㎜切除でも大丈夫なのは、縫合に精魂を込めたからです。
では傷跡はどうかと言えば、鼻孔底部のNostril sill(土手)が低いので、その下を切っても折れ返り線はで無いから目立つのでは無いかと危惧していました。ただし傷跡の線はわずかに谷線になるように縫合しましたから、結果的に異常な感じはしません。赤いにはまだ治ります。5年前に最初に手術した患者さんが居ますが、もちろん日常は普通のメイクで傷跡は見えません。ただし飲酒等で上気した際には赤くなるそうです。正直に言えば一緒に居て飲酒していたら徐々に赤くなりました。
ところが、鼻翼基部の傷跡は赤く若干幅があり肥厚性瘢痕の傾向があります。切除範囲で一番緊張がかかる部だからです。上の画像を見直してみると、手術直後はぴったり縫合してあり術後1週間での抜糸後も幅がありません。ところが術後1ヶ月→2ヶ月と診ていくと右鼻翼基部の傷跡は幅が出てきています。そうです。傷跡は術後から広がるのです。術後3ヶ月ではもう止まっています。今後月日と共に、赤くなくなれば見えなくなります。
鼻翼横の傷は短縮した分の余分が外側の皮膚に溜まり膨らんでいました。術後経過を診ていくと、3ヶ月で膨隆は縮小しました。鼻唇溝部にあるので、陥凹部に凸があるから見えなくはありません。でも患者さんCO2 LASERで焼いて潰すまではないとのお見立てでした。
斜位像も比較します。ここでも全く印象が違います。もっこりからすっきりはもちろん赤唇の印象がセクシーに魅せます。患者さんがそこんところを狙ったかは判りませんが、赤唇は擬態でセクシーなのが自然な形態です。
側面像では白唇の角度が全く違います。だらっとしていた白唇、ほとんど見えない赤唇が改善され、普通の自然な口元になりました。もちろん元々E-ライン上に鼻尖と口唇と顎が並んでいて、つまり口が出ていないから品があるのも寄与しています。
赤唇の縦の幅も黄金分割比率の5:8が綺麗とされます。ただしそれは画像の角度で変わりますから測れません。正面像では若干下方から撮ると上が多く、下を向くと上が薄くなります。そうしてみると斜位像や側面像では同じ角度から撮れていて、概ね5:8に見えます。綺麗は自然な形態なのです。
今回いくつかの点について評価を加えました。多分今後まだ拝見する機会がありそうですから、その節にもまた載せたいと思います。素敵な患者さんですから。
当院では、2018年6月に厚生労働省より改定され施行された省令「医療機関ホームページガイドライン」に遵守しホームページの修正を行っています。
施術のリスク・副作用について・麻酔薬にて、アレルギー反応を起こす場合があります。その場合は適切な処置を行います。・腫れは個人差がありますが、手術直後から少し腫れがあり、翌日がピークで徐々に引いていきます。目立つほどの大きな腫れは1~2週間程度です。・術後のむくみや細かな左右差の改善には、3ヶ月程度かかります。・内出血が起こった場合は完全にひくまでに2週間程度かかることがあります。・感染予防のため、抗生剤を内服していただきます。・抜糸までの間、鼻下を伸ばす表情はお控え下さい。・口唇部の違和感は、2~4週間程度かかります。・手術後2週間は、口を大きく開けることはお控え下さい。・手術直後は、つっぱりを感じることがありますが、2週間程度で改善していきます。・手術当日は、洗顔をお控え下さい。・手術後3日間は、飲酒・激しい運動・サウナ・入浴など、血流が良くなることはお控え下さい。・手術後1週間(抜糸まで)は、鼻孔部位のお化粧はお控え下さい。・ケロイド体質の方は傷跡が残りやすい場合があります。
6月から費用の説明も加えなければなりません。上口唇短縮術は28万円+消費税。口角挙上術は25万円 +消費税。局所のブログ掲載の契約を受けてもらえたら、出演料として20%オフとなります。